去る2020年8月30日(日)の夕方、南から西にかけての空を見上げて驚きました。キノコ雲か、巨大UFOの襲来か(写真左)。
実はかなとこ雲というそうで、積乱雲が成長したものとのこと。天候不順(気候変動?)が続く折、不気味な感じを禁じ得ませんでした。
写真右は9月8日(火)午前中の空。
台風9、10号が九州の西を通過したとたん、猛暑が戻ってきました。
さて、引き続きイベントやセミナーはオンラインばかり。
2020年9月5日(土)の午後は、(一社)市民セクター政策機構、(特非)「環境・持続社会」研究センター(JACSES)主催による連続セミナー「コロナ禍における協同組合の価値」の第1回に参加。
この日のテーマは「持続可能な日本と地域社会ビジョン―SDGsとFEC自給ネットワーク」、講師は古沢広祐先生(國學院大學研究開発推進機構客員教授/JACSES代表理事/市民セクター政策機構理事)です。
多くの気づきを頂いたご講演でしたが、特に印象に残った言葉の一つが「ワン・ヘルス」。
ヨーロッパ等では「健康」の概念が拡がりつつあり、人間の「内なる健康」は自然環境・地球環境と一体であるというのが “One Health” の理念とのこと。先日の中野佳裕先生や小谷あゆみさんの講演内容とも軌を一にするものです。
「ワン・ヘルス」については、先日の研究会で中野佳裕先生も触れられていましたが、これからの食や農を考える上でも不可欠の考え方のようです。
翌9月6日(日)16時からは、NPO市民科学研究会主催の地産地消市民会議(非公開)に参加。
資源・エネルギーや食料の自給について考える研究会の、この日のゲストは福井県立工業大学の笠井利浩先生。長崎・五島列島にある孤島、赤島で、雨水で暮らす離島振興プロジェクトを実践されている方。
技術面、環境教育等の面から、非常に興味深いご報告でした。
9月に入り新型コロナ感染者数の拡大は減少しつつあるようですが、今回のコロナ禍は、食料消費の面にも様々な影響を及ぼしているようです。
最近の日本経済新聞から、気になった記事を2点ほど。
2020年9月5日(土)夕刊の一面トップには、「とれたて野菜 ネット直販続々」との大きな見出し。在宅が増えてネット直販を利用する人が急増しており、生産者の思いに共感し応援する買い物スタイルが広がりつつある、との内容です。
例えばポケットマルシェの利用者は2月末の5万2千人から8月末には21万8千人へと4倍強に増加したとのこと。高橋博之社長の「自宅で過ごす時間が増えて食事の大切さを改めて感じ、食材の生産者に目が向くようになった」とのコメントも紹介されています。
離れてしまった食と農の間の距離を縮める動きとして、注目したいと思います。
一方、気がかりなのは9月2日(水)の「コメ需要 22万トン減の衝撃」との記事。
2019年産米の需要は前年比22万トン減の713万トンと、トレンドとしての毎年10万トンの減少量を大幅に上回り衝撃が走っているとの内容(なお、毎年10万トン減はトレンドであり、単年では30万トン以上減少した年もあります)。
なお、コロナ禍で在宅が増えたため本年3~6月期の家庭消費は7.7万トン増加したものの、中食・外食での消費はそれを上回る8.6万トンの減少を示したとのこと。
さらには、米離れの背景には低糖質ダイエットの流行があるとの指摘もあります。
とすれば、消費者の健康志向は、地域の健康とは逆の方向を向いているということになります。米の需要減は価格の下落と生産者の所得減につながり、結果として、地域の農地や社会の維持等にも支障が生じてくる恐れがあるのです。
「ワンヘルス」とは非常に重要な概念ですが、現実にはなかなか簡単ではないようです。