【ブログ】2023年の“Present Tree in くまもと山都”(1日目)

2023年4月8日(土)~9日(日)は、熊本・山都町(やまとちょう)での植樹イベントに参加させて頂きました。昨年に続いて2回目です。
 Present Tree (贈り物に樹を植えよう!)とは、都市部の人達が、全国に拡がる放置林や被災した森林に、自分や大切な人のために植樹し、地元と共に10年間育てていくというプロジェクト。これまで全国約30か所で実施されています(主催はNPO環境リレーションズ研究所)。

羽田空港8時5分発JAL625便は、大きな揺れもなく10時過ぎに阿蘇くまもと空港に到着。新旅客ターミナルは3月にオープンしたばかりです。

バスに移動し、2日間のツアーがスタート。
 昨年に続き、コーディネータはECO九州ツーリストの寺崎 彰さん。元山都町職員で、九州脊梁山脈登山ガイド等も務められている方で、2日間、軽妙なトークで楽しませて下さいました。

道の駅 あそ望の郷くぎの立ち寄り、壮大な阿蘇の景観を堪能。強い雨だった昨年の1日目とは、打って変わっての快晴です。
 猿まわし、「南阿蘇鉄道全線開通まで98日」と記されたボード(2016年4月の熊本地震から7年、まだ完全復旧は途上です)。あれれ、あか牛の肉の自動販売機もありました。

バスに戻り、山都町に向かいます。マイクが回され、参加者一人ひとりから自己紹介。
 山都町は3回目という常連の方や、友人に誘われて、あるいは興味を持って初めて参加された方など、首都圏を中心に40名以上の方が参加されています。林業や木工関係に携わっておられる方、大学生・院生の姿も。

やがて山都町に入りました。
 最初のプログラムは原木椎茸狩り。林の中に多数のほだ木が組まれています。

 地元の農家の方の指導で、大ぶりで肉厚のものをビニール袋に詰め放題(!)。
 効率的に生産できる菌床栽培と異なり、原木椎茸は収穫できるまで二梅雨(ふたつゆ)を過ごすことが必要であること、最近は乾燥のための燃料費が高騰していること等のお話を伺うことができました。

12時半頃、昼食会場の道の駅 清和文楽邑に到着。
 椎茸や山菜など、地元産食材たっぷりのお弁当を頂きました。だご汁の小鍋は優しい味です。

庭には炭火のコンロが設えられ、各自、収穫してきたばかりの椎茸を焼いて頂きました。原木椎茸特有の強い香り。塩、甘めの醤油をかけると、さらに絶品に。

椎茸の駒打ちも体験させていただきました。
 指導して下さったのは、地元でお茶を中心に栽培されている農家の下田博臣さんです。

 ほだ木(この日はクヌギ)に、昔はドリルではなく、中が空洞になった金槌で穴を開けていたとのこと。その金槌も使いながら、穴に種駒(椎茸菌が回った2cmほどの木片)を打ち込む方法を教えて下さいました。ちなみに種駒は、ほとんどが群馬県で生産されているそうです。

 後で別の方に聞くと、駒打ちにはややシーズンが過ぎていたそうで、この日の体験のためのほだ木や種駒の確保にもご苦労をおかけしたようです。有難うございました。

バスに戻って向かったのは、一昨年(2021年)の植栽地。
 昨年の場所に比べると狭く、傾斜もきつく、白糸台地の棚田などの美しい光景が望めます。

昨年の植樹の時も指導して下さった西野文貴先生(林学博士、東京農業大学特別研究員)が待っていて下さいました。

 一昨年の植樹にも参加された方からは、苗木が生長していることに感嘆の声。
 様々な種類の樹々について、その名前、特性などを含めて分かりやすく説明して下さいました(ドクトル西野先生は、FMラジオのレギュラー番組やNHKのドキュメンタリにも出演されているそうです)。
 足元には、関東では珍しいマムシグサの一種やシロバナタンポポも。

この日の宿泊所は、県境をまたいだ宮崎・五ケ瀬町のごかせ温泉 森の宿 木地屋さん。
 実は予定していた(昨年も宿泊した)山都町の宿が、直前になって休業になってしまったそうで、事務局の方たちは大変だったようですが、結果的に、ごかせ温泉のトロっとした泉質、木材を多用した室内も快適でした。

夕食は、バスで10分ほどの五ケ瀬ワイナリーへ。
 到着したのは18時30分頃で、ちょうど夕日が落ちる時間でとた
 はるかに望む阿蘇の山並みは、参加者一同、息を飲むような美しさです。

夕食会兼懇親会では、美味しい料理とワインを頂くことができました。
 山都町の有機茶生産農家で、熊本県における有機農業運動のリーダーのお一人、下田美鈴さんから、歓迎の挨拶も頂きました(駒打ち体験を指導して下さった博臣さんのお母様です)。

外に出ると、大げさではなく、降ってくるような星空。金星やオリオン座が輝いています。
 地元のアマチュア天文家の方が説明して下さり、望遠カメラに繋いだモニターで、肉眼では見えない星々をリアルタイムで映写して下さいました(下の写真右は、ばら星雲)。
 神秘的な美しさに、寒さも忘れます。

20時30分過ぎに宿舎に帰着。
 二度目の温泉に浸かり、ワインを買って談話室に顔を出してみると、大学院生の二人と、鈴木敦子理事長始め主催者の皆さんが打合せ中。
 湘南地方にある有名な温泉町の、管理が行き届かなくなっている森林を再生するためのプロジェクトの立ち上げを考えておられるそうです。

 私も部外者(?)ながら、横から大学院生の方のプレゼンを聴かせて頂きました。50年後に向けて、子どもや都市住民を巻き込んでいこうという、壮大な、野心的な構想です。
 他の方も集まってきて、ワークショップのようになりました。大人は勝手な意見を言うばかりで、若い人が混乱しなければいいのですが。

 23時を回ってお開きになり、各自、部屋に戻りました。
 濃密だった1日目が終了。翌日はいよいよ本番の植樹です。(2日目に続く)