【ブログ】広野町に「賑わい」と「生業」を取り戻す(Fw:東北)

2019年12月12日(木)。
 昼間は暖かかったのですが陽が落ちると冷え込んできました。
 終業後は東京・外神田にある3331 Arts Chiyodaへ。

 2005年に閉校した旧練成中学校の建物をリノベーションし、アートギャラリー、オフィス、カフェなど文化活動の拠点となっている有名な施設です。
 
 昔のままの靴箱は DM入れ等に活用。畳が敷かれた親子休憩スペースも。

この日19時から開催されたのは「広野町に『賑わい』と『生業』を取り戻すーみんな が集まる場所づくり『ちゃのまプロジェクト』の挑戦」と題するワークショップ。

 私は福島・広野町(ひろのまち)にはオーガニックコットンのボラバス等で何度も訪ねており、その度に地元の方々にお世話になっていましたが、最近は無沙汰をしています。

主催者のFw: 東北 Fan Meeting(フォワード東北 ファンミーティング)から開会挨拶。

 復興庁の肝いりで、新しい東北の創造に向けて東京及び東北3県で様々な交流・情報発信活動を続けており、この日のようなワークショップも年間20回以上開催されているとのこと。
 私は昨年11月(雄勝花物語)以来の参加です。

まず、NPO法人広野わいわいプロジェクトのお2人による報告(インプットトーク)。

 最初に登壇された青木裕介さんは、「『賑わい』と『生業』で広野町に春を呼ぶ」。と題するスライドにより報告。
 「わいわい」とは「賑わい」と「生業(なりわい)」から来ているようです。

 青木さんは広野町のご出身。パソコン教室「Circulation」を運営されつつ、わいわいプロジェクトの一員として、さらに個人でも様々な情報発信等に取り組んでおられるとのこと(以下、文責・中田)。

「福島第一原発から20~30km圏の広野町は、事故直後は全町避難を強いられたが、現在の住民帰還率は88%、廃炉作業従事者等を含むと事故前の145%の人口」

 「気候は温暖で自然も歴史も豊か。イメージキャラクター『ひろぼう』は、みかんと童話(とんぼのめがね)がモチーフ」

 「2016年に立ち上げられたわいわいプロジェクトは、まちなかマルシェの開催、オーガニックコットンの栽培、防災緑地の緑化、六次産業化等に取り組んでいる」

 この日は、地元産コシヒカリを使ったビスコッティの試食がありました(お土産も)。
 さくさくとして美味。久しぶりに頂きました。

最後に今後の課題して、
 「地域内外(廃炉作業従事者、他地域からの避難者、首都圏等からの訪問者等)の協業的な交流を継続していくことが重要。そのための拠点を構えることが必要」との報告がありました。

 続いて大場美奈さんから、町に新しい癒やしの交流スペースを作る「ちゃのまプロジ ェクト」と題する報告。

 大場さんは隣のいわき市出身で、本年4月から広野町起業型地域おこし協力隊の隊長をされています。
 プロフィール紹介のスライドには「高校卓球ベスト8」「サーフィン」「救急女子」「ひまわり娘」(?)とも。

広野町の人や自然に「恋をしている」という大場さん。

 「今の広野町には気軽に集まることのできる場所がない。これでは通り過ぎるだけの 町になってしまう。
 新しい出会いが生まれ、新しい出来事が生まれる『第三の居場所』が必要」

 「新しい拠点づくりに向けて、皆様からは、広野町を訪ねる目的、必要な情報、あったらいいもの等についてヒントやアドバイスを頂きたい」と締めくくられました。

続いて、5つのテーブル毎に「みんなが集まりたくなる『ちゃのま』を考えよう」というテーマで40分ほどのダイアローグ。

 まずは自己紹介。
 私のテーブルには岩手で復興支援に取り組んでいる企業の男性、震災直後はボランティアに通ったもののその後は疎遠になっているという女性、福島・郡山出身の男性、それにボラバス等で旧知の中学校の先生というメンバー。

  アイデアソン方式で思いついたことをどんどん付箋に書き出し、大きな紙に貼りながら話し合っていきます(ちゃぶ台のイラストも)。

あっという間に発表の時間となり、テーブル毎にアイディアの発表。

 一時的なイベントに終るのではなく、交流が持続する取組が必要という視点は共通していたようです。
 そこでコットンやみかんの木のオーナー制度、ファンを増やしていくための会員制度、みかんのクラフトビール作り、星空を満喫するツアーやキャンプといった具体的なアイディアが出されました。

 「あったらいいもの」としては、シャトルバスなど移動手段の確保といった意見も。
 また、「外部」の参加者として、「まずは町民の方が楽しいことが一番」という意見も共通していたようです。

これらに対して2人の登壇者からは
 「私たちだけでは思いつかない多くのヒントを頂いた。わくわくするような情報発信等に努めていきたい」
 「ぜひ広野町に足を運んで頂きたい」等のコメント。

 最後に復興庁の担当参事官の挨拶と、全員で集合写真を撮影してワークショップは終了。

会場には、現地で何度もお世話になっているわいわいプロジェクトのI事務局長もお見えでした。報告は若いお2人に任せ、一般参加者に混じって議論に参加されていたようです。
 この後、わいわいプロジェクトの皆さんは次の目的地にすぐに移動されるとのことで、ご多忙な様子。

 お礼を申し上げ、広野町での再会を約して外に出ると、空には今年最後の満月(ゴールデンムーン)が輝いていました。