================================================================
◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信− ◇◆◇
No.48; 2014.7/11(金)[和暦 水無月十五日]発行
================================================================
暦の上では小暑も過ぎましたが、天候不順が続いています。
列島を縦断し各地に被害をもたらした台風8号は、今朝未明に千葉県に
再上陸した後、東海上に通過して行ったようです。
時の流れを体感して頂くため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と
十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は水無月十五日
の発行です。
—————————————————————-
◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎
回少しずつ取り上げていきます。
—————————————————————-
5 フード・マイレージ基礎知識
(11) フード・マイレージ指標の限界-1 (輸送機関)
地産地消は、食材の輸送に伴う環境負荷を低減する効果があります。
このことを定量的に明らかにするため、東京・小金井市の伝統小松菜、
金沢市の加賀野菜等を用いた献立、阿蘇・産山村のあか牛、身近なお弁
当についての4つのケーススタディを紹介してきました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/5_komatuna.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/8_kagayasai2.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/9_ubuyama.pdf
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/10_bento.pdf
フード・マイレージは単純で分かりやすい指標です。
しかし、地産地消にさえ心がければ、地球環境問題の解決に向けて必
ず貢献できるという簡単なものではありません。
フード・マイレージ指標には限界や問題点もあります。
その一つは、どのような機関(輸送手段)によって運ぶかによって、
輸送に伴う二酸化炭素排出量は大きく異なるということです。
本メルマガNo.42(2014.4/14発行)で「二酸化炭素排出係数」につい
て紹介しています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/4_CO2keisu.pdf
これによると、1tの食料を1km輸送する際に排出される二酸化炭素の量
は、普通トラックの場合は180gと、鉄道(約22g)、ばら積み外航貨物船
(約10g)等と比べて非常に大きくなっています。
つまり、輸送に伴う二酸化炭素排出量を削減するためには、地産地消
によって輸送距離を短くするよりも、トラックによる輸送から、二酸化
炭素排出係数が小さな鉄道や船舶で運ぶように変更していくこと
(「モーダルシフト」といいます。)の方が、直接的な効果は大きいの
です。
しかし、現実の日本国内における輸送に占めるトラック(自動車)の
シェアは増加傾向で推移しており、現在は約6割となっています。特に
食料については9割以上がトラックにより輸送されているのが現状です。
(国土交通省資料)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/11_yusou.pdf
これを鉄道や船舶輸送にシフトしていくために、納入期限など商慣習
の見直し、貨物駅や港湾などインフラの整備など、多くの課題を解決し
ていく必要があります。
さて、フード・マイレージの限界の2点目(こちらがより重要です。)
については、次回、説明します。
[参考]
F.M.豆知識
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
国土交通省「モーダルシフト等推進官民協議会中間とりまとめ」概要
http://www.mlit.go.jp/common/000172415.pdf
—————————————————————-
◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組
んでおられる方達を紹介するコーナーです。
—————————————————————-
東京で最もお洒落なスポットとも言われる世田谷区の自由が丘。
駅から一筋入った緑道を辿って徒歩数分、閑静な住宅街の中にあるの
が「シェア奥沢」です。
築80年の古民家を改装し、「arts & communication(芸術と、ものつ
くり)」をコンセプトに地域密着型の交流の場として仮オープンしたの
が、ちょうど1年前の2013年7月7日。
約20畳の板敷きの広間、コワーキングスペース、シェアキッチン等を
備え、ヨガ教室等の各種講習会、音楽鑑賞会、ものづくりワークショッ
プなど、毎日のように様々なイベントが開催されています。
ここで生まれ育ち、現在も隣接する母屋で暮らしているオーナーの堀
内正弘先生(多摩美術大学デザイン学科教授)が推進されているのが、
「SHARE HUB」(eco japan cup 2013特別賞を受賞)です。
「シェア」は、未利用空間や余剰物を活用して資源とエネルギーの無
駄を無くすと同時に、労働力や技術・ノウハウなどを交換し、ご近所づ
きあい(ご縁)を復活させることにもつながります。
昔ながらのコミュニティが希薄となっている現在、いわば「コンビニ」
のように、身近な日常の場所で「シェア」できる拠点を各地に作ってい
こうというアイデアが「SHARE HUB」なのです。
その実践事例の先がけであるシェア奥沢の取組は、平成25年度「世田
谷らしい空き家等の地域貢献活用モデル」として採用され、また、東京
