【メルマガ】F.M.Letter No.331-pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.331◇
  2025年12月20日(土)[和暦 霜月朔日]
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◆ F.M.豆知識  2025年の振り返り
◆ O.カレント   同上
◆ ほんのさわり  同上
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 2025年最後の配信は、恒例の振り返りです。本年はNo.308から331号(今号)まで24本を配信。1年間、読んで下さり有難うございました。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介しました。[ ]内は号数です。
 個々の記事は以下に号数順に掲載してありますので、関心のある項目があればご覧頂ければ幸いです。
https://food-mileage.jp/category/mame/

-2025年の振り返り-

3月に東京でも行われた「令和の百姓一揆」の背景として、食料自給率が長期的に低下してきた最大の要因は消費者の食生活(食の選択)の変化にあること[No.313]、都市部の食料自給率は極めて低い水準にあること(東京都はカロリーベースで0%)[No.312]、日本の農業生産を支える基盤(担い手、農地)は急速にぜい弱化していること[No.314]を紹介。11月に公表された新しいセンサスでは、担い手数は経済の高度成長期を上回る減少率を示していることも明らかになりました[No.330]。

米も大きなテーマでした。
 昨年(2024年)は、米の生産が増加すると同時に価格が上昇し[No.308]、消費量も増加に転じる[No.317]という転機になった年であったことを紹介。
 それでも小規模層では赤字で[No.319]、全体としても経営収支は厳しい状況にあること[No.325]。就業者一人当たり純生産をみても第一次産業は他産業に比べて4分の1程度の低い水準で推移していること[No.310]のデータを紹介。
 また、現在の日本の1人当たり米の収穫量は深刻な飢餓に直面していた1940年代に比べて約半減していることも指摘しました[No.322]。
 関連して、「令和の百姓一揆」で有名になった「時給10円」は統計的には問題のある数値であるものの、いずれにしても農家の経済状態が厳しい状態にあることは事実であり、これに対する市民・消費者の理解の必要性を強調しました[No.309]。

消費者側からみると、米の購入価格は生産者から直接購入する場合が最も割安となっていること[No.324]、家計では米の約2.6倍の金額を携帯電話通信料に支出している現状[No.318]、消費者の四類型[No.315]を紹介。農の価値を理解し、それに対価を支払う「積極型」消費者が増加していくことが期待されます。

原発被災の関係では、現在も福島県から少なくとも約2万6千人が県内外に避難していること[No.311]、除去土壌の仮置き場等は急速に減少しているものの福島県外の最終処分場の選定は進んでいないこと[No.321]、一方で米価格の高騰は結果として福島・浜通り産米に対するいわゆる「風評被害」の解消につながった面があること[No.323]を紹介しました。

さらに、いわゆる「超加工食品」の消費が長期的に大きく増加していること[No.327]、木質バイオマス発電施設での燃料材需要の増加等により木材自給率は上昇傾向にあること[No.316]、小規模自治体ほど近年の人口減少、高齢化が進行している状況[No.320]、夏季(7~9月)の最高気温は過去に比べて異常に高い数値だったこと[No.326]も取り上げました。
 EUの農業(日本、アメリカとの比較)を紹介[No.328]したのに対するコメントを踏まえて、各国の食生活は農用地の条件(国土、風土)を反映していることを指摘しました[No.329]。

◆オーシャン・カレント-潮目を変える-
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介しました。個々の記事は以下に掲載してあります。
https://food-mileage.jp/category/pr/

-2025年の振り返り-

「令和の百姓一揆」は、いかに多くの市民・消費者が賛同し参加するかが重要であること[No.309]、一揆の本来の意味には武力による階級闘争や革命というイメージはなかったこと[No.310]を紹介。

「令和の米騒動」に関連して、消費者の理解と実践が必要であること[No.308]を前提に、米の収穫量調査[No.312]、作況指数[No.313]、政府備蓄米[No.314]、いわゆる「減反政策」[No.317]、10a当たり収量の前年比見込みとともに唐突に作況指数が廃止されたこと[No.324]についても取り上げました。
 米の価格については、相対取引価格が過去最高値となったこと[No.325]、小売段階と生産者段階との間の大きな格差[No.319]、「高騰」後でもお茶碗一杯分の米の値段は約70円であること[No.318]を紹介しました。
 また、増産に舵を切った政府の米政策についても取り上げましたが[No.322]、政権が変わり今後は不透明です。

原発被災の関連では、原子力被災自治体における住民意向調査(半数が帰還の意向なし)[No.311]、中間貯蔵施設の現状と今後[No.321]、ほぼ一貫して低下を続けてきた福島県等の食品の購入をためらう人の割合が上昇に転じたとのアンケート調査結果[No.323]を紹介。

さらに、新たな食料・農業・農村基本法で「消費者の役割」[No.315]が強調されていること、2025年の概数値が公表された農林業センサス[No.330]、また、水田の汎用化・畑地化が言われる中で改めて水田の有する多面的機能についても紹介しました[No.329]。
 木質バイオマス発電の現状[No.316]、EUの共通農業政策[No.328]も取り上げました。

