【オーシャン・カレント329】水田の有する多面的機能

【ポイント】
 農用地、特に水田には洪水を防止するなど様々な機能があり、その維持・活用を図っていく必要があります。

農林水産省HPより。

農用地は食料の生産だけではなく、洪水や土砂崩れの防止、生物多様性の保全、農村景観の維持等の大きな役割を果たしています。
 これらの「多面的機能」は基本的に貨幣には換算できないものですが、日本学術会議の答申(2001年)によると、洪水防止機能は3兆5千億円(治水ダムの減価償却費及び年間維持費で評価)、河川流況安定機能は1兆5億円(利水ダムの減価償却費及び年間維持費で評価)、保健休養・やすらぎ機能等を含む全体では約8兆円とされています。

特に水田は、畦畔(あぜ)を有しているために大雨時の雨水を一時的に貯留する機能が高いこと、かんがい用水は河川に安定的に還元されること等から、農地のなかでも相対的により大きな機能があると考えられ、このため、多面的機能支払交付金の交付単価も田の方が畑や草地よりも高く設定されています。

なお、2023年に改正された食料・農業・農村基本法では、米の消費量が長期的に減少していること、稲作の担い手が減少している等の状況を踏まえて「水田の汎用化及び畑地化」がうたわれており、政策的にも乾田直播等の取組みが進められていますが、優れた生産装置でもある水田の多面的機能の維持・活用が図られることが必要です。

また、そもそもこれら多面的機能に着目することは、これまでの経済一辺倒の見方を新ため、新たな価値観に基づく食料や農業の姿を模索するためのヒントともなります。

[参考]
 農林水産省HP「農業・農村の有する多面的機能」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.329、2025年11月20日(木)[和暦 神無月朔日]
  https://food-mileage.jp/2025/09/17/letter-324/
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