◇フード・マイレージ資料室 通信 No.222(怪傑ゾロ目!)◇
2021年7月24日(土)[和暦 水無月十五日]
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◆ F.M.豆知識 都道府県別にみたGAP認証数
◆ O.カレント 故・杉本苑子さんの1964東京五輪開会式
◆ ほんのさわり 上間陽子『海をあげる』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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猛暑に加えて、感染が急拡大する中で東京五輪が開幕。何とか平穏に競技が進んでいくことを祈念します。
本メルマガは、時の流れを体感するため和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録下さった皆様に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−都道府県別にみたGAP認証数−
2020東京オリンピック・パラリンピックは、日本の食や農業生産にも一つの転機を与えました。選手村で提供される料理等について、持続可能性に配慮した農産物の調達基準としてGAPが取り入れられたのです。
GAP(ギャップ、Good Agricultural Practices、農業生産工程管理)とは、農業生産の適正な手順等を定め、その基準を順守している生産者や作物を認証することで、食品安全や労働安全、環境保全等を確保しようという取組みです。
(一財)日本GAP協会によると、2021年3月末時点のASIAGAP及びJGAPの認証数は2121となっています。これには海外の11を含み、また、これらとは別にGLOBALGAPの認証が2020年12月末時点で692あります(それぞれの違い等は資料をご覧下さい)。
リンク先の図222の棒グラフは、ASIAGAP及びJGAのP認証数を都道府県別にみたものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/07/222_GAP.pdf
また、赤いドットは全国の認証数に占める当該都道府県のシェアを示しています。
これを農業経営体数のシェア(黒いドット)と比較すると、北海道、福島県、静岡県、三重県、鹿児島県等で、GAP認証の取組みが進んでいることが分かります。
特に東京電力福島第一原発事故の被害を被った福島県は、もともと有機農業等の取組みも盛んな地域でしたが、GAPにも積極的に取り組んでいる状況が見て取れます。
[資料]
(一財)日本GAP協会「都道府県別・国別 認証数(2021年3月末時点)」
https://jgap.jp/farm/#FARM_no
農林水産省ホームページ「農業生産工程管理(GAP)に関する情報」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−故・杉本苑子さんの1964東京五輪開会式−
作家の故・杉本苑子さんは、1964年の東京五輪開会式に参加して次のような文を残しておられます(抄録)。
「二十年前のやはり十月、同じ競技場に私はいた。女子学生のひとりであった。出征してゆく学徒兵たちを秋雨のグラウンドに立って見送ったのである。
私たちは泣きながら、征く人々の行進に添って走った。髪もからだもぬれていたが、寒さは感じなかった。おさない、純な感動に燃えきっていたのである」
「オリンピックの開会式の興奮に埋まりながら、出陣学徒壮行会の日の記憶が、いやおうなくよみがえってくるのを、私は押えることができなかった。
同じ若人の祭典、同じ君が代、同じ日の丸でいながら、何という意味の違いであろうか。」
「祝福にみち、光と色彩に飾られたきょうのオリンピックはあの日につながり、あの日もきょうにつながっている。私にはそれがおそろしい。
私たちにあるのは、きょうをきょうの美しさのまま、なんとしてもあすへつなげなければならないとする祈りだけだ」
私たちは今回の五輪を、どのように明日へつないでいくのでしょうか。
[資料]
杉本苑子「あすへの祈念」『東京オリンピック−文学者の見た世紀の祭典』(2014、講談社文芸文庫)所収
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211178
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−上間陽子『海をあげる』(筑摩書房、2020.10)−
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815583/
著者は1972年沖縄生まれ。米海兵隊・普天間基地の近くに住みながら、幼い頃から性虐待を受けたり、若年出産をした女性等の調査を続けておられる琉球大学教授です。
その著者が「目の前の日々」を書き記したエッセイ集は、なかなかに重たい内容を含んでいます。
前夫との離婚話が進む失意の中、友人が持たせてくれた粕汁を泣きながら食べたこと(「美味しいごはん」)。小学生の頃から父親から性暴力を受け、今は風俗で働く17歳の母親とのこと(「何も書かない」)、子どもの頃は大嫌いだった祖母との別れ(「空を駆ける」)など。
東京の大学院在学中は「軍機の音が聞こえない」ことに驚き、1995年に小学生が米兵に強姦された事件を受けた抗議集会のニュースに接した指導教員の一人が「すごいね、沖縄。行けばよかった」と発した言葉には、強い怒りを感じます。
「あんたの暮らす東京で抗議集会をやれ。沖縄に基地を押し付けている加害者の一人は誰なのか」
言うべきだった言葉は、今も著者のなかに沈んでいるそうです。
そして、幼い娘の発熱に悩ませられたりしながら辺野古の住民集会に通う著者は、本書の最後に、「この海をひとりで抱えることはもうできない」と、絶望を読者に託すのです。
私には、その言葉を受け止める覚悟があるでしょうか。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 白川真澄さん「BIをめぐる論争を読み解く」(座標塾)[7/5]
https://food-mileage.jp/2021/07/19/blog-327/
〇 谷さつきさん(第2回 食農市民談話会)[7/18]
https://food-mileage.jp/2021/07/18/blog-326/
▼ 筆者が進行役を務める食農市民談話会(全6回)の第3回です。参加者募集中です。
○ 第3回 食と農の市民談話会
日時:8月10日(火)19:00 〜21:00
話題提供:榊田みどりさん(農業ジャーナリスト)
『現場から見える日本の食、農の課題』(仮題)
場所:オンライン
主催:NPO 市民科学研究室
(詳細、問合せ等↓)
https://www.shiminkagaku.org/agrifoodmeetings/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 戦後研究会「小田実の思想」
日時:7月28日(水)19:00〜
場所:(一社)ピープルズ・プラン研究所(東京・江戸川橋)
主催:(一社)ピープルズ・プラン研究所
(詳細、問合せ等↓)
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/news/article.php?storyid=652
○ 奥沢ブッククラブ第70回
金子文子『何が私をこうさせたか−獄中手記』
日時:8月9日(月・休)19:00〜21:00
場所:オンライン
主催:奥沢ブッククラブ
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/groups/1502500616734458
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「これを機会に、被災地について腹をくくって考えなきゃね」
「復興(腹腔)五輪だけにね」
海外へのアピール以前に、私たち自身が被災地の現状と将来(例えば「処理水」のことなど)について考え、議論する機会にしなければと思います。
コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.223は8月8日(日)[和暦 文月朔日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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