【豆知識】「中堅人口」の増減率

2014年5月、日本創生会議が公表したレポートは大きな波紋を呼びました。
 2010年から40年にかけて20~39歳の女性人口が5割以下に減少する「消滅可能性」がある市町村が、実に全国1799のうち896にのぼるという内容です。
 果たして本レポートが指摘したように、中小規模の市町村等は「消滅」に向かっているのでしょうか。

 リンク先の図178日は、直近5年間の「中堅人口」の増減率を都道府県別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/10/178_cohort.pdf

 「中堅入口」とは造語ですが、具体的には、2019年1月1日現在における30~49歳(30・40歳代)人口の、2014年1月1日時点における25~45歳人口(同コホート)からの増減率を表示したものです(外国人を除く数値です)。

 全国の中堅人口は5年前に比べて0.4%減少(自然減(死亡))していますが、都道府県別にみると、社会増減(転入、転出)があるため大きな変動があります。
 最も増加率が高いのは沖縄の1.17%で、これは、20代までに県外に進学した者のUターンや、自然環境等に魅かれた30・40歳代の者のIJターンが多いためと考えられます。
 三大都市圏についてみると、中堅人口が増加しているのは東京、埼玉、千葉のみで、大阪、愛知でも減少しており、東京圏への一報集中が見て取れます。
 それ以外に増加している県のうち石川、香川、福岡については、県庁所在地周辺での増加率が高く、地域内での集中の現れとみることができます。

 一方、特徴的なのは島根と長野です。  この両県でも県全体で「中堅人口」が増加して今すが、市町村別にみると、(消滅可能性が高いとされた)山間部や島嶼部の小規模町村のなかで、特に人口が増加している町村があることが分かります。
 この背景には、沖縄への移住と同様、自然環境等に魅かれた「田園回帰」の動きがあるものと考えらます。

 なお、これらの実態を的確に把握するためには、当然ながら都道府県単位の分析では不十分で、市町村(さらには旧町村や集落)を単位とした分析が必要です。

[元データの出典]
 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.178
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
 (過去の記事はこちらにも掲載)
  https://food-mileage.jp/category/mame/