【ブログ】Present Tree in くまもと山都2(2日目)

1日目から続く。)
 2022年3月27日(日)は「Present Tree in くまもと山都2」の2日目。いよいよ植樹の当日です。
 前日の強い雨は上がりました。自称「晴れ女」の鈴木敦子理事長の本領発揮(?)です。 

2台のバスに分乗して15分、植栽予定地がある荒谷地区で下車。
 「植樹会場」の看板の脇を、徒歩で10分ほど山道を下っていきます。鈴木理事長始め何人かの方は、早めに現地に入って地元の方と一緒に準備して下さっていたそうです。

やがて眼下に、広々とした植樹予定地が見えてきました。約4haの杉の伐採跡地とのことで、なかなかの広さです。

緑色のネットに入れられた苗木が並べられています。
 この日はタブ、コナラ、山桜など広葉樹を中心とした31種、約2000本を植樹する予定とのことです。

開会式は、進行役のスタッフの方の「第2の故郷に帰ってきたような気がする」という言葉で始まりました。山都町でのプレゼントツリーの取組みは、昨年に続いての第二弾です。
 鈴木理事長からは、地元の方に対するお礼を含めた挨拶。
 「森林が7割を占める山都町でも所有者の高齢化等により管理が困難となっており、荒廃林や伐採跡地を放置することはと防災上も危険。今日、植えた樹は地元の緑川森林組合の皆さんが10年間管理して下さる。私たちもこれからも毎年山都町に通いたい」等の挨拶。

続いてマイクを取られた梅田 穰(うめだ・ゆたか。ジョー・バイデンとは読みません)山都町長からは、全国10都市の「自治体SDGsモデル事業」に選定されたことについての紹介も。
 続いて、4代目という山林地主の方、森林組合の方からも挨拶を頂きました。

 下田美鈴さんがリーダーを務める「やまんまの会」のお母さんたち、協力企業の皆さまも参加して下さっています。和やかな雰囲気で笑いも絶えません。

植樹の指導をして下さったのは、東京農業大学の西野文貴先生(林学博士)。
 ご実家は大分の苗木生産・販売会社で、各地で植樹等を指導されている方だそうです。話ぶりからも、本当に植物がお好きな様子が伝わってきます。
 鎮守の森は生態系として優れているだけではなく、東日本大震災の津波の時には防災面でも強靭なことが証明されたこと、近年はシカが増えて木の若芽を食害するため自然の回復力や循環が失われつつあること等の説明がありました。

 苗木の植え方も実演指導して下さいました。

そしていよいよ、植樹スタート。
 緑のネット(抱えるとかなり重たい)を開け、それぞれ苗木を手にして、思い思いに広い斜面に広がっていきます。

 地元の方たちが準備して下さったピンクのリボンを結んだ割り箸を目印に、スコップやクワで穴をあけるのですが、場所によってはかなり硬く、下草や蔓で覆われているところもあります。
 そこにポットから出した苗木を一本ずつ入れ、丁寧に、あまり押さえつけないように土を被せていきます。

気が付くと雲は切れ、青空が広がってきました。気温も上がり、虫たちも盛んに動き始めました。ヘルメットをかぶった頭も汗ばんできます。

 12時前に作業は終了。ほぼ予定していた本数は植え終えられたようです。
 昼食のお弁当を配って下さいました。斜面に座り、山の景色を眺め、山の風に吹かれながら頂いたお弁当の美味しさ(地元食材たっぷりの清和のお弁当です)。

閉会式では、参加された方からの感想も。
お嬢さんたちと一緒に参加されたお母さんは「娘たちには世界のことを知ってもらいたくてインターナショナルスクールに通わせているが、身近な、国内も様々な課題があることが分かって良かった」との感想。
 昨年に続いて参加されたという大学生からは「また必ず来たい」の言葉も。

 最後に、支援企業の一つであるロクシタンの方から挨拶があり、植樹祭は終了です。

 バスに向かって山道を登る途中で振り返ると、朝とは全く異なる明るい光景が広がっていました。はるか遠くの山肌にも伐採地が見えます。植樹しなければならない土地は、またまだありそうです。

バスは旧白糸第一小学校へ。
 2005年に廃校となった校舎が、現在は山の都サテライトオフィスとして活用されています。
 ここで味噌づくり体験を指導して下さったのは、下田円美(まろみ)さん。美鈴さんのお嬢さんで、(株)円の代表として、地元産の “真のオーガニック” 農産物や食品を伝える活動をされています。

 茹でた大豆に、塩と、下田家伝来の米麹を加えて、手で豆を潰しながらこねていきます。できるだけ空気が入らないようにタッパーに詰め、ラップで封をして蓋をして完成。
 貴重なお土産ができました。熟成して食べられる日が来るのが楽しみです。

ここから下田茶園までは、寺脇 彰さん(九州脊梁山脈登山ガイド)の案内により、白糸台地を徒歩で向かいます。九州脊梁トレイルコーディネータの石井陽子さんも、前日から同行して下さっています。
 前日、通潤橋の説明をして下さった地元農家のGさんも顔を出して下さいました。

 青空の下の、息をのむような美しい棚田等は、国の重要文化的景観にも指定されています。
 しかし、この景観は自然にできたものではありません。通潤橋という水路の開発を含めて、先人たちや現在住んでおられる方たちが作り上げ、守ってきた景観なのです。

 特に2016年の熊本地震、18年の豪雨では通潤橋も棚田も甚大な被害を受けましたが、下田美鈴さんが代表を務められている「棚田復興プロジェクト」により、ボランティアの力も借りて復旧を成し遂げたのです。
 これらの取組みは高く評価され、2021年度には農林水産祭むらづくり部門の天皇杯を受賞されました。

30分ほどで下田農園に到着。やはり前日から同行して下さっていたる下田美鈴さんが説明して下さいます。
 有機農業を始めたきっかけは、26歳の時に出会った住井すゑ『いのちは育つ』だったそうです。海外や国内の先進地調査等を経て、一般的に困難とされているお茶も含めて有機農業に取り組み始められてから30年以上になるとのこと。現在、山都町は全国的にも有機農業の先進地の一つとなっています。

 ご自宅では冷茶をご馳走になり、釜炒り茶や干し椎茸を求めさせて頂きました。

バスに戻る道すがらも、椿、桜、菜の花、水仙などが盛りです。これらの花も、下田さん達地域の方たちが植えておられるそうです。

道の駅・通潤橋でトイレ休憩した後、空港に向かって山都町を後にしました。くまモンの大造り物(八朔祭の出し物)が見送ってくれました。

16時過ぎに阿蘇くまもと空港に到着。
 待合ロビーのテレビで高安が負けたところで、17時25分発(5分遅れ)のJAL634便に搭乗。羽田には19時前に到着、2時間ほどかけて自宅へ(熊本より遠い)。

足腰に残る疲労感も、心地よく感じられます。
 プレゼントツリーの鈴木理事長とスタッフの皆さま、そして山都町の皆さま、今回は大変お世話になり有難うございました。

大切な人や自分自身のために樹を植えて、森林再生と地域振興につなげるというプレゼントツリーの取組みは、2005年以降、国内外33ヶ所で28万本以上を植樹してきた実績があるとのこと。
 現在、全国8ヶ所の植栽地で里親を募集中です。

 なお、今回のイベントの様子(1日目2日目)は、美しい写真(さすがプロ!)とともに、プレゼントツリーのHPでも紹介されています。