【ブログ】『原発回帰を考える』『ロッコク・キッチン』

東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故からまもなく15年。
 2026年2月16日(月)は、日本ペンクラブ主催「『原発回帰を考える』出版記念トーク&ドリアン助川朗読ライブ「忘却の果てに」」に参加。

 会場は渋谷のLOFT HEAVEN。駅から徒歩10分ほどのビル地下1階ですが、そもそも私は渋谷駅から出るのに一苦労。来るたびに導線が違っているようです。きらびやかな大都会を心地良く感じる人も多いのでしょうが。
 開演20分ほど前に到着した時は既に席はほとんど埋まっており、熱気がこもっています。
 座って隣を見ると、偶然、地元の知り合いの方の姿。

19時、青木美希さん(ジャーナリスト)の進行により開会。
 最初にあいさつのマイクを取ったのはジャーナリストの金平茂紀さん(以下、文責・中田)。 「2月8日(注:衆院選の日)で社会が変わり、皆さん、意気消沈していることと思う。しかし選挙以降、このような集会は満員になっており、危機感を覚えている人も多いのではないか」

 続いてペンクラブ会長の桐野夏生さんからは「通っている美容室の女性は、これで社会が明るい方に変わるのではと言っていた。ものが言えなくなる時代が来るのではと危惧している」等の発言。

最初のプログラムは、ドリアン助川さん(作家・歌手)による「朗読ライブ『忘却の果てに』(『原発回帰を考える』より)」。
 「東京の礎は コンクリートや鉄ではなく 忘却である」 「忘却は 私たちの生の一部である」「だが 忘れてはいけないこともあるだろう」・・・
 時には強く叫ぶように発する言葉が、観客の心に突き刺さります。

ギター伴奏はピクルス田村さん。パーカッションのように楽器を激しく叩くことも。

ステージ後方では、朗読に合わせて山内若菜さんによるライブペイントも。出来上がったのは大地に伏す牛の姿。背後には原発の建屋。夜空にはまたたく星。

休憩を挟んでの第2部は、『原発回帰を考える-3.11から15年目の大転換』(2026年2月、集英社新書)執筆者によるトークイベント。
 青木美希さんを進行役に、桐野夏生さん、金平茂紀さん、ドリアン助川さん、吉岡 忍さん(作家)、鈴木達治郎さん(長崎大学教授、NPO法人ピースデポ平和資料共同組合代表)、吉田千亜さん(ライター)が壇上に並びました。
 
 やはり今回の選挙結果を受けて、全体に重苦しい空気です。
 「肌感覚として、社会が嫌な感じになってきた」「スパイ防止法ができるとますます表現ができなくなる。書けるうちに書いておきたい」「復興に水を差すのは非国民(風評加害者)といった言説さえある」等の発言。
 一方で「絶望している暇があるなら取材に行けと言われた。まだまだ事実が伝わっていない」「再エネの話なども、もっと魅力的に格好良く伝えていく工夫が必要」等々も。

 吉田千亜さんが紹介された木こりの方の言葉(50年後に何を残せるかを考えて山に入っている)も印象的でした。

終了後には、会場で求めさせて頂いた本にサインを頂きました。しっかりと読ませて頂きます。

翌々日(2026年2月18日(水))は、ポレポレ東中野へ。
 『ロッコク・キッチン』は、食を切り口に、国道6号線沿いの原発事故被災地に暮らす人々の現状を追ったドキュメンタリ映画。同時並行的に制作されたは読んでおり、恵比寿で開催されたギャラリーにも足を運んでいましたが、映画を観るのは初めてです。

 本でも描かれていたように、原発事故被災地の現状は明暗のモザイク模様です。
 しかし、何度も映し出される帰還困難区域のバリケードや送電線の映像からは、現在も厳しい状況にあることの方がより強調されていると感じました。
 夜だけオープンしている大熊町の書店オーナーの、自作の詩の朗読も圧巻でした。多くの方に観てもらいたい映画です。

上映後は、川内有緒さん、三好大輔さんの両監督と、ゲストの金平茂紀さんによるトークイベントもありました。
 金平さんは両監督の前で言葉を選びつつも、ここでも危機感を表明されました。
 「原発事故被災地には多くの善意もあるが、現在、それが圧倒的な暴力によって更地にされ、上書きされつつある。モザイクさえ消されていく恐れがある。映画に登場した観光ガイドの女性は、地域が好きだという純粋な気持ちでされていることは伝わってきたが、観光振興も圧倒的な力の一部とも考えられる」等のコメント。

上映後映画館を出たところに金平さんがいらっしゃったので、不躾に名刺を渡して立ち話させて頂きました。
  「一昨日の渋谷でのイベントは多くの方の思いを知って心強く感じた」と述べたところ、「仲間内で盛り上がっていても仕方がない。これから何をやっていくべきかを話し合うべきだったのだか」等のお答えでした。

また、この日は映画にも登場している「俺たちの伝承館」(南相馬市小高)の中筋 純 館長も参加されていて、名刺交換させて頂きました。
 小高にもしばらく行っていません。他にも様々な新しい取組みも始まっているようで、ぜひ機会を見て足を運んでみたいと思います。果たして「原発回帰」に転換する社会の動きを、被災地の方々はどのように感じておられるのでしょうか。

(ご参考)
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