【ブログ】福岡のうまいもん、野々実会(飯塚市)

東京オリパラをめぐる汚職事件は、ますます拡がりを見せています。
 今回は元理事が「みなし公務員」であったため摘発されましたが、民間では、このような付け届けや口利きは当たり前のことのようで、当事者たちには罪の意識もなかった様子。
 このように運営されている日本の市場経済、資本主義とは、私には健全なものとは思えないのですが、いかがでしょうか。

さて、2022年9月は連休のたびに台風が接近・上陸。全国的に大雨と強風。
 幸い甚大な被害は免れましたが、経済的な打撃は大きかったかも知れません。

その合間の9月22日(木)、東京・神田の47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA-で開催された「イチオシはこれったい!みんなで食べるお取り寄せ地元めし〜福岡編〜」は、福岡のおススメの食べもの持ち寄って、自慢したり紹介したりしようという趣旨。
 私自身、このような対面でのイベントに参加するはも久しぶりです

私は福岡には住んだことも勤務したこともないのですが、かつて熊本に3年間在勤・在住した時には、仕事やプライベートで何度も博多や北九州、久留米などを訪ねたものです。

 しかし、他の参加者の方達(当然ながら福岡の美味しいものに詳しい人ばかり)に自信を持って推薦できるような食べものについては、心当たりがありません。
 そこで、熊本在勤中にも、現在も小農学会の関係でお世話になっている佐藤弘さん(西日本新聞社)に不躾にもメールで相談させて頂いたところ、紹介して下さったのが、飯塚市の農産加工グループ・野々実会でした。
 しかも、代表の長野路代さん(ながのおばあちゃん)と佐藤さんの共著で、本まで出版されているとのこと。

これはいい食べものを紹介して頂いたと、早速、野々実会のホームページと農文協HP「田舎の本屋さん」に、それぞれ商品と本を注文させて頂きました(佐藤さん、有難うございました)。

ところが、九州を直撃した台風14号の影響もあったのか、残念ながら注文してあった商品が当日までに届かず、本だけ持参することに。
 代わりに東京・有楽町のアンテナショップで求めたおきゅうとと明太かまぼこを持参して、18時過ぎに「箕と環」へ。

すでに10数名の方が集まっておられました。
 福岡出身で首都圏で活躍されている方、福岡でビジネスを展開されている方、自治体の東京事務所の方、それぞれのご友人の方など。

 お互いに初対面の方も多かったようですが、福岡の美味しい食べものが出されていくに連れて、会はすぐに盛り上がっていきました。

辛子明太子、がめ煮、胡麻サバ、糠炊き。鶏のから揚げ、とりかわ串、地鶏のたたき。
 カレーは鯖とハラール対応の2種類。
 北九州市で栽培したブドウを自家醸造したという若松ワインも。

明太子とツナの缶詰、地元有名店の豚まん、鯛茶漬け。大宰府の梅が枝餅なども。

全国的にも知名度の高いメーカーの商品や、地元の名産品などが次々と出されました。
 持参した方からは、熱意のこもった推薦のスピーチ。地元の味に「懐かしい~」等の声が上がります。
 初対面でも意外なつながり(大学の同窓など)が明らかになって、ローカルな話題(キャンパスの近くのうどん屋は美味しかったなど)で盛り上がる方たちも。

 間違いなく、食には、コミュニケーションを円滑にし、人と人とをつなげる大きな役割があることを再認識しました。

私からは、長野路代さん、佐藤弘さん共著『ながのばあちゃんの食術指南』(2015、西日本新聞社)を掲げ、野々実会の紹介(本からの受け売りです)。
 そして「今日は間に合いませんでしたが、来週にもここに届けておきますので、ぜひ皆さん、箕と環に足を運んで賞味して下さい」と予告PR。

 本は参加者に回覧させて頂きましたが、メモをして下さった方、勉強になったと言って下さった方、さらにはさっそく本を注文して下さった方までおられました。

錚々たる名物、名産品が並んだ中にあっても、野々実会の手作りの加工品は、大いに興味を持って頂いたようです。
 紹介させて頂いて良かったと、ほっとしました。

後日、待望の加工品が到着。
 自家製青唐辛子を使ったゆず胡椒(材料は他にゆず、塩のみ)、こしょうみそ(唐辛子とみそを煮詰め煎りゴマを追加)、赤こうじ(赤唐辛子と甘酒こうじ)、それにノンオイルのゆずドレッシングです。赤や緑の色も鮮やかです。
 これらを使ったレシピは、ご著書にも詳しく紹介されています。早速、赤麹のピリ辛キュウリを作ってみました。簡単で美味!

長野さんは終戦間もなくお母さまを亡くされ、十代半ばで家での食事作りを担当されるようになったのですが、当時は農家でも供出等で食べものは乏しく、厳しい農作業から帰ってきた父親に貧しい食事しか出せないことに涙したとのこと。
 その経験もあって、身近にあるもので工夫しながら豊かな食事を作ることを心がけてこられ、60代の時に近隣の女性たちと農産加工グループ野々実会を結成されたそうです。

パンデミックとウクライナ侵攻により世界的に食料危機が叫ばれていますが、現在のところ、私たちの多くは(価格上昇はあるものの)豊かな食生活を謳歌できています。
 それは、様々な食品メーカーや飲食店のほか、地元の食材を大事にして加工品づくり等に取り組んでいる方達に支えられているものです。
 国が旗を振っている食料自給率向上や循環型社会形成についても、地域における多くの方達の実践なくして、その実現は叶いません。

(付記)
 大都会・東京にも、伝統的な食材を守り伝えている生産者、事業者の方がいらっしゃいます。2022年9月25日(日)は、東京・八王子の巻き寿司やさんへ。
 生産者の方達の思いを巻き込んだお寿司を、毎月1回、テイクアウト専門で販売されています。今月の食材は江戸東京野菜・八王子ショウガ。詳しい説明や生産者のカードも添付されていました。
 見た目も鮮やかな巻き寿司です。

店主の八幡名子さんには、昨年10月の「食と農の市民談話会」でも話題提供して頂きました。
 様々な方たちの思いと実践が、地域の、日本の食を支えています。