【メルマガ】F.M.Letter No.241

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.241
 2022年5月1日(日)[和暦 卯月朔日]配信
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◆ F.M.豆知識  米の在庫量と小麦輸入量
◆ O.カレント  特別講座・著者に尋ねる『フード・マイレージ』
◆ ほんのさわり ウクライナ民話『てぶくろ』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 ウクライナにおける戦火が一日も早く終息することを祈り、個人のウェブサイト冒頭に「(声明)一日も早い戦火の終息を。」を掲載しました。一個人として「声明」などとはおこがましく、また、何の影響力もないことは理解しつつ。
 https://food-mileage.jp/2022/04/26/220426/

本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さった皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−米の在庫量と小麦輸入量−

コロナ禍、ウクライナ危機により世界的に食料安全保障に対する関心・懸念が高まるなか、日本においては主食である米が自給できていることが大きな強みとされています。
 リンク先の図241の棒グラフは、各年・各月末時点の米の民間在庫量(出荷段階+販売段階)の推移等を示したものです。収穫期(出来秋)には新米の在庫(青い部分)が増加し、その後、消費に伴って徐々に減少していることが分かります。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/05/241_zaiko.png

棒グラフの赤い部分が古米(前年以前に生産された米)です(なお、在庫量の把握は毎年7月に年産が切り替わります)。
 また、折れ線グラフは古米在庫量の対前年同月末比を示したものですが、2020年以降、前年を20〜60%と大きく上回って推移していることが分かります。これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って外食を中心に米の需要が減少したためで、古米在庫の増大が新米の取引価格の下落につながっているとして、農業関係者の間には危機感が高まっているのです。

一方、2021年の米の民間在庫量の平均は249万トンで、これに国の備蓄量(91万トン、2021年6月末時点)を合計すると340万トンとなりますが、これに対して、食糧用小麦の輸入量は451万トン(2022年見通し)と約1.3倍の水準です(右端の橙色の棒グラフ)。

過剰と捉えられがちな米の在庫(備蓄)量ですが、実は輸入小麦の全量を代替できる水準には無いこと、同時に現在の米の生産量で必要カロリーの全量を「自給」できる訳ではないことは、理解しておく必要があると思われます。

[資料]
農林水産省「米に関するマンスリーレポート」(2022年4月号、p.11)
 https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/attach/pdf/mr-182.pdf
同「米をめぐる状況について」(2022年2月、p.30)
 https://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/attach/pdf/kome_siryou-6.pdf
同「麦の需給に関する見通し」(2022年3月、p.4)
 https://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/mugi_zyukyuu/attach/pdf/index-126.pdf

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−特別講座・著者に尋ねる『フード・マイレージ』−

自己PRで恐縮です。
 5月12日(木)19時から、第6回「市民科学特別講座・著者に尋ねる」(NPO市民科学研究室主催)で、拙著『フード・マイレージ[新版]』(2018.1、日本評論社)を取り上げて下さいます(オンライン)。
 当日は、フード・マイレージの概要(定義、計算結果、限界・問題点等)、食生活と地球環境問題との関わり(地産地消の効果)、フード・マイレージの現代的意味(パンデミックや国際紛争に伴う国際物流の混乱、食糧安全保障の重要性等)等について話題提供し、参加者との間で意見交換させて頂く予定です(事前に質問も受け付けています)。
 なお本講座は、昨年6月〜本年3月、9回にわたって開催した「食と農の市民談話会」の後継イベントの一つという位置づけです。

食べものや一次産業のことについて皆さまと意見交換できるのを楽しみにしていますので、ご関心を持って下さった方は以下からお申し込み下さい(なお、恐縮ながら、市民研会員以外の方は参加費(500円)が必要です)。
 https://www.shiminkagaku.org/booktalk_nakata_20220512/

(参考)
拙著『フード・マイレージ[新版]』(2018.1、日本評論社)
 https://food-mileage.jp/2018/01/17/book/
「食と農の市民談話会」(市民研HP)
 https://www.shiminkagaku.org/agrifoodmeeting02_202201/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−エウゲーニー・M・ラチョフ絵、うちだりさこ訳 ウクライナ民話『てぶくろ』(1965.11、福音館書店)−
 https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=41

1965年に発行された本書ですが、手元にある本の奥付には172刷(2022年4月)とあります。長期間にわたって人気のあるロングセラーです。
 しんしんと雪の降る森の中で、おじいさんが手袋の片方を落としてしまいました。その暖かそうな手袋を最初に見つけたネズミが、さっそく入り込んで住み着きます。
 そこへカエルがやってきて「私も入れて」。「どうぞ」。さっそく二匹に。
 今度はウサギ。続いてキツネ。恐そうなオオカミまでが「俺も入れてくれ」。「まあ、いいでしょう」。
 それからも色々な動物たちが次々と現れて、手袋に入れてくれと頼みます(イノシシやクマが手袋に入れるはずはありません!)。しかし先住民(?)たちは、「もう満員、ぎゅうぎゅう」と言いながらも受け入れるのです。

仮に小さな空間であっても、譲り合えば大勢が共存できるということを、動物たちが教えてくれています。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 「脱成長」と食料安全保障[4/20]
 https://food-mileage.jp/2022/04/20/blog-372/

○ 爆音下の狭山市(ぶらり歴史散歩)[4/24]
 https://food-mileage.jp/2022/04/24/blog-373/

○ 「火消し」のために(Jazz HIKESHI #43)[4/26]
 https://food-mileage.jp/2022/04/26/blog-374/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 本木上堰 春の浚いボランティア
 日時:5月4日(水)8:00〜16:00
 場所:福島・喜多方市山都町
 主催:本木・早稲谷 堰と里山を守る会
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/532340294902936

○ オンライン公開講座「世界の動きから社会的連帯経済(SSE)を学ぶ」第1回(全7回)
 日時:5月7日(土)13:10〜14:50
 講師:古沢広祐さん(國學院大学客員教授)
 場所:オンライン
 主催:法政大学
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.hosei.ac.jp/gs/info/article-20220422111446/

○ 沖縄復帰50周年記念式典
 日時:5月15日(日)14:00〜
 会場:沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市真志喜)
 主催:沖縄県
 (詳細↓)
 https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/hisho/okinawa50hukkisikiten.html

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナの戦火がやむまでお休み中です(早く再開したいものです)。
 過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.242は5月15日(日)[和暦 卯月十五日、沖縄の日]に配信予定です。停戦が実現していることを祈ります。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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