【豆知識】出生率と都市化との関連

【ポイント】
 全国平均で過去最低を更新した合計特殊出生率は、東京都をはじめとする大都市部では特に低くなっています。

本年(2024)6月5日(水)、厚生労働省は「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」を公表しました。
 それによると、出生数は過去最低で17年連続で死亡数を下回るなど人口減少のペースが加速していることが明らかになり、また、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」(以下、「出生率」)は1.20となり、過去最低を更新しました。
 出生率低下の原因には様々なものあると考えられますが、リンク先の図294は、出生率と、市街化区域内にある世帯の割合を都道府県別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/06/294_shusshou.pdf

これによると、2023年において最も出生率が低いのは東京都の0.99(初めて1を割り込み、都知事選の争点の一つにもなっています)で、最も高い沖縄県(1.60)とは0.6ポイント以上という大きな差があります。また、総じて西日本の方が出生率は高くなっています。
 一方、東京都では世帯のほとんど(99.6%)が市街化区域内にあるのに対して、沖縄県では51.8%にとどまっています。
 全体的にみると、市街化区域内にある世帯の割合が多いほど出生率は低いという傾向が見て取れます(本図は世帯についてのグラフですか、人口でも同様の傾向が見られます)。つまり、都市化が進んでいる地域ほど出生率は低くなっているのです。

少子化対策は日本全体にとって最重要の課題となっており、国としても様々な対策を講じていますが、人口集中の是正や分散の必要性については意識されていないようです。

[データの出典]
厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」、総務省「令和2年(2020)国勢調査」から作成。
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html
 https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/index.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.294、2024年6月20日(木)[和暦 皐月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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