新聞、朝日新聞、NHKテレビ等でも紹介されるなど、大きな注目を集めて
います。
2014年7月6日(日)には、仮オープンから1周年を記念するパーティ
ーが開かれました。
翌日に60歳の誕生日を控え、参加者からサプライズのケーキを贈られ
た堀内先生は、
「そう大げさなことを考えているわけではなく、多くの人の力を借りな
がら、自分自身楽しみながらやっている。その結果、地域の人たちが集
まり、いろいろなアイデアがシェアされる場になるのが夢」と挨拶され
ていました。
公共施設等と異なり夜間など時間の制約がなく、アットホームな雰囲
気が楽しめるシェア奥沢。キッチンも使えるので、みんなで料理をして
語り合う「共奏キッチン♪」など食を仲立ちとしたイベントも行えます。
シェア奥沢がオープンしてからの1年は、日本の地域社会に新しいタイ
プのコミュニティが芽生え根付き始めた1年として、記憶されることとな
るかも知れません。
(参考)
シェア奥沢
https://www.facebook.com/shareokusawa?fref=ts
SHARE HUB
世田谷らしい空き家等の地域貢献活用モデルについて
http://www.setagayatm.or.jp/trust/support/akiya/
—————————————————————-
◆ 情報ひろば
食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各
種イベントの開催情報等をお知らせします。
—————————————————————-
▼ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○ 杉本鉞子『武士の娘』から異文化交流を考える会
(06/27)
国際社会にも大きな影響を及ぼした『武士の娘』を素材に、これから
の国際交流・異文化交流の在り方について考えました。
http://food-mileage.jp/2014/06/27/
○ IJU cafe in 東京
(06/29)
東京・品川で開催された「IJU caf?」(移住カフェ)では、鳥取県に
おける取組等について報告と意見交換がありました。Hactoさんのミニリ
サイタルも。
http://food-mileage.jp/2014/06/29/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
○ 7月の「結イレブン」−会津と新宿をつなぐ−
日時:7月11日(金)19:00〜
場所:ダイニングカフェ結(新宿区富久町16-10)
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/1436895213241363/
○ 品川新鮮野菜マルシェ「第15回全快野菜ちゃん」
日時:7月12日(土)10:00〜15:00
場所:品川寺(ほんせんじ、品川区南品川3-5-17)
主催:グリーンスマイル
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/702284169818135/
○ しごと塾さいはら2014第4弾「ジャガイモが待っている!」
−コロコロゴロゴロジャガイモ4種の収獲&大豆の土寄せ−
日時:7月12日(土)11:00〜13日(日)16:30(日帰り参加OK)
場所:山梨県上野原市西原(さいはら)
主催:しごと塾さいはら
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/265961523610752/
○ 共奏キッチン♪
日時:7月14日(月)18:00〜22:00
場所:シェア奥沢(世田谷区奥沢2-32-11)
主催:共奏キッチン
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/500121016801353/
○ 農業研「お米対談!
〜お米農家さんとお米屋さんから見たお米のマーケティング〜」
日時:7月15日(金)19:00〜21:00
場所:ちよだプラットフォームスクウェア(千代田区神田錦町3‐21)
主催:農業ビジネス研究会
(詳細、お問合せ等↓)
http://m-motegi.at.webry.info/201406/article_3.html
○ 第1回共奏Weekend
☆「きく」から始まる次の一歩。1分プレゼンを共創しよう!
日時:7月20日(日)10:00〜17:00
場所:コクヨ
エコライブオフィス品川(港区港南1-8-35)
主催:共奏事ム局
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/312726455556547/
○ 東京ゴマ01in檜原村★夏休み自然体験イベント開催!
日時:7月27日(日)9:30(武蔵五日市駅集合)〜15:30
場所:東京都西多摩郡檜原村
主催:グリーンスマイル
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/312726455556547/
—————————————————————-
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方
の部分は全て筆者の個人的なもので、文責は中田個人にあります。
* 次号No.49は7月27日(日)[和暦
文月朔日]の配信予定です。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて
頂いています。いつもありがとうございます。
================================================================
F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
================================================================
◆ 発行者:中田哲也
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/