【メルマガ】F.M.Letter No.217

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.217◇
 2021年5月12日(月)[和暦 卯月朔日]
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◆ F.M.豆知識  Sansan(株)「ビジネスの出会いに関する調査」
◆ O.カレント  地域づくり情報誌『かがり火』
◆ ほんのさわり 野中郁次郎ほか『知識創造企業』(新装版)
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 遠出することも人と会うこともないまま、今年のGWも終了。もうしばらくガマンの生活が続きそうです。今号では直接的なコミュニケーションの重要性について考えました。
 本メルマガは、時の流れを体感するため和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−Sansan(株)「ビジネスの出会いに関する調査」−

昨年11月、Sansan株式会社は「今年のビジネスの出会い」に関する調査の結果を公表しました。全国の20〜50代の会社員等を対象に、2020年11月24〜25日、オンライン上のアンケートとして行われたものです(1011サンプル)。
 リンク先の図217は、その結果の概要を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/05/217_sansan.pdf

本調査結果によると、今年は「初対面の社外の人と出会う機会が減った」と回答した人が64.6%にのぼるなか、「社外の人と新たに出会うことが難しくなったことで、自身の仕事に支障をきたした」と回答した人は54.5%(「とてもそう思う」「そう思う」の計)となっています。
 また、オンライン上の出会いでは「相手の特徴や空気感が分からず、記憶に残りづらかった」と回答した人が50.9%いるなか、「オンライン上での新たな出会いが増えて、相手とのコミュニケーションや関係構築が難しくなったと感じる」と回答した人が64.2%にのぼっています。

さらに、65.5%の人が「今年を振り返って、ビジネスでの新しい出会いや、実際に会う機会が減り、物足りなかったり、寂しく感じたりする」と回答しており、73.0%の人が「ビジネスにおける新しい出会いや人とのつながりを、以前よりも大切に感じるようになった」と回答しています。

Sansan株式会社は「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとする会社とのことです(個人向け名刺管理アプリ「Eight」は私も利用させて頂いています)。緊急事態宣言等により人と人との交流の減少が継続することは、イノベーションや知識創造の面にも悪影響をもたらす懸念があります(「ほんのさわり」欄参照)。

[資料]
 Sansan(株)「今年のビジネスの出会い」に関する調査
 https://jp.corp-sansan.com/news/2020/encountersurvey2020.html

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−地域づくり情報誌『かがり火』−

『かがり火』は、合同会社かがり火が発行する「地域づくりに情熱を燃やす面白人間や“変”差値人間を紹介する人間情報誌」です。
 1987年の創刊以来、地域活性化に向けてのヒントやノウハウを満載して、隔月で刊行されてきました。

発行人・編集者の菅原歓一さんは、大学卒業後にいったん就職した大手出版社を退職し自ら起業。全国各地の「無名・有名の面白人間」を訪ね、その地の気候や風土を体験しつつ、直接対面して話を聞き、記事にまとめて発信してこられました。
 取材先に泊めてもらい、寝食を共にすることも多かったそうです。

地域活性化に限らず、ノウハウやコツといったものは明文化・マニュアル化することが困難な「暗黙知」に属するものです(「ほんのさわり」欄参照)。『かがり火』の記事がリアルなのは、菅原さんご自身の体験取材に基づいているためです。
 また、これまで取材された方や菅原さんとつながりのある方300名近くが「支局長」として任命されており、情報交換のネットワークにもなっています(不肖、私も「東村山支局長」を拝命しています)。

その『かがり火』は、本年夏以降に刊行予定の200号を区切りに、いったん休刊されることが決まっています。
 今後については、現在、オンラインでの支局長会議を含めて検討されていますが、菅原さんは「今までとは違う新しいチャレンジをしたい」と仰っています。
 コロナ禍により直接取材が難しい状況が続いていますが、菅原さんの新しいチャレンジに期待したいと思います。

(参考)『かかり火』
 http://www.kagaribi.co.jp/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−野中郁次郎、竹内弘高『知識創造企業』(新装版、2020.12、東洋経済新報社)−
 https://str.toyokeizai.net/books/9784492522325/

1995年に英語で発表され、世界10カ国語以上に翻訳された経営学の記念碑的な名著が、四半世紀ぶりに新装版として再刊されました。
 本書が画期的とされ、今なお影響力を失っていないのは、イノベーションのメカニズムを知識創造という面から解明した点にあります。

知識には「形式知」と「暗黙知」があります。
 前者は言葉や数式で表せる(マニュアル化できる)ことから容易に伝達・共有できるのに対して、後者は個人の経験や主観に深く根差しているため、言語化して他人に伝達することは困難なものです。例えば直観や勘、技能、ノウハウと呼ばれるものです。

野中らは、暗黙知を共有化するためには、個人対個人、あるいはグループの中での濃密で直接的なコミュニケーション(徹底した対話や討論、体験共有等)が不可欠としています。そして、個々人の暗黙知を形式知化し、組織内で共有すること(共感知化すること)こそが、イノベーションの原動力となるとしているのです。

イノベーション(新結合による革新)が必要とされるのは企業経営に限られる訳ではなく、例えば地域社会づくり等も同様です。
 こう考えてくると、新型コロナウイルスの脅威は生命や健康面にとどまらず、直接的なコミュニケーションの機会を減殺させることで社会全体の活力を長期的に削いでいくという面でも深刻なものとなるかも知れません。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 〇 CS福島シンポジウム(これからの10年)[4/27]
 https://food-mileage.jp/2021/04/27/blog-313/

〇 2021年のゴールデン・ウィーク[5/9]
 https://food-mileage.jp/2021/05/09/blog-314/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ お茶の水サンクレールマルシェ
 日時:5月13日(木)〜14日(金) 11:00〜19:00
 場所:新御茶ノ水駅前広場(東京・千代田区)
 主催:サンクレールマルシェ運営委員会
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/saintclair.marche

○ 連続講座「日本の市民科学者−その系譜を描く」第8回
  農学、自然保護、動物愛護の底流:安藤昌益から現代まで
 日時:2020年5月14日(金)19:00〜21:00
 場所:オンライン及び市民科学研究室事務所(東京・文京区湯島、P)
 主催:NPO法人市民科学研究室、白順社
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.shiminkagaku.org/csijseminar_citizenscientists_2020_2021/

○ 第6回 オンラインきき酒会・岩手県で「二戸テロワール」に取り組む酒蔵〜「南部美人」の飲み比べ〜
 日時:2021年5月19日(水)19:00〜20:30
 場所:オンライン
 主催:農業情報総合研究所/農業ビジネス研究会
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/masamitsu.motegi/posts/4102835066459935

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「カボチャを買ったらお金が返ってくるって、電話があったの」
「それはパンプキン(還付金)詐欺よ!」

コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.218は5月26日(水)[和暦 卯月十五日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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