本木・早稲谷 堰と里山を守る会(福島・喜多方市)[No.320]、Cha cotton(ちゃ こっとん、埼玉・川越市のカフェ)[No.327]、FBページ「恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋ぐために」[No.326]も紹介させて頂きました。

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介しました。個々の記事は以下に掲載してあります。
https://food-mileage.jp/category/br/

-2025年の振り返り-(敬称略)

「令和の百姓一揆」関連では、実行委員会代表の菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』[No.309]、田中優子『一揆を通して社会運動を考える』[No.310]、幕末の世直し一揆を扱った小説・青山文平『下垣内教授の江戸』[No.314]を紹介。
 成田闘争にも参加した小泉英政『土と生きる-循環農場から』[No.326]、中世の宗教改革に先立つフランツ『ドイツ農民戦争』[No.328]も取り上げました。

米の関係では、30年以上前の論調がまったく古びていない井上ひさし『コメの話』[No.318]、お米への愛がてんこ盛りの柏木智帆『知れば知るほどおもしろい お米のはなし』[No.317]を紹介。

原発被災の関係では、大熊町で津波に流された娘を探し続けた父親の姿等を描いた安田菜津紀『遺骨と祈り』[No.319]、中間貯蔵施設の不条理を告発する門間好春『未来へのバトン』[No.321]、高木仁三郎の近未来小説『プルトニウムの未来』[No.323]を取り上げました。
 関連して赤坂憲雄は『東北学/忘れられた東北』で「単一の瑞穂の国」ではない「いくつもの日本」を発見します[No.311]。

また、「消費者」とは「人間侮蔑的な言葉」であるとする中野幸次『清貧の思想』[No.315]、井出留美『私たちは何を捨てているのか』は食べものを捨てることは自分のたましいを捨てることと主張[No.313]、ディンプルビー、ルイス『食べすぎる世界』 は食べすぎることが自らの健康にも地球にも多くの負荷を与えていることを明らかにしています[No.327]
 袖井林二郎『マッカーサーの二千日』には戦後の深刻な食糧問題の様子が描かれています[No.322]。

さらに古沢広祐『今さらだけど「人新生」って?』[No.312]、「ローカル、風土立脚型」の有機こそが重要とする吉田太郎『シン・オーガニック』[No.308]、樹木と自然への畏敬の念を記したエッセイ集である幸田 文『木』[No.316]、高橋博之『関係人口』[No.320]も紹介。
 重田園江『ホモ・エコノミクス』は「21世紀に人は合理的経済人であってはならない」とし[No.325]、渡邉雅子『共感の論理』では、日本が育み広く継承されてきた価値観(共感的利他主義)の重要性が強調されています。[No.329]

最期まで日々食べたものが記録されているハンセン病作家・北條民雄が療養所内で記した日記[No.324]。
 写真家・高橋美香『シロくんとパレスチナの猫』[No.330]も紹介させて頂きました。パレスチナで続く不条理は、愛猫・シロくんの口を借りないと表現できなかったのかも知れません。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 食べることの むかし、いま、そしてこれから(藤原辰史先生講演会@埼玉・小川町)[12/5]
https://food-mileage.jp/2025/12/05/blog-611/

〇 自然と人(産山村と東京・高輪)[12/11]
https://food-mileage.jp/2025/12/11/blog-612/

〇 菊池事件と映画『新・あつい壁』[12/16]
https://food-mileage.jp/2025/12/16/blog-613/

〇 東北うまいもん忘年会(きっかけ食堂@東京 vol.91)[12/19]
https://food-mileage.jp/2025/12/19/blog-614/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 参加等を希望される際には、必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

〇 企画展「ハンセン病療養所で書かれたある少年の手紙」ギャラリートーク
 日時:12月27日(土)14:00~14:40
 場所:国立ハンセン病資料館(東京・東村山市)
 主催:国立ハンセン病資料館
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.nhdm.jp/events/list/8514/

〇 なるほどクラシック Vol.4「第九」
 日時:12月29日(月)14:00~16:00
 場所:図書喫茶カンタカ(東京・東村山市秋津町3)
 主催:モーツァルトの音楽を楽しむ多摩支部ほか
 (詳細、問合せ等↓)
http://mozart.sblo.jp/article/191551018.html

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「あまりの美しさに、心が洗われました」
「城下(浄化)町だけにね」
 チェコ・チェスキークルムロフの光景は忘れられません。

過去のアーカイブは以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.332は明年1月3日(土)[和暦 霜月十五日]に配信予定です。
 正確でより役に立つ情報発信に努めてまいりますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。2026年版(北斎手帳)も求めさせて頂きました。
https://www.lunaworks.jp/


* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

* 改めて、1年間お付き合い下さり、あるいはコメントなど寄せて頂き有難うございました。来るべき年が、皆様にも世界にとっても平穏な一年になりますよう。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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