【メルマガ】F.M.Letter No.178

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.178◇
 2019年10月13日(日)[和暦 長月十五日]発行
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◆ F.M.豆知識 「中堅人口」の増減率
◆ O.カレント  地域づくり情報誌『かがり火』
◆ ほんのさわり 寺本英仁『ビレッジプライド』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 日ごとに夜が長くなり、冷え込む空には月が輝く長月も半ば。
 大きな台風19号により河川氾濫など広い地域に被害が発生(台風が通過した今朝も被害が広がりつつあります)。被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げます。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ。前号の地球環境から、今号は「地域」の特集となりました。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/mame/

-「中堅人口」の増減率-

2014年5月、日本創生会議が公表したレポートは大きな波紋を呼びました。
 2010年から40年にかけて20~39歳の女性人口が5割以下に減少する「消滅可能性」がある市町村が、実に全国1799のうち896にのぼるという内容です。
 果たして本レポートが指摘したように、中小規模の市町村等は「消滅」に向かっているのでしょうか。

 リンク先の図178日は、直近5年間の「中堅人口」の増減率を都道府県別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/10/178_cohort.pdf

 「中堅入口」とは造語ですが、具体的には、2019年1月1日現在における30~49歳(30・40歳代)人口の、2014年1月1日時点における25~45歳人口(同コホート)からの増減率を表示したものです(外国人を除く数値です)。

 全国の中堅人口は5年前に比べて0.4%減少(自然減(死亡))していますが、都道府県別にみると、社会増減(転入、転出)があるため大きな変動があります。
 最も増加率が高いのは沖縄の1.17%で、これは、20代までに県外に進学した者のUターンや、自然環境等に魅かれた30・40歳代の者のIJターンが多いためと考えられます。
 三大都市圏についてみると、中堅人口が増加しているのは東京、埼玉、千葉のみで、大阪、愛知でも減少しており、東京圏への一報集中が見て取れます。
 それ以外に増加している県のうち石川、香川、福岡については、県庁所在地周辺での増加率が高く、地域内での集中の現れとみることができます。

 一方、特徴的なのは島根と長野です。
 この両県でも県全体で「中堅人口」が増加して今すが、市町村別にみると、(消滅可能性が高いとされた)山間部や島嶼部の小規模町村のなかで、特に人口が増加している町村があることが分かります。
 この背景には、沖縄への移住と同様、自然環境等に魅かれた「田園回帰」の動きがあるものと考えらます。

 なお、これらの実態を的確に把握するためには、当然ながら都道府県単位の分析では不十分で、市町村(さらには旧町村や集落)を単位とした分析が必要です。

[元データの出典]
 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html

◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
  http://food-mileage.jp/category/pr/ 

-地域づくり情報誌『かがり火』-

『かがり火』は、合同会社かがり火が発行する地域づくりの情報誌です。
 1987年の創刊から30年以上にわたり、隔月で年6回発行されており、地域づくりに情熱を燃やす多くの方達が紹介されています。
 「人間情報誌」でもあり、地域を元気にするためのノウハウや試行錯誤の歴史等が満載です。
 地域の情報は、全国の約250名の「支局長」が提供し、発行人の菅原歓一さんが自ら足を運んで取材されることも多いそうです。

 取り上げられている方の多くは、いわゆる有名人ではありません。その理由を、菅原さんは次のように語っておられます。
 「世の中には、有名になることなど全く眼中になく、コツコツと努力を続け、黙々と自分の役割を果たしている方たちがいます。自分の功績をPRしませんから、マスメディア等に取り上げられることもありません。しかし、このような方たちによって、社会は支えられているのです」。

 もっとも、『かがり火』の歴史は平坦なものではありませんでした。
 2009年4月、129 号を刊行した時点で資金難等から休刊に追い込まれたのです。すると読者の有志が「決起集会」を開いてカンパを集め、同年12月に復刊を果たし、現在に続いているのだそうです。
 なお、10月19日(土)には、政策研究大学院大学(東京・港区六本木)で復刊10周年記念フォーラムが開催されます。
 内山節さん(哲学者、『かがり火』編集人)による講演、首長等による地域からの報告等が予定されているとのことで、読者であれば誰でも参加できます。

 菅原さんは、本年6月発行のNo. 187の編集後記で「常識を大切にしたい」と書いておられます。
 「住みやすい社会を作るための常識(社会通念)を醸成することは大変難しい。悪い方向に向かう場合もある。本誌は右にも左にも偏ることのない常識を心棒に据えて、これからも編集を続けていきたい」と決意表明されています。

