2022年も12月に。あと1枚だけになってしまった月めくりカレンダーが、はかなげにぶら下がっています。
3日(土)は薄曇り。
自宅から駅に向かう途中にある農家さんの畑では、収穫体験会が行われていました(ここでは初めてかな?)。市街地のなかにある農地は、本当に貴重です。
読書会ざんまいの週末、最初に向かったのは東京・三鷹市です。
井の頭公園は、まだ紅葉も美しく、地面はふかふかの落ち葉のじゅうたん。コロナ禍の下で見られなくなっていた大道芸も復活していました。
公園を抜けたところにある「森の食卓」では、コロナ禍でお休みだった「森の読書会」が久しぶりに再開されました。門の前には懐かしい手書きの看板。
開催中の「移動本屋さん~本を楽しむ4日間」の一環のとのことです。
主催者のエイコさんを含めて6名が参加し、それぞれからお気に入りの本を紹介。
ナタリー・ロジャース『表現アートセラピー』は、絵画などクライアント(患者さん)の力を重視するアプローチだそうです。それにしても収録されている患者さん達の絵の見事なこと。
三木那由他『言葉の展望台』は、哲学者による「言葉とコミュニケーション」についての分かりやすいエッセイとのこと。
介護士でボードゲームエンターテナーでもある方は、ご自身の経体験に基づく『認知症とアナログゲーム』と題する自著を紹介して下さいました。
音楽家やプロデューサーなど幅広く活躍したピエール・バルーの自伝『サ・ヴァ、サ・ヴィアン』を紹介して下さった方は、たくさんのCDも持参。エイコさんが紹介して下さったのは、坂口恭平『自分の薬を作る』。
私からは、この後の会の課題本・三島由紀夫『金閣寺』について、自分には主人公には共感できなかった等と中途半端な紹介。
最後に紹介本を並べて記念撮影。
美味しいコーヒーも頂きました。楽しい本の話とともに、ご馳走様でした。
次に向かったのは東京・国立。
駅から近い喫茶店で、毎月2回ほど「シン・哲学カフェ」という名称の読書会が開催されています(私は今回、初参加)。
この日は、全3回シリーズで開催されている三島由紀夫『金閣寺』の2回目。
テーマは、作中で3度も繰り返し引用されている禅の公案「南泉斬猫(なんせん‐ざんみょう):猫は、なぜ斬られたのか-」について。
詳しい常連の方ばかり(多くは私より年配の男性)で、公案の意味と作品上の位置づけ、そもそもの仏教についての意見交換など。参加者のお一人の方は、文庫本の該当ページを拡大コピーしてこられ、読み解いて下さいました。
一人で読んだ時はチンプンカンプンだった箇所が、かなり理解できたような気がします。それでも、主人公の心情や行為の意味等についてはモヤモヤが残ったままです。次回も参加しなくては。
誘って下さった2次会は、何とハンバーガー屋さん。アルコール抜きで談論風発が続きました。
翌4日(日)の9時からは、国分寺の胡桃堂喫茶店で開催された「朝の持ちよりブックス #45」に参加。
この日のゲストは、喫茶店でインターンをしている大学生(2回生)の方。
大切な本との出会いやこれからの夢について、主催者がインタビューしていくという形式です。
ここでも美味しいコーヒーを頂きました。
紹介して下さったのは、遊泳舎(編)の『言の葉連想辞典』と『26文字のラブレター』、森見登美彦の『太陽の塔』と『四畳半神話大系』。
森見氏の小説に触発されてご自身も小説を書き始めたそうで、一杯の珈琲で自作小説の世界観を表現する「ノベルドリップ」という試みも計画しているそうです。面白そうです。
一言で読書会と言っても、様々なスタイルがあります。
共通しているのは、自分では手に取らなかったであろう本を知ること、一人で読んで挫折したり、よく分からなかった場合も理解が進むことといった「効用」。
そして何より、本を介しての人と人とのコミュニケーションの醍醐味。
この辺りのことは、向井和美『読書会という幸福』という本でも詳しく整理されています。
今週末(11日(日))には、長らくオンラインで開催されていた奥沢ブッククラブが、久しぶりにリアルな対面形式で開催される予定。
モニター越しではなく、直接、皆さまにお目に掛るのが楽しみです。