【ほんのさわり320】高橋博之『関係人口』

-高橋博之『関係人口』(2025.3、光文社新書)-
https://shinsho.kobunsha.com/n/nc5b6b74cdda1

【ポイント】
 関係人口とは、その地域と様々なかたちで積極的に関わる人々のことで、今後の地域の内発的発展のために欠かせない人材とのこと。

著者は1974年岩手・花巻市生まれ。史上最年少の県議を2期務めた後、東日本大震災後は被災地を支援するために事業家に転身、「世なおしは食なおし」をコンセプトとする食材つき情報誌「東北食べる通信」の創刊、生産者から直接食材を購入できるスマホアプリ「ポケットマルシェ」の開発等に取り組んでこられました。
 「関係人口」とは、著者が東日本大震災の被災地支援を行う中で着想した言葉・概念とのこと。この「観光以上、定住未満」の人々のことを表す言葉は、今や地方創生を語る上で欠かせない概念となっている一方、著者は必ずしも本質が伝わっていないと感じ、「製造者責任」を果たすために本書を執筆したのだそうです。

著者によると、関係人口とは、拠点は地域外に置きつつ、地域や、その地域の人々と様々なかたちで積極的に関わる人々のことで、「都市と地方をかきまぜる」(都市のいいところと地方のいいところをフラットに見て再配列し、互いの課題を解決しながら、これまでにない新しい価値を一緒に生み出す)ためにも不可欠な人材のこと。
 また、分断している「消費者と生産者」「都市と地方」「人間と自然」を再びつなぎなおす役割も期待されているとします。

(株)雨風太陽は2023年12月、東証グロース市場に上場しました。社会性と経済性という二兎を追うために経済的財務諸表と別に社会的財務諸表という概念を開発し、2050年までに2000万人の関係人口を創出することを目指すとのことです。また、著者が提唱する「ふるさと住民登録制度」も社会に実装されつつあります。
 「世なおし」のために挑戦し続ける著者の姿には、これまでも直接・間接に大きな示唆と勇気を頂いてきました。「資本主義の舞台にちゃんと上がり、社会を変えるためにもがいてみる」という著者の覚悟と実践に、これからも注目していきたいと思います。

[参考]
株式会社雨風太陽 ホームページ
https://ame-kaze-taiyo.jp/

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.320、2025年7月9日(水)[和暦 水無月十五日]
  https://food-mileage.jp/2025/07/28/letter-320/
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