2018年7月11日(水)の終業後は東京・秋葉原へ。
18時過ぎですが、まだまだ昼間の熱気がこもっています。
西の空の先にある西日本では、深刻な大雨被害が拡大しており、心が潰される思いです。
被災された皆さまには衷心よりお見舞い申し上げるとともに、一刻も早く日常が戻ることをお祈り申し上げます。
JR高架下にある日本全国の名産品を集めたアンテナショップ(日本百貨店しょくひんかん)で岡山県産のパクチー・ドレッシングを購入した後に向かったのは、ビルの7Fにある国際青年環境NGO・A SEED JAPAN。
この日は東日本大震災から7年4ヶ月目。
「月命日」に当たる毎月11日、震災を忘れまいと毎月開催されている「福島復興の集い・結イレブン」に久しぶりに参加しました。
今回が55 回目、私は昨年12月以来の参加です。
この日のテーマは「浜通り・ふたばの『知りたい』と『伝えたい』~Go Fukushima, Go Future~」。(Go Go は55回に掛けたもの?)
主催は、ふたば地域サポートセンター(ふたすけ)、NPO 元気になろう福島、A SEED JAPAN、すずめの未来市です。
19時を回り、鈴木亮さん(ふたすけ)の進行により開会。
鈴木さんは1年ほど前に福島・富岡町に居を移されました。最近、自動車の免許も取られたとのこと。
まずは参加者から自己紹介。
頻繁に福島にボランティアで通っておられる2人の男性(OさんとUさん)。A SEED JAPAN 理事で「エコ貯金プロジェクト」を担当されているTさん。群馬県下のテレワークセンターで活動されているKさんは、FBページを見て飛び入りで参加されました。それに A SEED JAPAN 事務局長の西島香織さん。
また、福島のNPOで活動されているNさんはオンラインでの参加です。
この日の発表者は、今年3月に高校を卒業したばかりで、A SEED JAPAN のメンバーであるMさん(愛称・かっぺさん)。
東京で生まれ育ち、これまで「浜通り」という言葉さえ知らなかったというMさんは、東日本大震災が発生した時は小学生でした。秋に予定している米国への留学前に福島のことを知っておきたいと、3泊4日で浜通りを旅して来られました(前日に戻られたばかり!)。
ホワイトボードに描かれた地図(行程)に沿って、スライドを映写しながら話が始まりました(文責・中田)。
テーブルには、福島産の野菜や「魔法のお菓子」が並べられています。
「東京から南相馬へりバスツアーに参加。国道6号線を北上する時には帰還困難区域を示すバリケードも自分の目で見た。小学生の帰還率は約20%、除染廃棄物を入れたフレコンバッグは片付きつつあるものの移動しただけなど、地元の方からは厳しい現状についての説明も受けた」
「訪問したゲストハウス(浪江町)では、滞在中の東京の大学生2人と会った。毎月のように来ているそうで、一緒に野菜作りなど手伝った。駅に近い場所だが人通りは少なく、商店街も午前中から開いていたのは2軒だけだった」
「いわき市では、ちょうど開催されていた未来会議に参加。被災当時は中学生だったという大学生が、避難中のつらかった経験を涙ながらに話されていた。同じ県内でも差別があり、放射能に関する知識も共有されていない。年齢が近いこともあって、悲しみを『自分ごと』として感じことができた」
「楢葉町の小料理屋さんも訪問。女将は、対話することでコミュニティを作りたいと移住して来られた方。多くのお客さんで賑わっていて、少し手伝いもさせてもらった」
「震災についてはマイナスイメージを持っていたし、現地の厳しい状況も自分の目で確かめることができた。
でも、今回の旅で出会った人たちは、みんな楽しそうに笑っていたという印象。いつでも遊びに行けるし、また行きたいと思った」
引き続き、参加者との間で質疑応答や意見交換。
「多くの人に当事者意識を持ってもらうためには、どうすればいいと思うか」との問には、Mさんは「私自身、本当の当事者意識は持てないと思う」との回答。
ボランティアに通っている男性からも「自分が当事者だと思ったことはない」との発言。
「当事者意識にもグラデーションがある。実際の被災者ではなくても、旅をしたことで何かを感じたとしたら、その時点ですでに当事者になっているのでは」とのコメントも。
西島事務局長からは「東京の人に何が分かるかと言われて悔しい思いをしたこともある。そういったところから当事者としての意識が始まるのでは」といった発言もありました。
他に、「縁もゆかりもない土地でも、現地の方と交流し熱意を感じることでつながることができる」「美味しかった食事の写真を見せることで、福島のファンを増やせるのでは」等の発言も。
充実した行程をコーディネートされた鈴木さんからは、「結果としてイベントを中座することになったりした。もっとじっくりと話をした方が良かったかも」との言葉もありました。
最後にMさんから「今回の旅から得たものは、米国を含め、これからの生活のなかで活かしていきたい」との決意表明があり、この日のイベントは終了。
短い間に資料を整理し、自らが感じたことを素直に伝えようと真摯に言葉を探しながら話す姿勢には、好感を覚えました。
ところで、会場では今回もきぼうのたねカンパニー(福島・二本松市)の野菜が販売されました。
色とりどりの夏野菜があるだけで、雑然とした(失礼)事務室の中も華やぎます。
なお、きぼうのたねカンパニーでは、7~8月の売上の一部を今回の大雨で被災した岡山の農家の方への支援に充てられるとのことです。