去る2022年5月30日(金)[和暦 皐月朔日]、登録下さっている読者の皆様に以下のメルマガを配信させて頂きました。
なお、ウェブ掲載にはタイムラグがあるため終了してしまったイベント等もありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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◇フード・マイレージ資料室 通信 No.243
2022年5月30日(月)[和暦 皐月朔日]配信
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◆ F.M.豆知識 農産物価格と生産資材価格の推移
◆ O.カレント 高値が続くたまねぎ
◆ ほんのさわり 西川芳昭『種子から食卓を繋ぐ』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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季節は本格的な夏を迎つつありますが、ウクライナでの戦火は未だやみません。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−農産物価格と生産資材価格の推移−
輸入食料(及び輸入食料を原料とした加工品)の値上げが続くなか、国内農産物の価格は総じて低迷が続いていますが、一方で、国内の農業生産に必要な資材の価格は上昇しています。
リンク先の図243は、国内の農産物価格指数と農業生産資材価格指数の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/05/243_kakakusuii.pdf
これによると、2022年3月の農産物価格指数(2015年=100)は総合で111.3と、近年ほぼ横ばいで推移しています。
しかし米については、2019年頃に比べると20%以上低下しており、逆に野菜価格については、最近、上昇がみられます(次の「オーシャン・カレント欄」参照)。
一方、農業生産資材価格指数は総じて上昇傾向で推移しており、2022年3月の総合指数は109.5と、近年、2〜3割高くなっています。
これは、原油はもとより、飼料用とうもろこしや大麦、化学肥料の主な原料であるリン酸アンモニウム、塩化カリ、尿素が、いずれもほとんど全量を海外からの輸入に依存しているためです。
コロナ禍、ウクライナ危機、中国の需要急増等による国際的な資源価格の高騰と、円安の進行が、国内の農業生産に必要な資材価格を上昇させているのです。
食料の安定供給を確保していくためには、国内農産物価格の低下に歯止めをかけるだけではなく、国内における循環資源の利活用を推進していく必要があります。
(資料)
農林水産省「農業物価指数(令和4年3月)」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noubukka/attach/pdf/index-21.pdf
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−高値が続くたまねぎ−
農林水産省は、毎週、小売店における主な野菜価格の動向を調査し公表しています。
具体的には、キャベツ、ねぎ、レタス、ばれいしょ、たまねぎ、きゅうり、トマト、にんじんの8品目を対象に、毎週1回、各都道府県10店舗の量販店(全国470店舗)を調査員(農林水産省が委託する民間調査機関の調査員)が訪問して調査しているものです。
去る5月24日に発表された最新の調査結果によると、5月16日の週(16〜18日)のたまねぎの小売価格(全国平均)は1kg当たり550円と、前週に比べると5%低下したものの、平年(過去5年平均)の2.2倍という高い水準で推移しています。
これは、最大の産地である北海道において、昨年夏の干ばつの影響で収穫量が減少したことに加え、後続産地である佐賀など西日本産地においても低温や干ばつの影響で肥大が進んでいないためです。また、作付けを中止した高齢農家等が多かったことも影響しているとも言われています。
さらに、輸入価格についても、最大の輸入相手国・中国のロックダウンの影響により上昇しています。
このように、野菜の価格についても、国内の気象条件や生産構造に加えて、国際的な様々なリスクに直面しているのです。
(参考)
農林水産省゛食品価格動向調査(野菜)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/k_yasai/h22index.html
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−西川芳昭『種子から食卓を繋ぐ−環世界をめぐって』(2021/02、東信堂)−
https://www.toshindo-pub.com/book/91638/
1960年、奈良県の採種農家に生まれた著者は、大学で作物遺伝学を専攻し、現在は龍谷大学において、重要な遺伝資源である種子の持続可能な保全と利用方法等について社会経済的な観点から研究されています。
近年、SNS等において不安を煽るような誤った断片的な情報が氾濫しています(在来種の自己増殖が禁止される、多国籍企業による遺伝子組み換え種子に席巻される、かびないパン、食べてはいない・・・等々)。そして、これらに騙され信じる人が増えていることを著者は強く憂慮しているとのこと。
例えば、主要農作物種子法の廃止や種苗法改正に反対する主張には、科学リテラシーや法律知識が不足しているものが多く、なかには明らかに非科学的なデマ(問えばF1が少子化につながる等)もあると著者は指摘します。
そして、これら混乱の背景には、多くの人が実際に種子に触れたこともないことに原因があるとしています。
本書のキーワードとなっている「環世界」とは、もともと生物学の実験から出てきた概念で、異なる生物(例えば私とあなた)は、同じものを見ていても(同じ情報を得ても)、認識の内容(賛成か反対か等)はまったく異なるというものだそうです。
つまり、私たちが認識している世界とは決して「客観的」なものではなく、あくまで認識した主体により抽出・ 抽象された主観的なものであることから、他者の環世界が存在することを受け入れ、想像することによって、初めてコミュニケーションが可能となるのだそうです。
本書において著者は、実際に作物を育て、種を採り続けてきた農業者の方たちの「環世界」を提示することを試みています。例えば、「種をつけて枯れ果てた姿に、野菜の本当の美しさを感じる」等の、長崎・雲仙の生産者の方の言葉を紹介しています。
また、著者は、食べるという行為は日常とあまりにも強く結びついた行為で、著しく個人的、身体的であると同時に、社会や経済と不可分な政治的行為であることを認識する必要があるとも主張しています。
単純で分かりやすい情報に身をゆだねることなく、自ら判断し行動することが、一人ひとりの市民に求められています。
(参考)
龍谷大学経済学部 西川芳昭研究室
https://nishikawa-yoshiaki.jimdofree.com/
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 市民研特別講座・著者に尋ねる『フード・マイレージ』[5/19]
https://food-mileage.jp/2022/05/19/blog-377/
○ 沖縄復帰50周年[5/21]
https://food-mileage.jp/2022/05/21/blog-378/
○ 食と農の未来を考える〜青梅から〜[5/24]
https://food-mileage.jp/2022/05/24/blog-379/
▼ 「小農学会」でフード・マイレージについて話題提供させて頂きます。
日時:6月17日(金)19:00〜
会場:オンライン
主催:小農学会
(お問合せは以下の小農学会HP又は本メールへの返信で)
https://shounou-gakkai.com/Contact.php
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 麦踏み塾(麦刈り体験)
日時:6月5日(日)12:40〜15:30
会場:神奈川・伊勢原市大田公民館集合
主催:「麦踏み塾」 協議会
(詳細、問合せ等↓)
http://mugifumi.com/
○ 今夜もご機嫌@銀座で農業
日時:6月9日(木) 18:30〜19:30
場所:オンライン、中央区立環境情報センター(東京・京橋)
主催:Slow Food Ginza
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/970665033640850
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
ウクライナの戦火がやむまでお休み中です(長い休みになっています)。
過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.244は6月13日(月)[和暦 皐月十五日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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発行システム:『まぐまぐ!』
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バックナンバー
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ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
https://food-mileage.jp/category/blog/