【ブログ】「銀座農業コミュニティ塾」第13回勉強会

3連休明けの2020年1月14日(火)の終業後は、イルミネーションに彩られた東京・京橋の東京スクエアガーデンへ。
 6階の中央区立環境情報センターでは、この日も檜原村の間伐材で作られた「間伐ザウルス」が出迎えてくれました。

 19時から開催されたのは「銀座農業コミュニティ塾」の第13回勉強会です。

冒頭、10名ほどの参加者1人ずつから実践報告。
 東京・青山でCSAの拠点作りをさ れている方、子年だけに構想を行動に移していきたいとされる西東京市の農業者の方、埼玉・ 所沢市で飲食店のオープンに向けて準備を進められている方など。

 相変わらず何の活動もしていない私は、近況として陸前高田を訪ねてきたことを報告してお茶を濁しました。。

講師の蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)からは、冒頭、「抱負は口に出しておけば約束にな る」として、西東京市を中心とした農業者等方達と年内にアクションを起こしたい、経営者の女性が体調を崩して周囲の女性達が支えている地元の酒屋さんの継続に自分も協力したい等と発言されました。

 「地域での積み重ねが国を変えていく。地域でできることに自分で取り組んでいきたい」 とのことです。
(なお、文責は全て中田にあります。)

続いて、この日のメインテーマである昨年の韓国訪問のレポートです。

 「2014年に著書『地域からの農業再興』が韓国で翻訳・出版されたことが縁で、何度か訪韓。昨年(2019)11月にも1週間ほど訪問し、友人と再会し、現場を見せてもらってきた」

 「韓国では 1997年の親環境農業育成法の成立後、有機農産物等の市場が拡大している。市場やデパートでも、ほとん どの農産物に有機や無農薬等の分かりやすいマークが付けられているなど、かなり浸透している印象」

 「日本では有機農業のシェアは 0.5%程度だが、同じアジアモンスーン地帯に属する韓国の親環境農産物のシェアは 4.9%。狭義の有機農業だけではなく、体系的に持続可能な農業を推進する中で有機農業やGAPも普及させていくというのが韓国の戦略」

「農協が運営している農場も視察させてもらった。
 親環境農業を推進するのが農協の役割という組合長の考えのもと、農薬は一切取り扱っていないとのこと」

 「また、消費者を対象に10年以上開催している有機アカデミー(勉強会)には、これまで 1500 人が受講しているなど、消費者の理解増進に努めている。
 さらに、夏休みには大学生の研修も受け入れているとのこと」

「韓国では2012 年の国際協同組合年に合わせて協同組合基本法が成立し、既存の組織とは異なる新しい組合が続々と誕生した。
 訪問したソウル近郊の社会的協同組合農場の理事長は精神科医で、作業療法に取り組んでいる。270人の組合員のうち70人は障がい者とのこと」

 「常駐の職員は3名だけだが、作業は近隣の農家等が手伝っている。直営の売店やレストランも併設。
 このような地域農業とケア をつなぐ農場が日本にもあればいいのだが。」

「昨年6月、池袋での会合で高橋公純さんという方と知り合った。
 広島と長崎で被爆した朝鮮出身者は約7万人、うち約2万3千人が行き残って帰国したが、十分な支援を受けられず、差別もされたとのこと。
 高橋さんは2004年に韓国に帰化して、韓国の被爆者の支援活動をされている。今回は高橋さんが館長をされている韓国原爆平和記念館も訪問した」

 「浅川巧は韓国の林業を指導した人で、韓国で最も尊敬されている日本人。山梨・ 北杜市に資料館がある。
 日韓関係が難しい状況にある中、このような方達の存在を知って励まされる思いがした」と話を締めくくられました。

その後は、いつもの餃子屋さんでの懇親会。
 蔦谷先生は見知らぬ韓国の人と交流したエピソードも紹介して下さいました。厳しさばかり喧伝される日韓関係ですが、実際に訪ねた方の話を伺うと、イメージは異なるようです。

なお、次回(第14回)の「銀座農業コミュニティ塾」勉強会は、3月18日(水)の予定です。
 どなたでもご参加できます(要事前連絡、参加費無料)。