【ブログ】第2回 オーガニック学校給食フォーラム(オンライン)

2023年2月も半ば。
 梅は咲き誇っているものの、何とも気持ちが晴れません。ロシアのウクライナ侵略から(停戦への見通しも立たないまま)間もなく丸1年を迎えます。

2月14日はバレンタインデー。
 今年も妻から(特非)JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク、鎌田 實代表)のチョコレートを頂きました。有難うございます。
 パッケージにはイラクの子どもたちの描いた絵。その一人(9歳)が昨年、ユーイング肉腫で亡くなられたそうです。

右は JIM-NET のFBページより。

2月20日(月)10:00~14:30は、「第2回 オーガニック学校給食フォーラム-できるところからはじめよう! 食材・環境・食育から考えるオーガニック給食」にオンライン参加しました。
 盛りだくさんのプログラム。スタート時点で全国から120名以上が参加しています。

冒頭、主催者を代表して下山久信 NPO全国有機農業推進協議会 理事長から挨拶(以下、文責・中田)。
 「昨年3月の第一回フォーラムから1年、学校給食をめぐる状況は良くなっている。各地の首長選挙では学校給食の無償化や有機農産物を取り入れることが話題となっている。4月に発足する子ども家庭庁にも政策提言を行い、流れを実現していきたい」

続いて、高橋優子実行委員長(小川町の学校給食を考える会、全有研理事/埼玉県小川町)から開催趣旨の説明。
 「昨年のフォーラムでは、日本の有機農業の面積は0.6%に過ぎず、学校給食への導入はなかなか容易ではないなど多くの課題が明らかになった。今回、難しかったが、各地での取組みの参考や励みとなるような「見える化」リスト作りに取り組んだ。安全な食は安全な環境から。子どもたちの未来のために、子どもたちの体の基になるいい給食を食べさせてあげたいという思いで、この場を設定した」

農林水産省からは、みどりの食料システム戦略における有機農業の位置づけ、農林水産省の食堂における有機食材使用の取組み等について報告。

第1部は「学校給食のお米を有機に!~栽培技術はすでに確立~」と題して、中村陽子実行委員((特非)メダカのがっこう/東京都武蔵野市)からの報告。
 「有機米給食も1年間でずいぶん進展があった。学校給食の有機化は米から始めるといい。田んぼは国土の7%。有機栽培を始めると生きものたちが戻ってきて地域環境の回復・保全にもつながる。
 適正な価格で買い取る約束さえあれば、給食の有機米化はできる。栽培技術は確立している。たった2%の田んぼが有機になれば、学校給食を100%有機米にすることができる」

第2部は「食材・食育・環境の視点から考えるオーガニック給食」。
 まず、藤 晶子さん(未来の給食成田/千葉県成田市)から、オーガニック学校給食を継続する食材選定基準について報告。
 自分たちで独自に基準案を作成し、生産者、栄養教諭、給食センターとの意見交換を重ね、 市の教育長に提出することで大きな進展があったとのこと。 

続いて、大阪府泉大津市の南出賢一市長へのインタビュー。
 「泉大津市には農業はないが、月に2回、連携自治体の生産者のオーガニック食材等を使用した『ときめき給食』を実施している。心も体もときめく給食ということで、名称は栄養士さん達が考えた。食事の前に生産者の方の言葉を聴くなど、美味しいだけではない学びの場をつくっていきたい」 

本田恵久 実行委員(CPPフランス/CPPオーガニック給食協議会/福島県郡山市)からは、「フランスの環境視点を含む学校給食の認証」と題する報告。
 代表をされているNPO「こどもと農がつながる給食だんだん」では、フランスにおけるオーガニック給食認証についての情報提供や研修会等の活動をされているとのこと。

「フランスでは、2018年、学校給食等の食材の20%についてオーガニックを義務付けるエガリム法が制定されたこと等により、2007年には2%だった有機農産物のシェアは10%に上昇。3,048施設が認証を取得している。
 フランスでの調査・取材を通じて、オーガニック学校給食は、様々な方の協力があって実現できていることを痛感した」

第3部は「みんなでつくろう未来につながる学校給食」というテーマで、まず、見える化リストについて報告がありました。

高橋実行委員長から、
 「リストづくりは、実行委員の中で議論しながら進めたが、正直、非常に難しかった。リストは食材・食育・環境の3つの柱から構成される包括的なものとなっているが、発展途上で、今後、地域の実情に応じて進化していくものと考えている。現状のチェックや関係者との意見交換に活用してもらいたい。お米から、調味料から等とできることから始めれば、関係者の意識も変わる」等の全体的な説明。

 続いて、食材(米、野菜、畜産物、水産物、調味料)、食育、環境の分野について、それぞれ担当された実行委員の方からの詳細な説明がありました。
 なかなか詳細なリストで、すぐにでも各地域で活用できそうな「力作」です。

第3部の後半は、少人数のグループに分かれての討議(ブレイクアウト)が行われ、その後、再び全体で、各グループの代表者からの討議内容の報告。

最後のまとめとして、高橋実行委員長から、
 「今日は、各地で課題解決に向けて頑張っている方がたくさんいることを知り、話を伺うこともできて嬉しくなった。開催してよかったと思っている。
 オーガニック給食の課題は多いが、行政等と対立するのではなく、様々な立場を理解し合いながら進めることが必要。私たち草の根市民の立場としては、時間がかかることを覚悟して腰を据え、それぞれの地域の課題や取組みを共有しながら、少しずつ地道に前を向いて取り組んでいきたい」等の挨拶がありました。

この日のフォーラムの意義は、この高橋実行委員長の(万感こもった)言葉に集約されています。
 私は正直、学校給食は重要であるものの多くの課題があり、関係者も多く、なかなか前に進ませることは難しいという感覚を持っていました。
 しかし、この日のフォーラムで、現実に各地で無償化や有機化の取組みが進みつつあることを知るとともに、何より、この日の参加者(報告者だけではなくグループ討議で話を伺った方も含め)の多くが「草の根」の市民として、それぞれの地域に根を張って様々な実践をされていることを目の当たりにすることができて、非常に心強く思った次第です。
 ブレークスルーの予感がします。