【ブログ】農あるまちづくり講座 in 世田谷

2023年6月27日(火)も蒸し暑い一日。午後から麹町へ。
 人通りの多いオフィスビル前の空地に、一台のキッチンカーが停まっています。
 「食べることが、社会貢献に。」「Save the farm」等の幟。

農家支援キッチンカー・eat for のオーナーは今関麻子さん。
 2019年、台風で生産物の多くが規格外となり出荷できなくなったという農家の様子を見て、翌年に起業されたとのこと。農家支援丼(野菜たっぷりの生姜焼き)を近くの公園で頂きました。美味! ご馳走様でした!

世田谷へ。
 この日は、3月から月2回のペースで開催されてきた「農あるまちづくり講座 in 世田谷」(主催は都市農業研究会)の最終回。行政、JA、生産者、NPOの方など多彩な方から貴重な話を伺うことができた講座でした。
 せっかくなので、講座で学んだ世田谷の「現場」を訪ねることに。

まずは、小田急成城学園駅から徒歩10分ほどの世田谷区立次大夫堀公園へ。
 民家や用水路などが復元されており、東京には珍しい水田もあります。管理棟の中にある展示スペースには、かつての地域の様子を再現したジオラマも。
 第6回で「世田谷農業の歴史」を講義して下さった今田学芸員がいらっしゃったので、ご挨拶させて頂きました。

近くにある竹林の公園を抜けると稲荷塚古墳がありました。古墳時代後期の直径13mの円墳は、ぐるっと一周することができます。

その向かいにあるのが喜多見農業公園
 区民の野菜づくり体験等の場で、江戸東京野菜の馬込半白節成きゅうりも栽培されていました。2017年9月、大蔵大根の種取りを体験させて頂いて以来です。

その隣が、三重塔もある慶元寺。
 うっそうとした木立に囲まれている参道には、幼稚園児と保護者の方たちの姿。

 参道脇には江戸太郎重長の座像がありました。重長は、治承四(1180)年八月の源頼朝挙兵の際、平家方だった畠山重忠らとともに三浦氏の本拠・衣笠城を攻めます。その後、江戸氏は鎌倉方に就いて室町時代まで勢力を蓄えましたが、15世紀に太田道灌に江戸城を追われてこの地に移り、後に徳川家康から所領を安堵されて姓を喜多見氏に改めたとのこと(23区内に存在した唯一の藩です)。
 境内には、江戸氏(喜多見氏)累代の墓所もありました。

等々力(とどろき)へ。
 同じ世田谷区内でありながら、喜多見から登戸でJR線に乗り換え、さらに溝の口で東急大井町線に乗り換えるという大回り。

 第7回で都市農業の現状について率直に話して下さった高橋智之さんの高橋農園は、駅から徒歩数分という住宅地の中にあります。講座でも紹介されていたお洒落な直売所には、小さな子どもを連れたお母さんが買い物に来られていました。
 続いて私も中に入ってみると、東京都GAP認証証書、東京都エコ農産物認証取得証とともに「高橋農園の理念」(地域No.1の安全安心な野菜を提供する)が掲示されています。枝豆とズッキーニを購入させて頂きました。この日は偶然、小銭を持っていましたが、Paypayも使えるようです。

ちょうど高橋智之さんがいらっしゃって、防除作業が一段落したところで圃場に招じ入れて下さいました。近隣住民(顧客)のニーズに応えるための多品種少量生産。GAP等に必要となる生産履歴の記帳の様子なども見学させて頂きました。大変な努力をされていることが想像できます。
 作業の手を休ませてしまい、申し訳ありませんでした。

 すぐ近くには、ごく最近にもNHKテレビで紹介された著名な大平農園もあります。ここでも直売が行われていました。

徒歩40分ほどでJA世田谷目黒ファーマーズセンターへ(この日はたくさん歩きました)。19時からの「農あるまちづくり in 世田谷」の最終回に参加。

 主催者の蔦谷栄一先生(都市農業研究会、農的社会デザイン研究所)からの開会の言葉。
 「農あるまちづくり講座は、市民の農業参画やFEC自給圏づくりをめざすもの。今日は次のステップに向けてのワークショップを行う。修了生の情報交換・共有のためのネットワーク化にも取り組んでいきたい」。

3グループに分かれてのワークショップの進行役は、第3回の講師も務められた小林泰紘さん(Ecological Memes)。
 まずはグループで講座の感想やアイデアについて共有し、さらに今後に向けて対話。最後に全員でアイデア等を共有するという流れです。
 各自、ポストイットに書き出し、模造紙に貼りながら意見交換。

 私のグループでは「多くの学びがあったが、もっと知りたいと思った」「思いが豊かな人たちが多いことが分かった」「農地だけではなく空き地も花壇づくり等で活用していきたい」「小児がん支援のためのイベントに参加してくれる仲間を探したい」等の感想やアイデアが出されました。

 さらに、他のグループでの話し合いの内容についても紹介があり(全員でテーブルを覗き込みます)、最後に数名の方からアイデア等の披露。
 「自然栽培での野菜作りのための仲間をつくりたい」「農家をサポートする『農援会』を設けては」「都市での私生活に農的な生き方を取り入れていきたい」等が印象に残りました。

これで世田谷での講座は終了しましたが、蔦谷先生によると、今後、農あるまちづくり講座は足立区や埼玉・所沢市で継続する予定とのこと。
 多くの修了生のネットワーク化が実現すれば、大きな社会変革につながっていくかも知れません。

すでに、積極的に活動されている参加者の方もおられます。
 この日も、夢育て農園オープンデイ(7月8日)、島村菜津さんの講演会(同30日)、先日亡くなられた川口由一さんの映画上映会(31日)等の案内チラシを頂きました。
 今回頂いたご縁をきっかけに、世田谷区を訪ねる機会も増えてくるかも知れません。