-杉本鉞子『武士の娘』([新訳]2016.3、PHP研究所)
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82778-0
【ポイント】
日系人移民排斥運動が広る第二次世界大戦前のアメリカにおいて、杉本鉞子が英文で発表した『武士の娘』は、戦中戦後の日米間の相互理解等に大きく貢献しました。

杉本鉞子(えつこ)は1873(明治6)年、旧越後・長岡藩(現在の新潟・長岡市)の筆頭家老の娘として生まれました。幼少時代は厳格な武家の教育を受け、1898(明治31)年、25歳の時に結婚のために渡米します。
当時のアメリカでは日系人移民が増加し、日系人コミュニティも形成されつつありましたが、一方、現地では日系人に対する差別や排斥運動が広がりつつありました。1924年には排日移民法が制定され、太平洋戦争が始まった後には約12万人の日系人が強制収容されました。
このような時代背景のなか、アメリカで杉本鉞子が英文で発表したのが『武士の娘』です。これは、アメリカとは異なる日本の伝統的な文化や習慣、日本人の行動様式や心情等を紹介した自伝的小説で、7か国語にも翻訳されてベストセラーになり、戦中戦後の日米間の相互理解等に大きく貢献しました。
今回の衆院選では「日本人ファースト」等と声高に叫ぶ政党が躍進し、「外国人」問題のみならず夫婦別姓問題など、ますます多様性が軽視される風潮が広がることが危惧されています。
鉞子は、本書の中で、「東も西も人の心は同じ」だとしつつ、船の往来(貿易、経済)ばかり活発になっても「いまだに心を通じ合わせてはいません」と記しています。互いへの思いやりがないと真の理解は生まれないと、鉞子は訴えているのです。
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.335、2026年2月17日(火)[和暦 睦月朔日]
https://food-mileage.jp/2026/02/11/letter-334/
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