【ブログ】「箕と環」代表・川野元基さんの思い(食と農の市民談話会 3-1)

2023年3月14日(火)、東京でソメイヨシノが開花。史上1位タイの早さだそうです。
 職場至近の日比谷公園では、ソメイヨシノのほか、サンシュユ、ベニバナトキワマンサク、等が目を楽しませてくれます。

写真は3月17日(金)。

先日、『高校生が伝えるふくしま食べる通信』(こう×ふく、第31号)が届きました。
 今号は、あんぽ柿(伊達市)の特集。安全保障や防衛力増強をめぐる前のめりの議論が喧しい中、柿でも食べて心を落ち着かせましょうとの、高校生たちからのメッセージかもしれません。
 ちなみに次号からは、新しいスタイルで発展・再出発するとのこと。引き続き楽しみにしています。

さて、3月15日(水)の夕方は、47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA- へ。
 この日は、コロナ禍もあって本当に久しぶりの主催イベント「地域の生産者や事業者さんを応援したい -「箕と環」代表・川野元基さんの思い-」。

スタートの19時前後には、20名近くの方が集まってくださいました。
 年度末のお忙しい中、感謝です。好みのドリンクを取って席に着いて頂きます。

冒頭、私(中田)から、以下のように会の趣旨を説明させて頂きました(説明資料はこちら)。

「NPO市民科学研究室の主催で9回にわたってオンライン開催してきた『食と農の市民談話会』(Season 1、2)の後継企画として、Season 3(実践・対話篇)を開催することとした」

「フード・マイレージから、食と農の間の距離が拡大していることが見えてきた。そのために様々な問題やリスク(自給率の低下、食品ロスの増大、担い手の減少、荒廃農地の増加等)が生じている。
 問題解決のためには『顔の見える関係づくり』が必要であり、そのために、今後、『対話・実践編』として、生産の現場を訪ねる、野菜を育ててみる、こだわりの食材で料理を作ってみる等のイベントを、1~2か月に1回位の頻度で開催できればと考えている」

(図をクリックすれば当日の説明資料をご覧になれます。)

続いて、川野元基さんからのプレゼンです(以下、文責中田)。

「箕と環は、生産者や事業者、日本の一次産業を応援する飲食店。
 現在は夜は予約のみで、月替わりのランチ中心の営業。食材のほとんどは友人や、友人が紹介して下さった方から直接仕入れている。自治体とも連携。産地等は丁寧にメニューに書いており、それを見ながら食事して下さるお客さんは楽しそうで、おかげで食べ残しもほとんど出ない」

「例えば10kgを注文すると、伝票は10kgのままなのに10.5kg 入れてくれたり、お任せ野菜 2000円分の注文に2500円分を送って下さったり。私は気づいた。生産者や事業者を応援したいと言いながら、実は支援してもらっているのは私の方だと。買っている方が偉いというのは、大間違い」

「お客さんに激怒されたことがある。通常の4倍以上の大きさがある札幌大球というキャベツを仕入れた時、珍しいので店内に展示していた。ところがお客さんの農家の方が帰り際に、人寄せパンダのように野菜を見世物にするとは許せないと激怒。展示の前後は冷蔵庫に丁寧に保管していたのだが」

「逆に私が激怒したこともある。接待だったようだが、接待される方の客がご飯に箸をつけないまま帰ろうとした。聞いてみるとお米は抜いているとのこと。知人が作ったお米を廃棄することになると激怒した。そのような人のために、ごはん少な目、ごはん抜きでも提供している。SDGsなどとわざわざ言わなくても、食べ物を大切にするのは当然のこと」

「今後は、1日スーパーマーケット、 子どもお魚教室、持ち寄り1グランプリ、 出張居酒屋などにも取り組んでいきたい」

「最後に店名の由来を説明したい。箕(み)とは収穫した穀物を選別する道具で、食べものに対する感謝や礼儀などの基本を、環(わ)とは、頂いたご縁を循環させることを表している。自分の名前にある『川』『基』とも関連」

お待ちかねの料理が出されました。
 いずれも元基さんが厳選した食材を、心を込めて料理したものです。

 前菜はカニみそクリームチーズ(兵庫・香住地区)、出汁巻き(島根・高津川流域)、海苔の佃煮(佐賀・鹿島市)。
 追加ドリンクはキャッシュオンで。最初から日本酒二杯という猛者(?)も、
 スケソウダラのフィッシュ&チップス(北海道鹿部町)。いずれも優しい味です。

桜姫鶏のホイル焼き(宮崎・都農町)は、もも肉とむね肉の食べ比べ。クリームチーズの粕漬は参加者のお一人からの差し入れです。
 〆には、炊き込みご飯とお味噌汁。熊本・山鹿市岳間地区で採れたお米、たけのこ、しいたけなど。

食事を頂きながら、参加者一人ひとりから自己紹介などをして頂きました。
 大変ご多忙の蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)も、予定を調整してご参加頂き、地域自給圏の考え方の重要性等について話して下さいました。

マスコミ関係の方、飲食関係に携わっておられる方、畑や田んぼで自然農を実践されている方、都市農村交流活動に取り組んでおられる方など。読書会でご一緒している方々も参加して下さいました。
 本当に久しぶりにリアルでお目に掛かれた懐かしい方たちも。
 それぞれ、食や農、地域への関心が高く、多彩な活動をされている方ばかりです。

予定の21時30分を回り、元基さんの音頭で一本締め。
 その後も多くの方が残って下さり、名刺交換など盛り上がりは続きました。お互い、初対面の方も多かったのですが、このような「つながり」が生まれることもリアルのイベントの醍醐味です。

川野元基さん、参加して下さった皆様、本当にありがとうございました。

なお、この日の参加費のうち500円は、募集時に説明しておいた通り、ウクライナ避難民支援のためにUNHCRに寄付させて頂きました。

食と農の市民談話会は、今後、1~2か月に1回位の頻度で開催できればと考えています。
 企画・開催に当たっては、多くの方の協力が必要です。よろしくお願いします。また、リクエスト(あの方の話を聞きたい、こんなことをしたい)等があれば連絡下さい。