【豆知識261】書店数、平均販売額等の推移

農家数の減少が危機感をもって語られる機会は多いですが、実は書店数も大きく減少しています。
 リンク先のグラフは、全国の書店数等の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/02/261_shoten.pdf

おおむね3年ごとに実施されてきた経済産業省「商業統計」(2012、16年は「経済センサス」)によると、全国の「書籍・文房具小売業」の事業所数(棒グラフ)は1980年代には8万店近くありましたが、90年に入ってから減少のペースを速め、2016年には3万5千店弱とピーク時の4割強にまで減少しています(調査設計の変更により厳密には接続しません)。
 なお、同期間に販売農家数は3割弱へと減少しています。

一方、折れ線グラフは1事業所当たり平均の売場面積、年間商品販売額を示していますが、一貫して規模拡大が進んでいることが分かります。この間、郊外型ショッピングセンターでの大型書店の進出等により、中小規模の、いわゆる「町の本屋さん」の閉店が続いています。
 ちなみに昨年12月の出版化産業振興財団の調査によると、全国の市町村のうち書店のない市町村が26%を占めているそうです。

しかしながら2010年代に入ると、平均売場面積は増加を続けているものの、平均販売額は低迷しています。ライフスタイルの変化に伴い、書籍についてもネット販売が増えていること等が影響していると言われています。

ところで、本屋さんだけではなく、八百屋さん、肉屋さん、酒屋さんなども大きく減少しており、商店街が衰退しつつあります。社会学者の宮台真司先生は、この「空洞化」が地域コミュニティを崩壊させ、ひいては日本社会全体の「劣化」につながっていると見立てています(さらに、スローフード運動が共同体再構築のヒントとなるともしています)。
 これらのことについても、稿を改めて紹介できればと思っています。

 データの出典:
 総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」、経済産業省「商業統計」から作成。
  https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.261、2023年2月20日(月)[和暦 如月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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