【メルマガ】F.M.Letter No.244

先日、登録下さっている読者の皆様に以下の拙メルマガを配信させて頂きました。
 なお、本ウェブ掲載にはタイムラグがあり終了してしまったイベント等もありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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◇フード・マイレージ資料室 通信 No.244◇
 2022年6月13日(月)[和暦 皐月十五日]配信
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◆ F.M.豆知識  作付規模別にみた米生産費
◆ O.カレント  小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」
◆ ほんのさわり 萬田正治、山下惣一監修『新しい小農』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 6日(月)の梅雨入り以降、東京地方では雨がちで肌寒い日が続いていましたが、今日は爽やかな「梅雨の晴れ間」となりました。
 時候は二十四節気の芒種。種をまく季節も、ウクライナでの戦火は続いています。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−作付規模別にみた米生産費−

一般的に生産コストは規模が拡大するに伴って低減します。このスケールメリット(規模の経済)は、米についても明らかに観察されます。
 リンク先の図244は、米の60kg当たり生産費(費用合計)を作付規模別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/06/244_kibo.pdf
 
 2020年産米の60kg当たり生産費(費用合計)は平均で1万3104円ですが、棒グラフにある通り、作付面積0.5ha未満では平均の1.9倍、0.5〜1ha層では1.5倍となっているのに対し、10〜15ha層では71%、50ha以上層では56%と、作付規模が大きい経営体ほど生産費は低減しています。
 費目別にみると、特に農機具費、賃借料及び料金(作業委託料等)、労働費が大きく低減していることが分かります。

一方、折れ線グラフは、生産費に占める肥料費、農業薬剤費、光熱動力費及び雇用労働費の割合を示したものですが、これらは大規模層ほど大きくなっています。
 輸入に依存している肥料や農薬の原料、重油等は、近年、高騰が続いています。また、外国人労働者(研修生)の確保も困難となっています。

このことは、パンデミックやウクライナ危機など不測の事態の影響等を、大規模層ほど相対的に大きく受けることを示唆しています。逆に言えば、生産コストは高いものの、資材や労働力の自給割合の高い小規模層の方が、危機に際しては強靭(安定的)である可能性を示しています。

(資料)
 資料:農林水産省「2020年産米生産費(個別経営)」
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/index.html

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」−

食料の輸送量に輸送距離を乗じたフード・マイレージは、もともとは食料輸送に伴う環境負荷の大きさ(CO2排出量)を把握するために開発された指標ですが、最近のパンデミックやウクライナ危機のなかで、食料の安定供給(安全保障)を考える際のヒントとなるものとしても注目されています。
 以下により、6月17日(金)、小農学会オンラインセミナー(zoom)で話題提供させて頂きますので、食料や一次産業に関心のある方のご参加をお待ちしています(参加費無料)。

日時:2022年6月17日(金)19:30〜21:00
  19:30〜 開会、中田からの話題提供「フード・マイレージ最前線」(仮題)
  20:30〜 質疑応答・意見交換
  20:45〜 ブレイクアウトルーム
   少人数のグループに分かれての自己紹介、意見・感想等のシェア
  20:55〜 小農学会の紹介、7月の講座案内(古野隆雄さん(予定))
  21:00  終了
 場所:オンライン
 主催:小農学会

参加を希望される方は、以下について16日(木)中に中田までメールにより連絡下さい。17日(当日)正午までに参加URLをお送りします。
(中田メールアドレス:foodmileage(アットマーク)jcom.home.ne.jp)
・お名前
・ご職業(又はご所属)
・お住まいの都道府県
・参加の動機、ご質問など(任意)

(参考)
 小農学会ホームページ https://shounou-gakkai.com/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−萬田正治、山下惣一監修 小農学会編著『新しい小農〜その歩み・営み・強み』(2019/11、創森社)−
 http://www.soshinsha-pub.com/bookdetail.php?id=404

萬田正治先生(鹿児島大学名誉教授)、山下惣一さん(農民作家、佐賀)達の呼びかけにより、2015年7月、福岡市で開催された小農学会設立総会には、全国から農家、研究者、ジャーナリストなど90人ほどが参加しました。
 農的暮らし、田舎暮らし、菜園家族、定年帰農、市民農園、半農半Xなどに取り組む都市生活者も含む「小農」学会では、学会誌の発行、定期セミナーの開催(オーシャン・カレント欄参照)など様々な活動を行っています。
 本書は、学会の理念や設立の経緯、具体的な実践例等についての、中心的なメンバーの方たちによる提言の書です。

山下惣一さんは「世界を見渡すと、どこの国でも小農こそが立国、救国の礎」とします。
 農業が「お天道さま任せ」である以上、規模拡大せず専門特化もせず、経営ではなく生業として地道に暮らしているからこそ安定している(倒産・破産はない)との見立てです。

松平尚也さん(耕し歌ふぁーむ、京都市)は、国連「家族農業の10年」「小農宣言」など国際的に小農が再評価されているなか、国内においては消極的対応にとどまっている状況について解説されています。

徳野貞男先生(熊本大学名誉教授)は、明治以降の暮らしの変遷を振り返り、戦前まではマジョリティだった「伝統的小農」が経済成長期には「克服されるべき存在」とされマイノリティ化したことを明らかにし、平成期以降の「考え、抵抗する希少的小農」に希望を見出されています。

宇根 豊さん(農と自然の研究所)は、ICTやAIを取り入れたスマート農業が、農や百姓の本質(作物を情愛を持ったまなざしで見て手入れする等)を破壊する危険性に警鐘を鳴らしています。

さらに、有機農法の実践例(株間除草機の試作、合鴨農法等)、消費者と連携した取組み(体験農園、食農一体カフェ、生活農学校等)も多く紹介されています。

小農学会は、農に関心のある人ならだれでも加入できます(下記のホームページ参照)。
 食や農の分野に留まらず、広く今後の経済社会や暮らしのあり方を考えていく上で、小農学会の活動は貴重な一石を投じるものと期待されます。

(参考)
「小農学会」入会のご案内
 https://shounou-gakkai.com/Contact.php?type=2

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 ○ 久々の新潟・大賀など[6/2]
 https://food-mileage.jp/2022/06/02/blog-380/

○ ぶらり歴史散歩〜武蔵嵐山[6/4]
 https://food-mileage.jp/2022/06/04/blog-381/

○ 湘南小麦刈り体験(麦踏み塾、神奈川・伊勢原市)[6/7]
 https://food-mileage.jp/2022/06/07/blog-382/

○ 2022年6月の「今夜もご機嫌@銀座で農業」[6/12]
 https://food-mileage.jp/2022/06/12/blog-383/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 奥沢ブッククラブ第79回「金子みすゞ」
 日時:2022年6月13日(月) 19:00〜21:00【本日です】
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/293074802947840

○ 小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」
 【再掲:6月17日(金)19:30〜、オーシャン・カレント欄参照】

○ 研究成果報告会 「有機農業の国際的波及」
 日時:6月21日(火) 14:00〜16:00
 場所:オンライン
 主催:農林水産省農林水産政策研究所
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2022/20220621.html

○ 沖縄「慰霊の日」(全戦没者追悼式):6月23日(木)
 (詳細↓)
 https://www.pref.okinawa.jp/site/kodomo/hogoengo/engo/2022_tuitousiki.html
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 *米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナの戦火がやむまでお休み中です(いつ再開できるのでしょうか)。
 過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.245は6月29日(水)[和暦 水無月朔日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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