前回は、FAO「世界の食糧安全保障と栄養の現状に関する白書」(2018年版)から飢餓人口の地域別推移を紹介しました。
減少傾向で推移していた世界の飢餓人口は、近年、増加に転じており、2017年における世界の飢餓人口は8億2,080万人。飢餓人口はアジアで最も多いものの、増加の程度はアフリカで著しいことを紹介しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/05/167_kiga.pdf
世界人口に占める飢餓人口の割合(飢餓人口割合)も、同様に低下傾向で推移していましたが、やはり近年は上昇に転じています。
リンク先の図168は、この飢餓人口割合の地域別の推移をみたものです。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/05/168_kiga2_3.pdf
2017年における世界の飢餓人口割合10.9%。つまり世界では、9人に1人は十分な栄養を摂取できていません。
地域別にみると、アフリカで高いことが見て取れます。特に東アフリカで31.4%、中央アフリカでは26.1%と、これら地域では3~4人に一人が栄養不足の状況にあります。西アフリカでは、近年、特に大きく上昇しています。
これらの背景には、近年における国際的な食料価格の高騰、1人当り実質GDPの伸びの鈍化、急速な人口増加等、複雑な状況があると分析しています。
世界的な飢餓の撲滅のためには、多様な参加者による様々なレベルでの対応が必要です。次の「オーシャン・カレント」欄では、政治(閣僚)レベルの対応について紹介します。
[出典等]
FAO“The State of Food Security and Nutrition in the World, 2018”
http://www.fao.org/3/i9553en/i9553en.pdf
国連WFPニュース「世界の飢餓人口の増加は継続」
http://ja.wfp.org/news/news-release/180912
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出所:F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.168
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/mame/