食料自給率だけではなく、木材についても自給率という指標があります。
まずは食料自給率のおさらいから。
食料自給率を総合的に把握する指標にはカロリーベースと生産額ベースの2種類があり、併用されています。これは、前者には野菜・果実や畜産物の生産活動が、後者には国内の畜産が輸入飼料に依存している等の事情が、それぞれ十分に反映されないという事情があるためです。
2015年度の食料自給率は生産額ベース(リンク先の図72の赤い折れ線グラフ)で66%、カロリーベースで39%(青)となっていますが、両者とも長期的には低下傾向で推移しています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/04/72_mokuzai.pdf
さて、緑の折れ線グラフが木材の自給率です。これは体積ベース(材積量、丸太換算)で計算されます。
1960年頃は90%近くあった日本の木材自給率は、高度経済成長の過程で木材に対する需要が拡大を続けるなか、丸太の輸入量が増加する一方で国内の林業生産が低迷したことから2000年頃には20%を割り込む低い水準にまで低下しました。
しかし近年は上昇傾向にあり、食料自給率とは異なる動きとなっています。
これは、輸出国の丸太輸出規制や違法伐採対策により木材輸入量が減少する一方、国内の人工林資源の充実、製材・合板原料としての国産材利用の増加、木質バイオマス発電施設の増加等から国内生産量が増加傾向にあるためです。
日本は世界でも有数の森林国です。
森林率(陸地面積に占める森林面積の割合)は68.5%と、先進国のなかではフィンランド(73.1%)に次いで2位です(世界全体では30.6%)。
国内の豊かな森を守り未来につないでいくためには、国産材に対する需要が増加することが必要ですが、まずは私たち一人ひとりが身近なところで「森に親しむ」ことから始めるのが大事かもしれません。
[参考]
「平成27年木材需給表」の公表について (2016年9月、林野庁)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/160927.html
食料自給率・食料自給力について(農林水産省ホームページ)
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011_2.html