【ブログ】霜里農場見学会(埼玉・小川町)

2019年9月8日(日)は、埼玉・小川町へ。
 台風15号が接近中ですが、青空が広がっています。快適な東武東上線の新型車両で、12時過ぎに東武東上線・小川町駅に到着。
 前日のオーガニックフェスに続き、この日はワイン祭りが開催中。もっとも、私の目当ては霜里農場の見学会です。

 バスに乗る前に駅近くのスーパーで「小川の自然酒」、豆腐屋さんで おからクッキーを購入。

下里のバス停で降り、徒歩で会場の旧・下里分校に向かいます。
 田んぼは一面の稲穂。5月に田植え体験させて頂いたところも、無事に実りの秋を迎えています。

 時おり、ミストのような細かな雨が風に乗って落ちてきます。確かに雲行きは変です。

槻川の清流を渡ると、間もなく旧・下里分校に到着。
 有名なアニメの舞台(モデル)ともなったところ。現在はNPO法人が運営しており、カフェも併設されていました。

13時30分から、霜里農場見学会がスタート。
 参加者は、小さな子どもを連れた家族連れを含めて20名ほどです。

 主催者である高橋優子さん(NPO生活工房つばさ・游)の開会挨拶に続き、日本の有機農業のパイオニアである金子美登(よしのり)さんによる講義です(文責・中田)。
 『金子さんと地域づくり-実践40年の現場から』という副題のテキストを配って下さいました。

「日本は、農業・農村を軽視する(根の無い)切花国家。手を伸ばしたところに食、エネルギー、水があることが大切。
 世界的に有機農業が盛んになってきているが、日本では低調」

「有機農業の基本は土作り。
 山の自然のなかでは100年かかる腐葉土をづくりを、人間の働きで10~20年に縮めて堆肥を作る。種は自家採種し、種苗交換会を開催」

「1970年代から有機農業に取り組んできた。
 最初、町内の10軒ほどの消費者と会費制の提携を始めたが、これはうまくいかなかった。 その後、首都圏の消費者を含めた30軒ほどとの間で、『お礼制』による提携を始め、現在まで続いている」

「有機農業の普及にも取り組んできた。  受け入れた研修生は国内だけでも150人。地域のリーダーになっている人も」

「1987年には、地域の人たちと夜中まで話し合って農薬の空中散布を中止。無事に収穫できた時は本当にほっとした。
 2001年には、私の取組みをずっと見ていてくれた16年先輩の方が有機農業に転換することを決めた。これで村が動いた」

 「地場産業とも提携し、内発的発展による村おこしにも取り組んでいる。地元の造り酒屋さんは有機米を原料とした『おがわの自然酒』を販売。醤油メーカーや豆腐屋さんとも連携。
 さいたま市のリフォーム会社は、賛同する社員には給与の一部をお米で支払うというプロジェクトを実施してくれている」

「2010年には農林水産祭(村づくり部門)の天皇杯を受賞、両陛下の行幸啓を仰ぎ、畦道でこれまでの取組みをご説明する栄誉も。
 これらも励みとして、これからも有機農業や里山を含む地域づくりに取り組んでいきたい」と締めくくられました。

 引き続き、参加者との間で質疑応答。

 消費者との提携に当たっての課題についての質問には、
 「提携三原則とは、全量買取、即金現金支払い、再生産可能な価格。
 消費者と生産者の間では、時間軸や価値観が異なるためコミュニケーションギャップが生じることがある。両者を『通訳』するコミュニケーターが必要。
 農業体験会等の取組みも重要」等の回答。

他にも米麦の収量など、技術的な内容を含む様々な質問が出されました。
 休憩ののち、徒歩で数分の霜里農場に向います。

 まずは、町内の飲食店等から回収している廃食油(てんぷら油など)の遠心分離機や、精製したSVO(ストレートベジタブルオイル)」を使うトラクター等の実演。
 エンジンをかけると、てんぷらの香りがしてきました。

その後は、後継者の金子宗郎さんが農場を案内して下さいました。
 フィリピン・ネグロス島での農業支援等にも取り組んでこられた方だそうです。

 家畜糞尿や生ごみ等を投入してメタンガスを発生させるバイオガスプラント(発酵槽)。
 実際に火をつけて見せて下さいました。炊事や風呂等に利用できるそうです。 

水田の除草に活躍しているアイガモたちは、人の姿をみて駆け寄ってきました。

 ハウスの中に木枠を作り、落ち葉等を踏み込んで堆肥を作っています。数年かけて熟成させ、田畑に施用するそうです。 

栽培している野菜は約80品目とのこと。
 連作障害や病害虫を避けるため、どこに何を植えるか等に気を配っておられるそうです。化学合成農薬等は使用していないため、作物の間には雑草もあります。バッタなどの姿も。

 「害虫という名の虫はいない。雑草という名の草はない」
 宗郎さんが説明して下さいます。

鶏小屋や牛舎も見学させて頂きました。
 家畜伝染病予防のため、野鳥やネズミが入らないように厳しく管理しているそうです。

 やがて槻川のほとりに出ました。豊かな水の流れです。
 対岸の山林の落ち葉等は、たい肥に利用しているとのこと。

野菜苗作りの様子も見学させて頂きました。
 土に直接播種し、へらのような道具を使って分ける様子を実演して見せて下さいました。
 このようなところでも工夫して、プラスチック製品の使用を抑制しているそうです。

16時前に見学会を終了。少々の質疑応答に続いて、全員で記念写真。
 気がつくと、東の空に虹が出ていました。

終了後は、高橋さんに誘って頂き、有機野菜食堂「わらしべ」へ。古民家を改装した素敵な建物です。
 この日は、ワイン祭りのボランティアの方たちの慰労会が予定されていました。

 続いて、農家のCafe & Bar “Transit” へ。
 こちらは外見は普通の建物ですが、中に入るといい雰囲気です。 地ビール、地ワイン、うどん等を頂きました(美味!)

スマホを開くと、史上最強ともされる台風15号が南関東に接近、東海道新幹線も運休が決まっている等のニュース。
 慌てて帰宅の途に就いた次第(無事に帰宅できました)。

 なお、台風15号は、翌日明け方に東京湾から千葉市辺りに上陸、千葉を中心に大きな被害をもたらすことになります。
 大規模停電は1週間後の今も復旧していません。