コミュニティスクール(CS)まちデザインは生活クラブ系のNPOで、食や農に関する様々な市民講座や福島・浜通りへの現地見学会等を主催しており、私もこれまで多くの学びを頂いてきました。
2026年1月24日(金)は、「食べながら学ぶ~おいしい料理をいただきながら、食をめぐる深いテーマにふれ、考える講座~」に参加させて頂きました。
福島・飯舘村は、2011年3月の東京電力・福島第一原子力発電所の事故により全村避難が強いられました。その飯舘村に帰還して黒毛和牛の生産から販売まで行い、ブランド牛・飯舘牛の復活に向けても活動されている山田豊さん(株式会社ゆーとぴあ)のお話を伺いつつ、山田さんが育てた牛肉をランチで頂くという企画です。
10時過ぎに会場のラ・ピネータTOKYO(東京・世田谷区千歳船橋)に到着。山田さんが東京農業大学在学中から馴染みのお店だそうです。

カジュアルで落ち着いた店内は、20名ほどの参加者で満員。
CSまちデザイン・近藤惠津子代表からの「美味しく食事を頂きながら、飯舘村に思いを馳せる会としたい」等の挨拶に続き、山田さんからの話が始まりました。詳しい資料を配って下さっています(文責・中田)。
「1982年、飯舘村で6代続く家に生まれ、幼いころから牛を育てる父親の姿を見て育った。大学卒業後に家業を継いだものの、2011年3月の東日本大震災・原発事故により、当時1歳半の娘と臨月の妻とともに山形に避難した。その後、京都に移って老舗精肉店で5年間修行した」
「父親は原発事故直後は目が死んだようになっていたが、避難先の福島市で牛飼いを再開。2017年に避難指示が解除された後には飯舘村で放牧の実証事件を始め、自分も2022年に自宅を再建し家族そろって帰村した」
「避難前には200戸ほどあった肉用牛農家は、現在は12戸。頭数は半分ほどにまで回復していおり、ブランドの復活を目指して活動している。村内では農業(稲作)をあきらめた農家も多く、田んぼを借りて飼料作物を生産し、自給飼料を中心に肉用牛を生産している。言い換えれば、放牧することによって田んぼを守っている」

「しかし今も、福島産というだけで市場での評価は低く、価格は安い。自分で値段をつけて売るために2023年に精肉店をオープンし、一般消費者やレストランに直接販売している。ネット販売も行っている」
「綿密に線量を計測してマップを作成することによって、汚染土の高いところ、低いところが明らかになった。むやみに恐れる必要はないことも分かってきた」
除染や、除染によって発生した除去土壌を一時保管する仮仮置き場の設置など、これまで例のない原発事故被災地でのご苦労があったことも紹介して下さいました。
「(規模拡大のために)農家の戸数を減らそうという政策が多いと感じている。しかし自然は厳しい。例えば山火事なども農家数が減ってしまうと対応できなってしまう。企業的な経営だけでは地域の農地を維持・管理していくことはできない。仮に農業経営としてはうまくいったとしても、地域や生活を守っていくという面では脆弱になりつつある。飯舘村は、全国の何年か先を進んでいるに過ぎない。何とかしなければならない」
全体として深刻な内容でしたが、山田さんは淡々と、時折りジョークを交えながら語って下さいました。

お話が一段落したところで、料理を出して下さいました。
サラダにカボチャのスープ、手作りのパン。そしてメインは、山田さんが生産された牛肉(バラ肉とすね肉)を煮込んでパスタと和えた一皿。
お話を伺った後だと、とりわけ美味です。
イタリアで修行されたというシェフの方によると、山田さんの牛肉は
「本当に香り高い。本来の牛の香りが、包装を開けた途端に立ち上がった。今日の料理はほとんど野菜も使わず煮込んだもので、味付けも塩コショウのみ」とのこと。
メッツェマニケという変わった形のパスタは、近く冬季五輪が開催される北イタリアのものだそうです。

食事の後も、山田さんと参加者との間で意見交換。
私からは、避難を強いられた被災者の方に不躾かとも思ったのですが、現在、原発の再稼働が進められていることについてどう思うか、と伺ってみました。
山田さんからは「私たちが味わった絶望的な気持ちを、誰にも味わってもらいたくない。二度と事故は起こしてほしくない。原子力の活用は慎重であるべきでは」等のお答えを頂きました。

事故を起こした当事者である東京電力は、まさに満を持して1月21日に柏崎刈羽6号機を再起動したものの、約5時間半後に制御棒のコントロールの不具合が判明して停止しています。
おりしも衆議院選挙真っただ中、エネルギー政策についても論戦を深めるべきだと思っているのですが。
(ご参考)
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