【ポイント】
農の価値を理解し、それに対価を支払う「積極型」消費者が増加していくことが期待されます。

ここ何号か続けて、農業問題は消費者の問題であること、食料/農業問題の解決のカギは消費者の選択と実践にあることについて説明してきましたが、それでは現実の日本の消費者はどのような状態にあるのでしょうか。
リンク先の図315は、徳野貞雄氏(現 熊本大学名誉教授)が福岡市のアンケート調査を基に、消費者を4つの類型に分類したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/04/315_4bunrui.pdf
縦軸は「農」そのものの価値(食料生産だけはなく環境や地域社会の維持・保全の面も含む。)への理解が深いか浅いか、横軸は「農」の価値に対して対価を支払うか否かを示しています。
右上が「積極的」消費者です。農の価値への理解が高く対価も支払い、時には援農にも行くような層ですが、これらは全体の5.5%に過ぎません。右下は、安全性等について対価は支払うものの農への価値への理解は高くはない「健康志向型」消費者で、16.6%を占めています。
これらに対して最も多いのが左上の「分裂型」です。アンケート等では安全性や地産地消が重要と回答しつつ、実際にスーパー等ではもっぱら安価な外国産食品を購入するといった、意識と行動が一致していない消費者層が52.4%と過半数を占めているのです。
なお、左下の「無関心層」も23%おり、徳野先生は「どうしようもない消費者」とも呼んでいます。
このような現状にある日本の消費者について、右上の「積極型」が増加していくことが期待されます。
[データの出典]
徳野貞雄(現 熊本大学名誉教授)監修「福岡市民の食生活に関するアンケート」(2003年)をもとに作成。なお、図は佐藤 弘氏(元西日本新聞社、小農学会事務局)が作図したものを参考にした。
[参考]
徳野貞雄『農村(ムラ)の幸せ、都会(マチ)の幸せ』(2007年、NHK生活人新書)
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000882112007.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.316、5月12日(月)[和暦 卯月十五日]
https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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