−アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(2020年11月、新潮新書)−
https://www.shinchosha.co.jp/book/610882/
1974年生まれのスウェーデンの精神科医が、スマホなどデジタル技術に過度に依存することの危険性に警鐘を鳴らした世界的なベストセラーです。
スマホ依存がもたらしている様々な弊害について、本書では実に多くの実験結果や研究成果が引用・紹介されています。
例えば、スマホやパソコンの前で過ごす時間が長いほど気分が落ち込む。フェイスブックに時間を使う人ほど(他人と比較する等により)自信を失い幸福感が減る。
いつでも検索できるから自分で覚えようとしないこと(「グーグル効果」)が、記憶力や集中力などの脳の機能を低下させている。スマホがポケットに入っているだけで集中力が阻害される。
スマホがディナーのテーブルに置かれているだけで、相手との会話に集中できず楽しめない。
幼児や子どもにスマホやタブレットを使わせることは、ペンと紙を使って書くという運動能力と、書く時にいったん情報処理するという脳の働きに悪影響を及ぼす。
教室からスマホを追放したことで成績がアップした。等々。
一方で著者は、スマホ依存は人間の特質から自然でもあるとしています。かつて人類の祖先は、危険や飢餓を避けるために常に周囲を確認し、情報を収集するという生き残り戦略を取っていました。
現代のスマホやSNSは、広告収入といったお金のために、その脳のメカニズムを見事にハッキング(大事かも、ちょっと見てみるだけ)するように開発されているというのです。
ちなみに、IT業界のトップの一人は「自分の子どもには14歳になるまでスマホは持たせなかった」というエピソードも紹介されています。
さて、そうであるなら、スマホにかけるお金と時間を減らして、その分でこだわりの農産物を買ったり、援農や農業体験に出かけたりしませんか(これは自戒を込めて)。
出典:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.253 2022年10月25日(火)[和暦 神無月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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