戦後の深刻な食料不足に対処するため、政府は全国各地で緊急に開拓事業を実施することとなりました。
筆者の住いの近隣にある埼玉・所沢市(当時は所沢町、柳瀬村)においても、旧陸軍所沢飛行場跡地を含めて開拓が進められました。そのなかでも松郷(松井地区)は、最も規模の大きな開拓地の一つでした。
現在、その地には「松郷開拓の碑」があります。開拓30周年を記念して昭和五十二(1977)年に建てられたものです。
碑文によると、昭和二十一(1946)年の夏、県から平地林を入植者等に解放するという提案がなされ、防災面等から平地林の伐採に反対する地主との2年以上の話し合いを経て、翌々年十月、入植者30名、地元の増反者150名に対して農用地90ha、防風林用地40ha等を配分することが決定されたとのこと。なお、電気が通ったのは、さらに5年後だったそうです。
碑文には「裸一貫の入植者の苦労は筆舌に尽せるものではなかった」と刻まれています。
現在、この地区でも農地の多くは住宅地や道路、商業用地等に転用されています。
ちなみに、先日公表された2021年の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%、生産額ベースで63%となっています。
(参考)
拙ブログ「松郷開拓地(埼玉・所沢市)」
https://food-mileage.jp/2022/08/09/blog-390/
出典:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.248、2022年8月12日(金)[和暦 文月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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