【ブログ】311子ども甲状腺がん裁判 第4回口頭弁論

2023年1月もあっという間に後半へ。
 自宅近くに一画を借りている市民農園。見た目は寂しい冬も、瑞々しい恵みをもたらしてくれています。
 ここ10年間で最悪とされた24~25日にかけての大寒波襲来の折には、寒冷紗をかけてみました。

1月17日(火)の夕方は勉強会「今夜はご機嫌@銀座で農業」に参加。
 NPO三瓶スラウェシ友好促進センターの吉浜彰啓さんから「草の根の海外農業支援とNPO」について。学校給食に導入された牛乳を飲む生徒たちの笑顔が印象的なご講演でした。

21日(土)の午後はシン・哲学カフェに参加。
 この日のテーマは韓国映画『パラサイト-半地下の家族』。参加者のお一人の方が、詳しい韓国の戦後史の年表を持参しむ説明して下さいました。映画も背景を知ると、さらに興味深く感じられます。

20日(金)の夕方は、奥沢ブッククラブのオフ会。コロナ禍でほとんどオンラインで開催されてきており、オフ会は本当に久しぶりです。
 会場は、メンバーのお一人が予約して下さった東京・自由が丘の青森料理店。
 美味しい料理(下左の写真はリンゴのサラダ)と地酒。持ち寄った本の交換会は、アミダくじで盛り上がりました。

本といえば、昨年末に近所の本屋さんにお願いしていた高橋美香さんの『ママとマハ-パレスチナに生きる二人』が、23日(月)、手元に届きました。

写真家の美香さんがパレスチナで居候し、ともに生活を送った二人の女性。バスマ(ママ)は分離壁が造られ土地を奪われ、マハは難民キャンプで暮らしています。
 折しもイスラエルでは、史上最も右翼色が強いとされるネタニヤフ連立政権が成立。武力衝突が続いています。

25日(水)の午後は休暇をいただき、職場至近の日比谷公園へ。
 前日からの大寒波襲来で全国的に大荒れ。東京地方も冷え込み、正午を過ぎても「鶴の噴水」はつららで覆われていました。

日比谷コンベンションホール(日比谷図書文化館内)では、12時から「311子ども甲状腺がん裁判 第4回口頭弁論」の支援・報告集会が開催されていました。
 この裁判は、東京電力福島第一原子力発電所事故当時、6歳から16歳だった男女6人(後に1名が追加)が、事故に伴う放射線被ばくにより甲状腺がんを発症したとして、昨年1月27日、東京電力を相手に損害賠償を求めて裁判を起こしたものです。提訴から、ほぼ1年となります。

12時15分頃に会場に入ると、この日の午前中、東京地裁で開かれた第4回口頭弁論における「原告4」の男性の意見陳述の音声(事前に録音されたもののようです)が流されていました。
 4回も再発・手術を繰り返し、苦しいアイソトープ治療も受けておられるとのこと。「再発は覚悟しているが、前だけを見たいと考えている」と思いを語られました。

 「原告7」の女性は、最後に3名の裁判官の名前を挙げながら呼びかけ「私たちがなぜ立たざるを得なかったのか、それだけでも理解してほしい」と話されました。
(なお、原告の意見陳述要旨など裁判資料は、311甲状腺がん子どもネットワークのホームページに掲載されています。)

続いて弁護団からの報告。
 ステージには10名以上の方が並び、順番に、感想を含めてこの日の第4回口頭弁論の報告がありました。原告も一人増えましたが、弁護団の人数も増えているそうです。

「期日には初めて参加したが、意見陳述を直接聞くインパクトは大きかった。一生に一度の心からの声を、堂々とあげられた。裁判長も原告の目を見ていた。よほど重い思いがあるということは裁判官たちにも伝わったのではないか」

「原告4の方は、普段は冷静な27歳の好青年だが、今日の法廷ではしばしば詰まったり、涙ぐんだりしていた。陳述書作成を手伝うため、苦しい、いやなことを無理やり語らせたという罪悪感が自分にはある。思いを語ってくれた勇気に感服した」

「弁護士としての態度としてはどうかと思うが、涙なしには聞けなかった」

「立派で、堂々として、心打つ内容だった。本人たちは『言いたいことを言えてすっきりしたと』話していた」等の報告。

311甲状腺がん子ども支援ネットワークのHPより。

 京都から駆け付けたアイリーン・美緒子・スミスさんもマイクを取られました。
「原告の方たちの生の声を、日本中の人に聞いてもらいたい。今日、ここに参加の皆さんは、このことを誰に伝えるかを、今、決めてほしい。そして集会が終わったら発信しましょう。みんなでがんばりましょう」

 また、いわき市から3人の子どもとともに長野に自主避難しているという女性は「初めて裁判に参加した。何の罪もない子どもたちのことをできるだけ周りの人に伝えていきたい」等と発言。

司法記者クラブでの会見に立ち会っておられた井戸謙一弁護団長たちも、到着されました。

井戸弁護団長からは
 「被告の主張は、UNSCEAR報告に全面的に依拠している。UNSCEARは必ずしも中立的な機関ではない。推測値に基づいて10mSv以下だからがんにはならないと主張しているが、実は、福島市のモニタリングポストに大量被ばくの実証データがあった。呼吸だけで60mSvになる。この被告の主張の根幹を崩すことが重要」とし、さらに、
 「この裁判についてはメディアの扱いは小さく、ほとんど報道もされない。知らない人の方がい。多くの人に知ってもらうという法廷の外での戦いも必要」と訴えられました。

最後に司会の方から、次回以降の予定として、第5回口頭弁論は3月15日(水)、第6回は6月14日(水)、第7回は9月13日(いずれも水曜日、14時から)との報告がありました。
 また、署名活動を受けて大法廷(一般傍聴人席はこれまでの26席から75席へ)で審理が行われることとなったそうです。

原告の皆さんの辛い気持ちは、正直、想像することも共感することも困難です。
 原告の皆さんの「何が起こったかを知りたい」との思いで開始された裁判の行方を、注目していきたいと思います。