-高橋美香『シロくんとパレスチナの猫』 (2025.12、かもがわ出版) -
https://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/sa/1403.html
【ポイント】
著者がともに暮らしている元ノラ猫のシロくんを語り手に、パレスチナの難民キャンプ等で出会った猫たちの姿を通して、パレスチナの人たちが置かれ続けている不条理な現実が描かれています。

文及び写真は、広島・府中市出身の写真家・高橋美香さん。
世界の国々を歩き、その地に生きる人々の「いとなみ」をテーマに撮影、作品を発表されている方。特にパレスチナには何度も「居候」して家族の方々の様子を取材、撮影を続けてこられています。去る11月25日(月)、東京・十条のパレスチナ料理店で開催した第6回食と農の未来フォーラムにはゲストとしてお迎えし、直接、お話を伺うことができました(ブログ参照)。
この写真絵本の語り手は、著者が保護し、ともに暮らしている元ノラ猫のシロくん。パレスチナの難民キャンプ等で「アイツ」(シロくんは著者のことをこう呼びます)が出会った猫たちの姿を通して、パレスチナの人たちが置かれ続けている不条理な占領の現実が描かれています。
2023年頃から著者の「家族」が住むジェニン難民キャンプ(ヨルダン川西岸地区)へのイスラエル軍の侵攻が激化し、仲が良かった息子たちの一人が殺害された時には「アイツ」は表情を無くし、泣いてばかりだったとのこと。
お墓詣りのためにキャンプを訪ねた「アイツ」を待っていたのは、一晩中続く銃撃音や、電柱や上下水道管を破壊する軍用ブルドーザーの轟音でした。
パレスチナを去る日には、友だちの一人がバーベキューをご馳走してくれます。匂いにつられて集まってきた猫たちのあどけない姿には、状況が状況だけに心打たれざるを得ません。
著者の胸中を満たしている悔しさや怒り、虚無感等は、恐らくシロくんを語り手にしないと表現できなかったものと思われます。
ともすれば、あまりの事態の深刻さを前に、私たちは立ちすくんでしまいます。
しかし著者は、「何かを変えることはできないかも知れないけれど、可能な限りやるべきことはやる」との決意のもと、これからもパレスチナ等の取材を続けていかれるそうです。
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.330、2025年12月4日(木)[和暦 神無月十五日]
https://food-mileage.jp/2025/09/17/letter-324/
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