【オーシャン・カレント324】水稲の10a当たり収量の前年比見込み(8月15日現在)

【ポイント】
 8月15日現在の米の生育状況は順調のようですが、廃止する方向にある作況指数や平年収量に代わる新たな指標の開発・公表が必要と考えます。

出典:農林水産省HP

去る2025年8月29日(金)、農林水産省は「水稲の8月15日現在における10a当たり収量の前年比見込み」という、やや長いタイトルの統計速報を公表しました。主食用米の生産見込み(前年に比べて56万トン増)に向けて、おおむね順調に推移しているとの内容です。米価格が高い水準で推移し政府備蓄米の在庫量も大きく減少している中で、安堵できる内容となりました。
 ちなみにこの統計資料、昨年は「令和6年産水稲の8月15日現在における作柄概況」として公表されていました。「良」が1県、「平年並み」が31 都府県等といった内容で、その判断基準はいわゆる作況指数に基づくものでした。

作況指数とは、10a当たり平年収量に対する当該年産の10a当たり収量の比率のことです。また、平年収量とは、直近30年間の各年次の収量(気象データで補正)の趨勢から、専門家の意見を聞きながら毎年算定しているもので、例えば気象庁が公表している気温等の平年値(過去30年の単純平均)とは算定方法が異なります。
 この作況指数等については、生産現場の実感と乖離があるとの声が多いことから農水省は廃止する方針を決定し、現在、総務省の統計委員会で審議されていますが、民間では簡単に作成できない精緻な数値であることから公的な機関が提供すべきではないかといった意見も出されています。

例えば、1993(平成5)年の「平成の大不作」も、作況指数74という数値があるからこそ深刻さが実感できるのであり、公共財である農林水産統計としては、統計ユーザー(生産者、事業者、消費者等)のために分かりやすい指標を開発し、公表していくことが必要ではないかと考えます。

[参考]
農林水産省「令和7年産水稲の8月15日現在における10a当たり収量の前年比見込み」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/pdf/suitou_250815.pdf

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.324、2025年9月6日(土)[和暦 文月十五日]
  https://food-mileage.jp/2025/09/17/letter-324/
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