【ほんのさわり】山本謙治『エシカルフード』

−山本謙治『エシカルフード』(2022年3月、角川新書)−
 https://www.kadokawa.co.jp/product/321805000137/

著者は1971年愛媛県生まれ埼玉県育ち。「やまけん」さんの愛称で、全国の「おいしいもの」情報を広く発信されています(ブログは私も長年愛読しています)。

著者は、日本では食の分野を含めてエシカル(倫理的)消費が拡がらないことを残念に思っています。
 例えばトレーサビリティや有機農業についても、日本では利己的な目的(個人の安全や健康)のためのものとして捉えられているのに対して、ヨーロッパでは利他的で普遍的な価値(環境や人権など)を守るために取り組まれているのです。
 そこで著者は、ヨーロッパで倫理的消費に対する意識が高い理由を探ろうと、先進地・イギリスを訪ねて関係者へのインタビューを重ねました。
 その結果は、著者にとって意外なものでした(私にも「目からウロコ」でした)。
 「イギリスにおいても常にエシカルなものしか買わないという人は全体の5〜10に過ぎず、逆に全く関心のない人が20〜30%いる。その中間の『ときどきエシカル』という人たちが60〜75%という大勢力。ときどきであっても、大きなバイイングパワーを持っている」というのです。

イギリスでもエシカル消費を支えているのは「普通の人」であることを知ったやまけんさんは、何かきっかけがあれば、日本でもエシカル消費が急速に広がっていく可能性を示唆しています。

(参考)著者ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」
 https://www.yamaken.org/

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  No.250、2022年9月10日(土) [和暦 葉月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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