日本の人口が減少に転じ東京圏への人口集中が続く中、「地方消滅」等の悲観的な論調が現れる一方、都市部から農村部に移住する「田園回帰」と呼ばれる新しい潮流が生まれつつあります。
総務省は今後の過疎対策を検討するため、「田園回帰に関する調査研究会」(座長:小田切徳美 明治大学教授)を設け、国勢調査データに基づく人口移動の詳細な分析、農山村への移住等に関する都市住民の意向調査、若年層人口が増加している市町村の現地ヒヤリングなど幅広い調査研究を実施しています。
2017年3月に公表された中間報告書の一部を紹介します。
2010(平成22) 年国勢調査のデータによると、2005~10年の間に都市部から過疎地域へ移住した者の数は、合計で26万7千人となっています(男性14万8千人、女性11万9千人)。
リンク先の図82の棒グラフは、都市部から過疎地域への移住者の数を年代別、男女別に示したものです。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/09/82_denen.pdf
これによると、全体の移住者のうち20代が6万7千人、30代が6万2千人と、20~30代が全体の約半数を占めていることが分かります。
それでは、これら移住者の数は、その地域の人口のどの程度の割合を占めているでしょうか。
折れ線グラフは、過疎地域の区域(旧市町村単位)の総人口に占める都市部からの移住者の割合が、1割を超える区域の割合を示したものです。
例えば20代の女性についてみると、全国の過疎地域の32%の区域において、都市部からの移住者が1割以上を占めているのです。
このように「田園回帰」の主役は若い世代であり、これら世代は地域の総人口の中でも相当の割合を占めていることから、コミュニティや経済面でも重要な役割を担っていることが伺えるのです。
なお、本中間報告書では、さらにブロック別の分析や、特に30代女性の移住者に焦点を当てた分析等もなされているので、関心のある方は参照下さい。
さらに、本年度末には、2015年国政調査結果の分析も含めた詳細な報告書が公表される予定とのことです。
[参考]
総務省「『田園回帰』に関する調査研究中間報告書の公表」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei10_02000043.html ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-F.M.豆知識」
http://food-mileage.jp/category/mame/
【F.M.Letter No.127, 2017.9/20配信】掲載