【豆知識】農業体験における指導者の重要性

農林漁業に関する体験活動は、食に対する感謝の念を深める等の効果があります。
 2016年度食育白書によると、本人または家族が農林漁業体験を経験した者の割合は30.6%で、「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」等の効果があったことが明らかとなっています。

また、体験の際に生産者等(農林漁業に携わる者)から直接、指導を受けた人は83.0%となっています。
 リンク先の図107は、農林漁業体験の効果(体験したことによる変化等)について、生産者等による指導の有無別に表したものです。
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/10/107_sidou.pdf続きを読む

【豆知識】明治時代の食生活

現代の「飽食」を嘆くあまり、江戸時代や明治時代の食生活が理想的であったとする説がありますが、実際に明治時代の食生活はどのようなものだったでしょうか。
 リンク先の図106は、1人1日当たりの供給熱量の品目別の構成比について、明治時代と現在とを比較したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/09/106_meiji.pdf

 これによると、明治時代末(統計が残っている最も古い1911(明治44)~15(大正4)年平均)の1人1日当たり供給熱量は2,124kcalでしたが、これが現在(2015(平成27)年)には 2,416kcal … 続きを読む

【豆知識】1人当たり米収穫量の長期推移

前号では、日本における水稲収穫量の長期的な推移を紹介しました(リンク先の図104の橙色の折れ線)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/08/104_kome.pdf

1933年頃までは収穫量は順調に増加しましたが、戦争の影響により伸び悩むようになり、終戦の年の1945年には一気に落ち込みました。戦後に入ると一転して増加しますが1967年にはピークを迎え、その後は生産調整が実施されるようになったこと等により右肩下がりで推移しています。

一方、日本の人口はこの間ほぼ一貫して(1945年を除いて)増加し、2009年には 1883年の … 続きを読む

【豆知識】米収穫量の長期推移


 今年は明治150年。150年前に近代国家としての歩みを始めた日本ですが、その半ば以上は食糧が十分に供給された時代ではありませんでした。

1918(大正7)年に富山県から始まった米騒動は、瞬く間に全国に広がり、社会に大きな影響を与えました。
 また、太平洋戦争の戦中・戦後は深刻な食糧不足に直面し、多数の銭死者を出すとともに、子どもの成長にも大きな悪影響を及ぼしました(このことについては前号で紹介)。
 国民に食糧を安定的に供給することが、国家の最重要課題だった時代が長く続いたのです。

食糧の中心には、一貫して米が位置づけられていました(異論もありますが)。… 続きを読む

【豆知識】14歳児童の平均身長・体重の推移

先の大戦は国民生活に様々な深刻な影響(困窮)を与えましたが、その一つが食糧不足でした。その影響は、育ち盛りの児童の体格の統計結果に象徴的に表れています。

文部科学省(旧文部省)のホームページには、1900(明治33)年度以降の児童の平均身長・体重が年齢別に掲載されています(1920年及び1940~47年は欠落)。

リンク先の図103 は、このうち14歳の男女の平均身長及び平均体重の推移を示したものです。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/08/103_taikaku.pdf続きを読む

【豆知識】書店数と販売農家数の推移

街の中から書店が次々と姿を消しています。
 個人経営の小規模店だけではなく、日本を代表する大書店だったリブロ池袋本店(2015年7月)や青山ブックセンター六本木店(2018年6月)も閉店、パルコブックセンター吉祥寺店も本年7月29日をもって閉じられるそうです。

リンク先の図101の赤い折れ線グラフは、2000~17年の全国の書店数の推移を示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/07/101_shoten.pdf
2000年には … 続きを読む

【豆知識】GDPとFIFAランキング(経済とサッカー)

開会前はあまり盛り上がらないかと思っていたら、いざ始まってみるとついつい寝不足という人も多いのでは。
W杯の楽しみは、もちろん日本代表の応援もありますが、アフリカや中南米の「小国」が互角に戦うという面白さにもにもあります。

現代の産業社会の原動力は経済(おカネ)。したがって、国の大小(規模や実力)を決めるのは(軍事力を別にすれば)経済力です。それでは、経済大国ほどサッカーも強いのでしょうか。

リンク先の図100(祝・グラフ100号!)は、横軸にGDP(国内総生産の額)、縦軸にFIFA(国際サッカー連盟)のランキングをとり、W杯ロシア大会参加32カ国をプロットしたものです。

http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/06/100_WC.pdf続きを読む

【豆知識】増加する「孤食」


 一人で食事をする「孤食」については、子どもたちの問題として取り上げられることが多いのですが、実は大人の中でも孤食が増加しています。

農林水産省「食育に関する意識調査」によると、一日の全ての食事を一人で食べることがあることは「ほとんどない」とする人の割合が73.0%、「週に1日程度ある」が5.5%、「週に 2~3日」が 6.0%となっている一方、「週に4~5日」が4.3%、「ほとんど毎日」が11.0%となっています。
 つまり、週の半分以上(4日以上)、一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の人の割合は15.3%となっており、これは … 続きを読む

