【ブログ】基本法改正の全貌(今夜はご機嫌@銀座で農業)

2024年も3月に入りました。気温の上昇に伴って、いよいよ花粉の飛散(悲惨)も本格化。
 ウクライナやガザでの戦争は、依然として収束の気配も見えず。国内では「裏金」問題ばかり注目されていますが、戦闘機の第三国輸出や、イスラエルからのドローン調達等の重要な問題も。
 そして能登半島地震から2か月、東日本大震災・東電福島第一原発事故からは間もなく丸13年。

 3月恒例の散らし寿司(岡山の祭り寿司風)と白酒。
 ところが8日(金)朝は東京地方も一転して雪に。気候の変動幅が大きいようで、急きょテレワークに変更。

3月6日(水)の終業後は、東京・京橋の東京スクエアガーデン6階にある中央区立環境情報センターへ。世界の変化の「スピード感」をリアルに感じられるという地球儀(SPHERE)も展示されています。

会議室で18時30分から開催されたのは、2024年3月の「今夜もご機嫌@銀座で農業」。
 蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)をメイン講師に、月1回のペースで開催されている勉強会です。

この日のテーマは「農業情勢トピックス~見えた基本法改正の全貌~」。蔦谷先生のご講演の概要は、以下のようなものでした(文責・中田)。

食料・農業・農村基本法の改正案については、一昨年5月の自民党提言を受けて10月から農政審議会検証部会で検討が行われ、本年2月に閣議決定され国会に提出されている。食料供給困難事態対策法案等とあわせて、4月頃から審議が本格化する見込み」

「今回の改正案における基本理念は、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立と多面的機能の発揮、農業の持続的発展、農村の振興」

 「食料安全保障については『国民一人一人が食料を入手できる状態』と定義するとともに、輸出を国内供給能力の方策として新たに位置づけ。コストを考慮した合理的価格形成についても規定された」

 「『環境と調和のとれた食料システムの確立』を基本理念として新たに明記し、多面的機能の発揮のためにも、農業、食品産業における環境負荷低減を促進すること等を規定」

 「農業の持続的発展の関係では、自然循環機能の維持増進が強調されている。また、効率的・安定的な農業経営体以外の多様な農業者やサービス事業体についての規定も新設された」

 「農村の振興の関係では『地域社会』が重視されている。農福連携、鳥獣害対応についての規定が新設され、都市農村交流の中に二地域居住が盛り込まれた」

最後に蔦谷先生からは、
 「全体として、みどり戦略の趣旨が法律に位置付けられ、引き続き多面的機能の発揮について書かれ、地域を重視する姿勢など一定の評価ができるが、肝心の担い手育成についてはスマート農業や大規模化が基本となっており、力不足と言わざるを得ない。
 都市農業がしっかりと位置づけられなかったことも残念。また、将来展望が必ずしも明確となっていない」等の総括的なコメントがありました。

後半は、参加者との間で質疑応答・意見交換。
 「食料安全保障は国民全体の議論であるはずなのに、農業サイド中心の議論となっている印象。都市農地税制についても具体的な課題として取り上げ、踏み込んだ議論が必要」
 「食料や農業についての若い人の関心は低く、このような講座にも参加しない。子どもの頃から、自然に食べものや農業に関心を持つような教育が大切では」

 「多様な担い手については条文に位置づけられたものの、まだ不十分」
 「今後、どこまで実効性のある基本計画が策定できるかがポイントでは。例えば自給率については消費者の関心も高いと思われるが、検証部会ではほとんど議論されていない」
 「食料供給困難事態法案についての見解もお聞きしたい」

 「合理的な価格形成はJAを利するだけという議論も。直接支払いの拡充が必要ではないか」
 「種子の自給についての論点が欠けている。いずれにせよ国に大きな期待はしていない。若い農業者を支えるような運動を地域で進めていくことが重要
 「FAOにおける食料安全保障の議論では、授粉昆虫など生物多様性も重視されている」等の意見や質問。

これらを受けて蔦谷先生からは、
 「合理的な価格形成という視点も重要だが、所得そのものに着目した直接支払いをどう拡充していくかが重要。あるべき社会像の提示に向けて、さらに抜本的な議論が必要ではないか。直接支払い施策のモデルともされるEUでも、農民によるトラクターデモなど抗議運動が広がっている」等の回答がありました。

 なお、先生の問題意識や今後のビジョンについては、ご新著『生産消費者が農をひらく』(2024.1、創森社)のなかでも、詳細かつ分かりやすく論じられています。

また、この日は、主催者の高安和夫さんから、ご自身が代表を務められている(一社)トウヨウミツバチ協会で作成した『養蜂GAP導入の手引書』を頂きました。
 消費者、生産者、環境にとって良好・適切なミツバチの飼い方についての詳しい教科書で、初心者や養蜂を始めようとする人にも分かりやすく、SDGsや食料安全保障の実現にも資するものと注目されます。

この勉強会は、毎回、参加者10名程度と比較的少人数なのですが、それだけに全員が自由に発言でき、(その後の懇親会を含めて)濃密な意見交換ができるというメリットがあります。
 来月の「今夜はご機嫌@銀座で農業」は4月25日(木)に開催予定。どなたでも参加できますので、ご関心のある方はフェイスブックページ等からお申し込みください。

(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、登録無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997