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https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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◇フード・マイレージ資料室 通信 No.248
2022年8月12日(金)[和暦 文月十五日]
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◆ F.M.豆知識 終戦直後の栄養摂取状況
◆ O.カレント 松郷開拓地(埼玉・所沢市)
◆ ほんのさわり 中村光博『「駅の子」の闘い』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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高騰していた穀物等の国際価格はようやく落ち着きを見せ始めているものの、依然、途上国等では多くの人たちが栄養不足の脅威に晒されています。実は日本も、70数年前は深刻な飢餓状態にあったことを、現在の私たちは忘れてしまっているようです。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−終戦直後の栄養摂取状況−
昭和20(1945)年8月、終戦を迎えた日本は深刻な食料不足に見舞われていました。
農民の出征により国内の農業生産基盤がぜい弱化していたなか、大陸や台湾等からの食料供給は途絶え、さらに戦地から多くの兵士が復員してきたためです。
リンク先のグラフは、現在、厚生労働省のホームページで入手できる最も古い国民栄養調査(現在は国民健康・栄養調査)から作成したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/08/248_sengo.pdf
これによると、昭和21(1946)年の熱量摂取量(棒グラフ)は、都市では1,721kcal(単純平均)であるのに対して農村では2,084kcal。翌年はそれぞれ1,772kcal、2,136kcalへと増加しているものの、顕著な改善は見られません。また、都市は2年間を通じて農村の8割強の水準に留まっています。
これらを反映して、体重が「過軽」の者(標準体重を10%を超えて下回っている者)の割合(折れ線グラフ)は、都市が農村を4〜7ポイント上回って推移しています。
この背景に関連して、同調査には興味深いデータが掲載されています。
右側の積み重ね棒グラフは摂取熱量の入手先別の構成割合で、都市では配給が67%、自由購入が29%となっているのに対して、農村では自家生産が84%を占めているのです。
このことは、有事における農村の有利性、食料を自給する手段を有していることの重要性を示唆しています。
(データの出典)
厚生省公衆衛生局栄養課「国民栄養の現状」(昭和22年度国民栄養調査成績)
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/chosa/kokumin_eiyou/doc_year/1947/1947_kek.pdf
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−松郷開拓地(埼玉・所沢市)−
戦後の深刻な食料不足に対処するため、政府は全国各地で緊急に開拓事業を実施することとなりました。
筆者の住いの近隣にある埼玉・所沢市(当時は所沢町、柳瀬村)においても、旧陸軍所沢飛行場跡地を含めて開拓が進められました。そのなかでも松郷(松井地区)は、最も規模の大きな開拓地の一つでした。
現在、その地には「松郷開拓の碑」があります。開拓30周年を記念して昭和五十二(1977)年に建てられたものです。
碑文によると、昭和二十一(1946)年の夏、県から平地林を入植者等に解放するという提案がなされ、防災面等から平地林の伐採に反対する地主との2年以上の話し合いを経て、翌々年十月、入植者30名、地元の増反者150名に対して農用地90ha、防風林用地40ha等を配分することが決定されたとのこと。なお、電気が通ったのは、さらに5年後だったそうです。
碑文には「裸一貫の入植者の苦労は筆舌に尽せるものではなかった」と刻まれています。
現在、この地区でも農地の多くは住宅地や道路、商業用地等に転用されています。
ちなみに、先日公表された2021年の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%、生産額ベースで63%となっています。
(参考)
拙ブログ「松郷開拓地(埼玉・所沢市)」
https://food-mileage.jp/2022/08/09/blog-390/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−中村光博『「駅の子」の闘い−戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史』(2020年1月、幻冬舎新書)−
https://www.gentosha.co.jp/book/b12871.html
終戦直後の日本の都市は、戦地や空襲で父母を失うなどして行き場をなくした孤児たちで溢れていました。
全国の戦争孤児の数は、終戦から2年半後に行った厚生省の調査でも全国で12万3千人にのぼったそうです(終戦直後はさらに多かったと思われます)。
雨風をしのぐために焼け残った駅舎で寝起きする子どもたちは、「駅の子」とも呼ばれました。
NHKのディレクターである著者は、戦後70年を経た特別番組制作のため、元「駅の子」達に対する取材を試み始めました。しかし多くの方からは、戦争孤児であった過去には触れられたくない、周りに迷惑はかけられないと断られたそうです。一方で、後世に伝えなければという義務感から積極的に取材に応じて下さった方もおられました。本書は、その貴重で悲惨な証言集です。
彼らの日常は、飢餓との闘いでした。
ある朝、一緒に寝起きしていた小さな女の子が餓死しており、その死体は「ポイっと箱に放り込まれてどっかに行っちゃった」との目撃談。
一人残された妹の食べものを手に入れるために、仲間とともに窃盗やスリにも手を染めたという男性の証言。手に入った金のほとんどは、闇市の屋台での「バカ食い」に使ってしまったそうです。
ある女性は、上野駅の地下道で過ごしていたことを、45年間連れ添った亡き夫に最後まで伝えることができなかったそうです。「国は私たちにおにぎり一つくれなかった。私たちに人知れず死んでいった子どもたちがいた事実を忘れてはならない」と語ります。
野良犬に残飯の漁り方(傷みの少ないバケツの上の方から食べる)を教わったとする男性。闇市には食べものが溢れていたのに自分たちに注意を向ける大人はおらず、冷たい扱いを受けたことは忘れられないとの証言も。
本書のあとがきには、「戦後75年、まだ知られていないこと、語られていないことはたくさんある。それは現代の様々な問題とも『地続き』のはずだ」と記されています。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 松郷開拓地(埼玉・所沢市)[8/9]
https://food-mileage.jp/2022/08/09/blog-390/
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 全国戦没者追悼式
日時:8月15日(月) 11:51〜
場所:日本武道館(東京・千代田区)
(詳細、問合せ等↓)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27320.html
○ 夏のシンポジウム 2022
「東西有機農業の里に学ぶ有機な地域の作り方」
日時: 8月27日(土)13:30〜16:00
場所:オンライン
主催:(特非)日本有機農業研究会
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/530429722193560
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
ウクライナの戦火がやむまでお休み中です(長期の休みになってしまっています)。
過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.249は8月27日(金)[和暦 葉月朔日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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