【豆知識】低所得層で大きい物価上昇の影響

パンデミック、ウクライナ情勢、円安により様々な商品の価格が上昇しており、家計を直撃しています。これら値上げの影響は所得階層によって異なることを示したものが、リンク先のグラフです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/10/252_kakei.pdf

縦軸は、総務省が9月20日に発表した2022年8月の消費者物価指数の対前年同月比です。総合では3.0%(注:生鮮食品を除くと2.7%)上昇しており、特に光熱・水道は15.6%、食料は4.7%と特に大きく上昇しています。

横軸は、10月7日に総務省が発表した8月の家計消費支出について、各費目についての低所得層(年間収入五分位階級の第一階級)の特化係数です。例えば、支出総額に占める食料消費の割合(エンゲル係数)は低所得層では31.9%で、平均(27.5%)に対する比率は1.16となります。
 これが特化係数で、右に位置する費目ほど、低所得層における消費のシェアが相対的に大きい(必需財的な性格が強い)ことを示しています。

このグラフからは、食料や光熱費など必需品的な性格の強い費目ほど価格が上昇していることが見て取れます。つまり、幅広い値上げの影響は、低所得層により大きな影響を及ぼしているのです。
 なお、食料のなかでも国内で自給できている米については5.7%下落しており、ここでも特異性が際立っています。

なお、このグラフは8月の状況ですが、10月以降は「値上げの秋」と言われるように、さらに多くの食料品等の値上げが行われています。これらが低所得層の家計をさらに圧迫し、格差の拡大につながりかねないことが懸念されています。

データの出典:総務省「家計調査」「消費者物価指数」(2022年8月分)
 https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  No.252、2022年10月10日(月)[和暦 長月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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