【オーシャン・カレント】米の価格は上昇に転じるのか

出典:農林水産省「相対取引価格の推移」
 https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/attach/pdf/220916-2.pdf

米については、JA全農(全国農業協同組合連合会)等の出荷業者と卸売業者等との間で、年間を通じて相対(あいたい)取引が行われており、その価格は米の取引価格の代表的な指標となっています。

農林水産省のプレスリリースによると、2022年8月分の相対取引価格(21年産、速報)は、1俵(60キログラム)あたり全銘柄平均で1万2,714円と、近年では珍しく、前月に比べてわずかながら(121円、1%)上昇しました。
 しかし、これは前年同月(20年産)に比べると8%下落しており、21年産の平均値(昨年の出回り期から10月まで)では20年産に比べて12%(1,694円)と大きく低下しています。
 ほとんどの食品が輸入原材料価格の上昇等により値上がりしているなか、ほぼ国産のみで供給されている米の価格は下落傾向が続いてきたのです。

今年の新米(22年産米)については、JAグループが農家が農家に支払う集荷価格(概算金)は、東日本を中心に3年ぶりに前年を上回っています。これは、肥料や燃料費など生産者のコスト上昇分を補てんする意味合いがある一方で、長期的に減少傾向にある米の消費をさらに鈍らせる懸念も指摘されています。

所得・賃金が低迷するなかで、消費者の低価格志向はより強いものとなっていますが、日本の安定的な食料供給(安全保障)のあり方も念頭に起きつつ商品を選択すること(いわゆる「エシカル消費」の一部)が、私たち消費者には求められていると考えます。

(参考)
 農林水産省プレスリリース「令和3年産米の相対取引価格・数量について(令和4年8月)」(2022年9月16日)
 https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/220916.html

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  No.252、2022年10月10日(月)[和暦 長月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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