2022年6月後半。梅雨明けはまだですが晴れの日も増えて気温も上昇。猛暑日も。
夏の花が咲き、虫たちの行動も活発になってきました。
そのようななか、「核」や「原子力」に関連する出来事が相次ぎました。
6月17日(金)、最高裁第二小法廷は、東京電力福島第一原発事故に関する4件の集団訴訟 に上告審判決を言い渡し。国家賠償請求責任を否定する「統一判断」が示されました。
津波の予見可能性に関する判断を避け、結果の回避可能性のみで判断したとのこと。
この判決には4人の裁判官のうち1人が反対を表明。
また、菅野博之 裁判長も「国策として行われてきた以上、大規模災害が生じた場合、電力会社以上に国がその結果を引き受け、過失の有無に関係なく被害者救済に最大の責任を担うべき」との補足意見を述べています。
6月21日(火)19時からは、放射線被ばくを考える会主催のオンライン学習会「誰にも言えず、苦しんできた-福島甲状腺がん患者の現実」と題するオンライン学習会に参加(当日の動画はこちら)。
講師の白石 草(はじめ)さんは、先日(11日(土))、立教大(東京・池袋)で開催されたイベント「水俣と福島」の後半のパネルディスカッション(注:前半は映画「MINAMATA」の上映)でコーディネータをされた方。
放送局勤務を経て独立メ ディア「OurPlanet-TV」 を創立され、チェルノブイリや福島第一原発の被ばく実態の取材や発信をされています。
冒頭、311子ども甲状腺がん裁判の井戸謙一弁護団長から挨拶(文責・中田)。
「1月26日、地域中で孤立してきた6名の若者たちが、クラウドファンディング等を通じて多くの支援を得て提訴した。しかしマスコミの報道は少なく、逆に激しいバッシングも。
5月26日の第一回口頭弁論では、原告の一人が、封印していた過去のつらい気持ちを含めしっかりと意見陳述。東電の代理人や裁判官も赤い目をして聞いていた。
甲状腺がんは大した病気ではないという認識が広がっているが、現実は異なる。進学、就職、結婚、出産等を控えた若者たちにとってはさらに深刻なケースも。ぜひ支援をよろしくお願いしたい」
続いて白石さんから、病院に付き添うなどして患者さんとそのお母さん達と交流を続けられている実体験に基づいて説明がありました。穿刺細胞診や切除手術の動画や写真には、つい目を伏せてしまいました。17分間の意見陳述の様子も流されました。
その後の意見交換(さらに「二次会」は延々と23時30分過ぎ(!)まで)では、バッシングの実情、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)報告の評価、科学者や医師の役割などについて、幅広く率直な(刺激的)意見交換が行われました。
白石さんからの
「差別されるから声を上げてはいけないなどと、巧妙な抑圧が行われている。被ばくした人に対する日常的な差別が行われている。そもそも全ての差別はいけないというのは、被ばくとは別の話」との言葉が印象に残りました。
6月21日(火)からは、オーストリア・ウィーンで核兵器禁止条約の初めての締約国会議が開催されました。広島、長崎の両市長、長崎の被爆者も会議に参加。
関連して、日本ではNGO等が「核禁ウィーク」ウェブサイトを開設、現地でも様々なイベントが開催されました。
前の週に行われた直前解説イベントでは、川崎哲さん(ICAN国際運営委員)は、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ「核による脅しが戦争の道具になっている」と危機感を強調されました。今や核は「抑止力」ではなく「脅迫の手段」になっているというのです。
そのロシアやアメリカ等の核保有国、さらに「核の傘」の下にある日本は、この条約には参加していません。また、今回の会議にも、日本政府はブサーバー参加もしませんでした(NATO加盟国であるドイツやオランダは参加)。
23日(木)には政治宣言を採択して閉幕。
核保有や「核の傘」の下にある国が核依存を減らさないことを「深く憂慮する」とともに、ロシアの名指しは避けつつも、核使用を威嚇に使うことに「警戒し、落胆している」 との表明が行われました。
同じ6月23日(木)は、77回目の「沖縄・慰霊の日」。
全戦没者追悼式には3年ぶりに首相も出席し「基地負担の軽減に全力で取り組む」等と挨拶しましたが、平和宣言の中でも辺野古移設断念を求めた県との対立は、全く解消されません。
小学2年生の「こわいをしって、へいわがわかった」 との作文、ウクライナ情勢に心を痛める参列者の方たちのニュース映像に心打たれました。
現在、世の中には、防衛費の増額や原発再稼働の「空気感」が強まっています。
しかし、今回のロシアの侵略をみても、最初に攻撃目標とされるのは軍事施設であり(多数の市民の犠牲も出していますが)、原発がターゲットの一つとされたのも現実です。
食料安全保障や気候変動も含め、課題は山積していると言えます。
どのような方向性と政策を模索していくべきなのか、自分なりとしっかりと考えて、7月10日(日)の参議院選挙に臨みたいと考えています。