【豆知識】熱帯夜の年間日数の長期推移


 近年、世界各地で多数の人的被害をもたらすような気象災害が多数発生するとともに、世界的に気温の高い年が頻出するなど、着実に進む地球温暖化が気候に与える影響が顕在化しています。
 日本の気象庁の「大雨や猛暑日など(極端現象)の長期変化」は、極端な高温(35℃以上の猛暑日)や強い雨(1時間当たり50mm以上)などの長期変化に関する情報などをまとめているポータルサイトです。

添付の図98は、極端現象のうち熱帯夜の日数(ここでは日最低気温25℃以上)の長期的推移を示したものです。なお、観測地点は都市化の影響が比較的小さい網走、山形、彦根など13地点です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/05/98_nettaiya.pdf

これのグラフをみると、全国の熱帯夜の年間日数は明らかに増加していることが見て取れます。… 続きを読む

【豆知識】伝統野菜のCO2削減効果(加賀野菜)


 2回ほど中断していましたが、再びフード・マイレージ指標を活用した輸送に伴う二酸化炭素排出量の削減効果についてのケーススタディを紹介します。
 長距離輸送された大量の輸入食料に依存している私たちの食生活は、その輸送に伴って大量の二酸化炭素(CO2)を排出することで、地球環境に相当の負荷を与えています。
 地産地消の取組みは、輸送に伴う二酸化炭素排出量を削減するという意味でも有意義なものであり、フード・マイレージ指標を用いることによって、その効果を定量的に把握することができます。

リンク先の図97の写真は、加賀野菜等(源助大根、金沢春菊、能登豚等)を用いた献立です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/05/97_kaga.pdf続きを読む

【豆知識】回復していない福島産米の価格


 東日本大震災と原発事故から7年以上が経過し、多くの人の関心が薄れつつあるなかで、福島県産農水産物に対するいわゆる「風評」被害は現在も解消されていません。
 その状況は品目等によって千差万別なのですが、ここでは特に米の価格に着目します。

リンク先の図96は、福島県産コシヒカリの相対(あいたい)取引価格の推移を示したものです。なお、相対取引価格とは、全国の出荷団体等と卸売業者間の取引価格です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/96_aitai.pdf

これによると、震災前は全国全銘柄平均とほぼ同水準にあった中通り、浜通り地方のコシヒカリの相対価格(全国全銘柄平均=100)は、2011年以降、大きく低下したことが分かります。その後、最近は上昇しているものの、特に浜通り産については震災前の水準にまで回復したとは言えません。… 続きを読む

【豆知識】神社等の数の比較


 日本には、神社やお寺がたくさんあります。
 文化庁「宗教統計調査」によると、2015年12月31日時点における神社の数は全国で81,158、寺院の数は77,256となっています(添付先の図95)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/95_jinja.pdf

これがどれほど多いかというと、例えば全国の小学校の数は20,313、中学校が10,404。郵便局の数が20,074となっており、神社やお寺はこれらの4~8倍ほどもあるのです。
 さらに、最近はどこにでもある(イメージの)コンビニエンスストアの数は全国で54,501ですので、やはり神社やお寺の方が多いのです。… 続きを読む

【豆知識】地産地消のCO2削減効果(学校給食)


 今回は、地産地消の取組が有する輸送に伴う二酸化炭素の削減効果について、事例に則して紹介します。
 地産地消の取組み(なるべく近くでとれたものを食べる)は、消費者サイドには新鮮で安価な食材の入手や「顔の見える関係」による安心感の確保、生産者サイドには少量多品種生産でも現金収入が得られ地域の活性化にもつながる等のメリットがありますが、さらに、輸送に伴う環境負荷を削減する面でも有益です。

この効果は、フード・マイレージの考え方を応用すると簡単に定量的に試算することができます。
 今回、取り上げるのは学校給食の事例です。近年、食育の一環としても、学校給食に地元産の食材を活用する取組みが盛んになっています。

埼玉県下のある中学校(生徒数約 … 続きを読む

【豆知識】 食料輸送に伴う二酸化炭素排出量の推計


 これまで数回にわたって紹介してきた日本の輸入食料のフード・マイレージの大きさに表れているとおり、私たちの食は、遠隔地から輸入した大量の食料により成り立っています。

(例:輸入食料のフード・マイレージ(総量)の国際比較)
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_FM.pdf
 遠隔地からの大量の食料輸入は、その輸送の過程で二酸化炭素を排出し、地球環境に負荷を与えています。今回は、その大きさの定量的な把握を試みます。

まず、日本国内における食料輸送(輸入食料の国内輸送分を含む。)に伴い排出される二酸化炭素の量は、部門別の二酸化炭素排出量、国内の貨物流動量に占める食料のシェア等から試算すると、約900万トンと試算されます(リンク先の図 … 続きを読む