【ブログ】株式会社 Corot の挑戦(埼玉・所沢市)

2024モ年2月12日(月・祝)は、第3回 オーガニック学校給食フォーラムにオンライン参加。
 朝10時から16時近くまでの長丁場iに、400名を超える人が参加していたようです。フランス、韓国といった先進国の事例報告に続いて、日本各地の方たちからの実践報告(ほとんどが女性)。多くの課題に直面しながらも、活き活きと楽しく活動されている様子に感銘を受けた次第。

 中村陽子さん(NPO法人メダカのがっこう)の「オーガニック給食は、日本の子どもに起こっている様々な問題を解決すると同時に日本の農業を守ることにもつながる。カギは、まず自分が本気になり、キーパーソンを一人ずつ本気にしていくこと」との言葉が、特に強く印象に残りました。

前週の2月6日(火)は、東京・東村山市と埼玉・所沢市の国境近くにある図書喫茶カンタカへ。自由に読める蔵書の多さには、いつも圧倒されます。
 2階のスペースで19時から開かれたのは、7月14日(土)に所沢ミューズで予定している「川崎平右衛門フェスタ in 所沢市」の第1回目の実行委員会。実行委員長(仮?)の蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)はじめ7名が参加、私も端っこに座らせて頂きました。

 この日は実行委員会の規約と、フェスタの構成・内容の検討の方向などについて話合い。この中で紹介頂いたのが、梶よう子『赤い風』。柳沢吉保の時代の三富開拓を題材とした時代小説ですが、後日、図書館で借りてきて読み始めると、これがなかなか面白い。
 ただ、武蔵野台地を赤土としているのにはやや違和感。実際にはカバーの絵ほど赤くはないと思うのですが(右の写真は近所の畑の色)。

2月13日(火)の19時からは、いつもの会場(森のとうふやさんの手づくり菓子工房 conomi)で「農あるまちづくり講座 in 所沢市」の第6回目が開催されました。昨年11月にスタートしたこの講座も、後半に入りました。

 講師は(株)Corot (コロット)代表の峯岸祐高さん(42歳)。
 この日は吉見町での古民家活用の勉強会に講師として招かれていたそうで、養蚕で使われたらしい珍しい道具も見せて下さいました。
 峯岸さんの講演のうち、特に印象に残った部分は以下の通り。なお、文責は中田にあります。

「設立から14期目になるが、現在の事業の柱は4本。
 一つ目は体験農園付き農家民宿 corot 。27歳の時に5反の畑とともに古民家を親族から引き継ぎ、最初は自ら就農しようと市内の先進農家で研修したが、後に民宿と体験農園に方向転換。2011年、埼玉県で第一号の認定を取得した。囲炉裏や五右衛門風呂など農家の暮らしを体験できる」

「2本目の柱は流通関係。約200軒の農家と契約し、集荷した野菜等をレストランなど約200軒に販売している。ローカルな流通が中心だが、宮崎の生産者とも契約。
 生産者とは一定の買取価格で年初に契約。また、一緒に1年間の作付計画を作り、種や資材のあっせんや栽培指導を行うこともある」

(株)Corot のホームページより。

「3番目はイタリア料理のレストラン・ナチュール。契約農家の食材等を使い、里芋スープなどの加工の拠点にもなっている」

「最後がコーディネート事業。イベント、マルシェ、メディアサイトの運営などを受託している。調理師専門学校とホテルによる江戸東京野菜のメニュー開発なども。本年1月には直売アプリ「食べるTokyo」を正式リリース。
 西武鉄道の駅構内での無人販売の取組み(eat local marche)は実証試験が終了し、近く本実施を予定している」

左は corot、右はナチュールのフェイスブックページより。

「日本農業は、高齢化の進行や耕作放棄地の増加など危機的な状況にある。このままでは地元の野菜がなくなりかねない。大きなJAの方からは『この2、3年、地域の農業は音を立てて崩れている』という話も伺った。
 地元にある農業はライフラインでもある。地元のものを買う、地元の農家とつながることが重要。地産地消は輸送距離が短いだけではなく、双方向でサステナブルな流通」

 ところでこの日は、峯岸さんは東京ネオファーマーズのTシャツを着ておられました。
 「農家が高齢化し、後継者もいない中で東京でも埼玉でも新規就農者が頑張っている。しかし農地、住居、農機具などの面でのハンデは大きく、苦労も多い。地域として応援していかなければならない」

 「これ以上農家が減らないように、できることは何でもやっていきたい。まだまだ小さな取組みで、多くの失敗もしてきたが、広がってきているという実感はある」

左は(株)Corot のホームページより。

受講者との間で活発な質疑応答。
 消費者への直接販売についての質問に対しては、直売店やデパ地下での販売を手掛けたこともあったそうで、近く所沢駅東口に出店する予定の量販店で販売する計画もあるとのこと。
 また、契約したいという生産者は多く、販路の開拓・確保が現下の最大の課題になっているひうです。
 若い世代の活躍に感動したと、率直な感想を述べられた高齢女性の方もおられました。

非常に刺激的な内容でした。
 今国会に上程される予定の食料・農業・農村基本法の改正案は、食料安全保障の確保が眼目となっています。世界的に食料危機が叫ばれ、国内の農業生産基盤の脆弱化が進むなか、国民に対する食料の安定供給の確保が喫緊の課題となっているということですが、峯岸さんのような地域に根差した実践こそが、実効性もあり、大きな意義があるものと思われます。
 ますますのご活躍を期待します。
 農家民宿(2011年に上映会で伺ったことがあります。)やレストランにも、また伺いたいと思います。

ところで、蔦谷栄一先生がこの度、ご新著『生産消費者が農をひらく』(2024.1、創森社)を上梓されました。

帯には「皆農がもたらす持続性と地域循環!」とあり、銀座での勉強会で何度かお聞きしていた逆ピラミッドの図(担い手確保のカギを握る市民参画型農業、p.198)も、詳しく解説されています。
 しっかりと勉強させて頂きます。

(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、登録無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997