【ブログ】川崎平右衛門フェスタ2023 in 西東京市

2023年12月4日(月)は自宅近くに一画を借りている市民農園へ。
 多くの収穫をもたらしてくれたナスをようやく片づけ。根っこが太くて長いことに驚きました。
 菌ちゃん畑のキャベツ等は順調。水をやると表面張力で球になります。

 初めてリトマス試験紙でphを測ってみました。しばらく石灰も播いていなかったので酸性に傾いているかと思ったのですが、ほぼ中性でした。

写真は12月8日(金)時点の日比谷公園(東京・千代田区)。多くの方がカメラを向けていましたが、やはり例年に比べると鮮やかさは今イチかも。

12月10日(日)も快晴。気温は10月並みと汗ばむほどの暖かさです。
 西東京市の田無神社は多くの参拝者で賑わっていました。七五三の晴れ着で記念撮影する家族の姿も。

 境内に隣接するコール田無の多目的ホールで、13時から「川崎平右衛門フェスタ2023 in 西東京市」が開催されました。私は昨年(武蔵野市)に続いての2回目の参加です。

今年も分厚い資料を配って下さっています。参加費は今年も無料なのですが、資料代くらい集められてもいいのでは、と思いました。
 会場の参加者は70名ほどです。なお、イベントの模様は写真禁止でした。

 実行委員長・郷土史家の近辻喜一さんによる開会の辞。先日のポール de ウォークで史跡を案内して下さったです。
 続いて、川崎平右衛門顕彰会会長である山田俊男参議院議員から「平右衛門の偉業も偲びつつ、都市の農地を守っていきたい」等の挨拶。

最初のプログラムは、田無近辺地方史研究会の滝島 俊 副会長による歴史講話1「田無村の成立と田無用水」。
 武蔵野台地は古多摩川による扇状地であること、江戸城修理のための石灰を運ぶために青梅街道ができ、江戸の飲料水不足の解消のために玉川上水が開削されたこと、これらに伴って田無村が発展した様子等について、地図やイラストを示しながら説明がありました。

続いて、御門訴事件を伝えていく会の孤島法夫代表(真蔵院住職)から、「川崎平右衛門と御門訴事件」と題する講話2。
 明治三(1870)年一月、12か村の農民数百名が品川県庁へ門訴を決行し武力鎮圧された御門訴(ごもんそ)事件の経緯や背景について、詳しい説明がありました。頂いた資料には130年ほど前の平右衛門の事績と御門訴事件との関連についての考察もありましたが、時間が足らず説明は割愛され、残念でした。

左は田無近辺地方史研究会に関するウェブサイト、右は先日案内して頂いた御門訴事件出発の地。

休憩を挟んだ後は、「西東京市における農あるまちづくり」をテーマとしたパネルディスカッションです。
 まず、コーディネーターの蔦谷栄一先生(都市農業研究会副委員長、農的社会デザイン研究所)からのガイダンス。西東京市の緑と農の歴史と現状(新田開発、平右衛門の仕法、一人当たり都市公園面積等)、都市農業の実情(政策の経緯、生産緑地面積の推移、多面的機能等)について説明がありました。

最初のパネリストは、清水茂さん(武蔵野市・清水農園)。
 「2反という小面積の畑だが、学びと交流の場となっている。野菜だけではなく、人も育てている。都市型農業とは、児童から高齢者まで様々な人が集まるコミューン」等の説明。

2人目は、東京大学生態調和農学機構・社会連携協議会市民委員の田中敏久さん。
 小学校で実施している「ふるさと環境学習」と「環境教育」の様子などをスライドで紹介しつつ、「大人と子どもが一緒に体験、活動を共有することが大切」等の説明がありました。

左の2枚は清水農園を見学させて頂いた時の模様(2018年9月)、右は東大生態調和農学機構のHPより。

3人目のパネリストは、(有)ニイクラファーム(西東京市南町)の新倉大二郎専務。
 ハーブ中心の経営で、1970年代には大手スーパーからの依頼、現在はレストラン中心と、前例のないビジネスモデルを構築してこられた経緯等を話して下さいました。

茂木千佳子さん(西東京菜の花エコプロジェクト代表)からは、1990年のアースデーをきっかけに地元の生産者、消費者で「野菜クラブ」を発足させて以来、みどり豊かなまちの地域コミュニティづくり活動をされていることについて紹介がありました。

最後のパネリストは矢ケ崎ぶどう園(西東京市向台町)の矢ケ崎泰幸さん。
 職業体験実習やボランティアを積極的に受け入れ、ラジオも通じて情報発信に取り組んでいるとのこと。東京都においては「農地が減少するシステム」となっていることが問題と訴えられました。

ニイクラファーム西東京 菜の花エコ・プロジェクト矢ケ崎ぶどう園のFBページより。

蔦谷先生のコーディネートによるディスカッションでは、都市の農地を守っていくためには、制度面に加えて市民自らが取り組んでいくことの重要性が強調されました。
 もっとパネリストの方々のお話を伺いたかったのですが、ここも時間が足らず残念でした。

続いて、地産地消に務めること、市民の農業参画を進めていくこと等を内容とする「西東京市宣言」を拍手によって採択。

最後は、東京学芸大学名誉教授・川崎平右衛門研究会会長の大石 学 先生による歴史講和3「西東京市の新田開発」(オンライン)。
 昨年に引き続き、現代日本・世界のなかで江戸時代への関心が高まっていること、将軍吉宗による享保の改革と川崎平右衛門の事績等についての興味深い内容でした。

ほぼ予定の16時50分、川崎平右衛門顕彰会の猿渡昌盛副会長(大國魂神社宮司)からの挨拶で閉会。

左は田無神社HPより。

終了後は、主催者、パネリストの方たちを交えた懇親会に参加させて頂きました。
 会場の田無神社の参集殿は、国の有形登録文化財に指定されている建築物だそうです。
 お弁当と飲み物を頂きながら、参加者一人ひとりからの自己紹介など。都市農業や食に対する関心が高い方ばかりで、地域住民で農園を運営されている方も。大いに盛り上がったフェスタでした。

19時過ぎに会場を出ると、さすがに昼間の暖かさはなくなり肌寒さを感じます。田無駅に向かう都会の雑踏のなか、多くの人達とすれ違いますが、都市農業や都市の農地への関心は乏しい方ばかりかも知れません。
 この日のフェスタの熱気を、いかに大多数の市民の方たちに伝え、広げていくかが課題ではないかと感じました。

(追記)
 2023年12月11日(月)19時からは、第77回 縮小社会研究会にオンライン参加。
 中地重晴さん(熊本学園大学教授、熊本学園大学水俣学研究センター長)から、「なぜ水俣病が解決しないのか ~ もやい直しの現状と課題」について報告を頂きました。 

中央はHPに掲載されている中地先生の説明資料より。

熊本に在勤・在住していた20年ほど前には、熊本学園大学やNPOの皆さんのお陰で何度も現地も訪問させて頂きましたが、疎くなっている最近の情勢を学ばせて頂きました。