【豆知識】中山間地域に多い「消滅可能性自治体」

【ポイント】
 「消滅可能性自治体」に分類された自治体は、中山間地域で特に多くなっています。

民間の有識者グループ「人口戦略会議」(三村明夫 議長、増田寛也 副議長)は先月、「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」を公表しました。
 これは2014年の日本創生会議による分析を踏まえつつ、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(2023年推計)における20〜39 歳の女性人口(若年女性人口)の将来動向に基づいて、全国の地方自治体を「自立可能性自治体」「ブラックホール型自治体」「消滅可能性自治体」及び「その他」に4分類したものです。
 これによると、消滅可能性自治体(若年女性人口の減少率が50%以上)に分類されたのは全国で744あり、これは全自治体の43%を占めています。

リンク先の図291は、4分類された自治体の数を全国農業地域類型別に示したものです。
 なお、農業地域類型とは、市区町村等ごとに地域の土地利用上の特性により類型化したもので、「中間農業地域」と「山間農業地域」を合わせて一般に「中山間地域」と呼んでいます。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/05/291_shometu.pdf

消滅可能性自治体の数を全国農業地域類型別にみると、中間農業地帯が325、山間農業地帯で247と合計で572自治体となり、全国の消滅可能性自治体の77%は中山間地域にあることが分かります。
 また、消滅可能性自治体の割合は、都市的地域では9%に留まっているのに対し、中間農業地域では60%、山間農業地域では75%(中山間地域では65%)と高くなっています。
 このように「消滅可能性自治体」については、条件不利とされる中山間地域に多いことが分かります。

なお、若年女性人口の将来予測のみで「消滅可能性」を判断するという手法は、単純で分かりやすいとはいえ、やや適切ではない面もあると感じます。あたかも女性を「産む機械」であるかのように扱っており、また、「消滅」という強い言葉がそれぞれの地域で活性化に取り組んでいる行政や民間の方々の努力や思いを貶めることとなりかねないと思われるためです。

[データの出典]
 人口戦略会議「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」(2024年4月)、農林水産省「農業地域類型(2023年3月改定)」から作成。
 https://www.hit-north.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/04/01_report-1.pdf
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/chiiki_ruikei/setsumei.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.291、2024年5月8日(水)[和暦 卯月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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