[参考]
 『かがり火』ホームページ(購読申し込みもこちら)
  http://www.kagaribi.co.jp/
 『かがり火』復刊10周年記念フォーラム案内
  https://www.facebook.com/events/674911059658842/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
  http://food-mileage.jp/category/br/

-寺本英仁『ビレッジプライド-「0円起業」の町を作った公務員の物語』(2018.11、プックマン社)-
  https://bookman.co.jp/book/b427817.html

1971年生まれの著者は、東京農業大学を卒業後にUターンして石見町(現 邑南町(おおなんちょう))役場の職員となりました。
 公務員になったのは、幼い頃からおばあちゃんに「公務員になりなさい、安泰だよ」と言われていたためで、最初の頃はあまり仕事に熱心ではなかったと告白しています。

 その後、結婚して長男が誕生し、同級生からは「役場は働け」と発破をかけられ、観光係に異動したこともきっかけになり、何とか町を持続させたいという一心で「町おこし」に邁進するようになりました。
 ネットショップの立ち上げ、「A級グルメ構想」の推進の一環としての役場直営の地産地消レストランの開店、「耕すシェフ」研修制度や「食の学校」「実践起業塾」の創設など、次々と斬新なアイディアを打ち出し、実行に移していきます。
 移住者の男性が、自己資金ゼロでパン屋を開業したエピソードも紹介されています。
 地元にパン屋が欲しかった地域の人たちが店舗を準備(空き店舗を改修)し、開店後は客としてパンを買うだけではなく、レジ作業や皿洗いを手伝ってくれているのだそうです。

 しかし全てが順調だった訳ではありません。「すべては試行錯誤」で、たどりつくまでの「紆余曲折」についても、本書には詳らかに書かれています。
 例えば、ネットショップの売上げは伸びたものの、ヒレやサーロインといった特定の部位ばかり売れてバラやモモが余って困っているという生産者の声を聞いた著者は、ショックを受け、自分にできることはないかと考え悩んだ末、一人で串焼きをつくって道の駅で売ったこともあったそうです。
 大量の串を刺すため手はボロボロになったとのこと。

 著者は「歩き始めるのがいちばん重要であり難しい。もし間違っても、その都度修正していけばゴールに近づいていく。ゆっくりであっても歩き始めれば、いつかゴールは見えてくる」と書かれています。
 著者の目標は「この町が好きで、誇りをもって暮らせる町」にしていくこと。その「ビレッジ・プライド」を全国に広げていきたいという著者のさらなる活躍に、期待したいと思います。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

 ▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ Let’s enjoy デコボコ野菜、ほっこり日本酒会[9/29]
 https://food-mileage.jp/2019/09/29/blog-220/

○ いのちの科学映像(アイカム)[10/1]
 https://food-mileage.jp/2019/10/01/blog-221/

○ 飢餓のない世界を目指して(WFPの取組み)[10/6]
 https://food-mileage.jp/2019/10/06/blog-222/

○ 幸せだった豚、CPS15周年、箕と環、そして言葉の力[10/10]
 https://food-mileage.jp/2019/10/10/blog-223/

 ▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 奥沢ブッククラブ第48回-コエーリョ「アルケミスト」
 日時:10月14日(月・祝)18:30~21:00
 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢2)
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/445795676033179/

○ 共奏キッチン♪@自由が丘シェア奥沢 #96
 日時:10月16日(水)18:00~22:00
 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢2)
 主催:共奏キッチン♪
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/779373129148641/

○ 「かがり火」復刊10周年記念フォーラム
 日時:10月19日(土)13:30~17:30
 場所:政策研究大学院大学(東京・六本木)
 講師:内山節氏、飯館村・菅野村長ほか
 主催:地域づくり情報誌「かがり火」
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/674911059658842/

○ 巻寿司お楽しみ会♪ロング巻寿司にオリジナル巻寿司
 日時:11月4日(月・祝)12:00~20:00
 場所:箕と環(東京・日本橋本石町4)
 主催:八幡名子さん
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/3036457436427669/

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*舞麗児忽々のコツコツ小咄。
「素晴らしいラグビーの試合だったね。もう一度やっても同じ結果にはならないだろうね」
「もちろん。ノー・サイド(再度)ですから」

 コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
 http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.179は10月28日(月)[和暦 神無月朔日]の配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
 発行者:中田哲也
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