【メルマガ】F.M.Letter No.246

(ウェブ掲載にはタイムラグがありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。)
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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◇フード・マイレージ資料室 通信 No.246◇
 2022年7月13日(水)[和暦 水無月十五日]配信
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◆ F.M.豆知識  品目別の食料価格の推移と自給率
◆ O.カレント  第11回 経済・財政・金融を読む会
◆ ほんのさわり 下川 哲『食べる経済学』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 ウクライナでの戦争が長期化の様相を示す中、国内では元首相が街頭演説中に銃撃され死亡し、続く参議院選挙では与党が大勝。そのようななか、佐賀の農民作家・山下惣一さんの訃報が届きました。私の人生を導いて下さった方です。ご冥福をお祈りします。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−品目別の食料価格の推移と自給率−

2022年に入ってからもエネルギーや食料の価格上昇が止まりません。上昇率は欧米に比べれば低いとはいえ、日本にとって近年なかった状況です。
 リンク先の図246は、品目別にみた最近の食料価格の推移とその自給率を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/07/246_kakaku.pdf

縦軸は、品目別の消費者物価指数の推移(2020年(100)、21年、22年1〜5月)を図示したものです。各品目の折れ線グラフの横幅の中心は、横軸の自給率(2020年、重量ベース)です。
 これによると、自給率が低い油脂類、小麦の価格が最も大きく上昇しており、これと対照的に、ほぼ国内で自給している米の価格は逆に低下している状況がみられます。なお、肉類の自給率は飼料価格を考慮すると7%となり、今後、飼料原料価格高騰の影響が肉類の価格に影響を及ぼしてくる可能性があります。
 また、比較的自給率の高い野菜の価格も上昇していますが、これは、昨年夏の北海道産たまねぎの不作など気候要因によるものです(地球的な気候変動の影響とも言われています)。

この図は、食料の安定供給のためには、国内生産の重要性を再確認することが重要であることを示唆しています。

(元データの出典)
 農林水産省「食料需給表」    https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/index.html
 総務省統計局「消費者物価指数」 https://www.stat.go.jp/data/cpi/

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−第11回 経済・財政・金融を読む会−

(一社)ピープルズ・プラン研究所(PP研)では、経済・財政・金融の分野で注目される著作の「読書会」を定期的に開催しています。
 7月30日に開催予定の第11回では「食」に関するテキストを取り上げることとなり、僭越ながら、私が報告(解題)させて頂くことになりました。
 ご関心のある方の参加申し込みをお待ちしています。

○ 第11回 経済・財政・金融を読む会
 日時:2022年7月30日(土)13:30〜16:30
 場所:オンライン
 テキスト:下川 哲『食べる経済学』(2021.12)【ほんのさわり欄参照】
 主催:(一社)ピープルズ・プラン研究所
 (詳細、申込み等↓)
 http://www.peoples-plan.org/jp/modules/news/article.php?storyid=672

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−下川 哲『食べる経済学』(2021年12月、大和書房)−
 https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html

著者は北海道大学農学部農業経済学科卒業、アメリカ・コーネル大学で博士号を取得され、現職は早稲田大学政治経済学術院准教授。
 ごく日常的な私たちの「食べる」という行為は、実は地球全体の資源や環境に予想を超えるほどの大きな影響を及ぼしています。そのことに気づくことで、「健康的で持続的な食生活」への変革を促そうというのが、本書のテーマです。

私たちの普段の食事は、グローバルな生産・流通ネットワークにより世界中の多くの生産地に支えられ、地球環境にも大きな負荷を与えています。
 その一例としてあげられているのが肉食。畜産は大量の温暖化ガスを排出し、大量の水を消費すると同時に、人間の何倍もの排泄物を出すという事実を指摘しています(ちなみに畜産を地球温暖化の元凶と決めつけるような単純な意見には、私は異論がありますが)。

また、「食べる」ことは生物的な下限(絶対必要量)と上限(満腹になる)があるという意味で一般の消費とは異なること、食料生産も自然・気象条件に左右されるなど特殊性があること等についても、分かりやすく解説されています。
 さらには、昆虫食やデジタル革命など、現代的な最先端のテーマも取り上げられています。

本書の最終章のタイトルは「未来をイメージする」。
 「『食べる』はこれからも毎日続きます。普段のほんの小さな変化でも、積もり積もって大きな効果につながることだけは覚えておいてください」と、著者は訴えています。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 山下惣一さん、有難うございました。[7/12]
 佐賀・唐津の農民作家、山下さんが逝去されました。山下さんの一連のご著作は、私の人生にとっての羅針盤でした。
 https://food-mileage.jp/2022/07/12/blog-387/

▼ 筆者が報告者を務めるイベントです【再掲・オーシャン・カレント欄参照】
○ 第11回 経済・財政・金融を読む会
 2022年7月30日(土)13:30〜16:30、オンライン

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 農の蔵講座「パン試食講座」、「ご当地小麦パンの紹介販売会」
【7/19追記:コロナ感染拡大の影響で中止となりました。】
 日時:7月24日(日) 10:00〜15:30
 場所:農大アンテナショップ「農」の蔵(東京・世田谷代田)
 企画:パン食文化研究室
 (詳細、問合せ等↓)
 http://www.nodaisup.com/news/2022-06-20-2.html

○ こども霞が関見学デー
 日時:8月3日(水)、4日(木)13:30〜16:30
 場所:農林水産省(東京・千代田区霞が関1)及びオンライン
  注:会場参加プログラム(牛乳せっけんづくり、さかなクンのおさかな教室等)は事前応募が必要です(7/18まで)。
 主催:農林水産省(各府省庁等が連携)
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.maff.go.jp/j/kids/experience/k_d/r04_outline.html

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナでの戦火がやむまで、お休み中です(休みが長くなってしまいました)。
 過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.247は7月29日(金)[和暦 文月朔日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 発行システム:『まぐまぐ!』
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 バックナンバー
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 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  https://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
  https://food-mileage.jp/category/blog/