【ブログ】15回目の「3.11」、忘れてはならないこと

今年も3月11日が巡ってきました。東日本大震災、東京電力・福島第一原発事故から「節目」の15年目です。
 近所の早咲きの桜は満開。例年より早いかも知れません。

東京・高田馬場の歌声喫茶ともしびへ。昨年に引き続き「原発事故を忘れない 3.11ともしびの集い」に参加しました。
 ともしびでは、原発事故によりふるさとへ帰れない多くの人たちに想いを寄せるための「被災地にとどけ、歌の力支援企画」が継続して開催されています。

11時、ともしびの吉田正勝さん(浪江町出身)の挨拶により開会。
 第一部のゲストは今野邦彦さんです。なお、以下の文責はすべて中田にあります。
 今野さんは、今も8割以上が帰還困難区域となっている浪江町のなかでも特に放射能汚染が酷い地区の一つである津島・赤宇木(あこうぎ)地区の出身。自宅は自らが立ち会わないうちに解体されたそうです。

「これから話すことは自分の体験に基づくもので、原発事故の全貌ではない。ただ、お涙頂戴の物語ではなく、明日のわが身の話として聞いてもらいたい」
 「事故前、津島地区には1400人以上が住んでいたが、現在は19人だけ。赤宇木はゼロ。自分の両親はともに震災後に死亡し、12~3年たってから家族4人の葬式を出した家もある。災害関連死の認定には高いハードルがあり、いずれも災害関連死者数にはカウントされていない。自殺者も2人いる」

「帰還困難区域内で避難指示を解除する特定復興再生拠点区域とは、年間積算線量20mSVまでは我慢しろという制度。特定帰還居住区域とは、帰りたいと手を上げないと除染してもらえないという制度。人の財産を汚くしておいて、奇麗にして戻すのは当然ではないか。
 しかし除染作業は国や東電の職員ではなく、福島出身者等の作業員が担っている。戦争をしたい人は戦争に行かないのと似た構図がある」

「現在も原子力緊急事態宣言は発令中。デブリは0.9gしか取り出せていない。まだ苦しめられている国民がいるなか、国は『原発回帰』を進めている。
 『復興再生土』と名付けた除去土壌のおすそ分けキャンペーンも展開している。『あなたのそばにも放射能』というキャッチフレーズはどうか。『科学的に汚染物は移動させない方がいい』と主張する人もいるが、これは福島の人への慮りが欠けている発言ではないか。
 いっそのこと中間貯蔵施設を東京都の飛び地にしてはどうか。そうすれば『県外に持ち出した』ことにはなる」

「事故直後の住民説明会で、環境省の役人は『放射能汚染のために100年は帰れない』と発言した。それであればと、100年後の子孫のために徹底的に赤宇木の記録を残すこととした。10年以上をかけて完成した記録誌『百年後の子孫(こども)たちへ』は888ページ、重さは3kgある。
 住民による手作りで、登場人物はすべて実名。各戸ごとに、最低でも4枚の写真と線量の推移を記載してある。
 私の父が始めた酪農、田植え踊りの衣装などの写真も収録。これらは奪われたものの一覧表で、全ページが言葉で表現しきれない怒りで満ちている。同時にこの記録誌は、破綻した国策に対する回答であり、故郷に捧げる経典でもある」 

最後に今野さんは、次のように訴えられました。
 「忘れないで下さい。コンセントの向こう側は今も福島に繋がっていることを。自分の快適な暮らしが誰かの涙の上になりて立っているかも知れないことを。そして『停止中の原発は安全』とは思いこんでいないでしょうか」

会場にはジャーナリストの青木美希さんの姿も。
 「記録誌はぜひ、ダイジェスト版を作って全国の図書館に置くなどして、若い人にも伝えていってもらいたい。原発の現状は世の中に伝わっていない」等の発言。

第2部は、三原由起子さん(浪江町出身、歌人)と西村慎太郎さん(総合研究大学院大学教授、(一社)浪江町地域文化フォーラム理事、歴史学)による対談「浪江を語ろう! 熊澤天皇が浪江にやってきた!」です。
 西村さんは、何とか浪江町の歴史を残したいと古文書の発掘、レスキュー等の活動を行っているとのこと。昭和10年代に熊澤天皇(南朝の子孫と自称)が浪江に来たという記録を紹介しつつ、「歴史はねつ造されて利用されることもある。色んなものを見て自分で判断することが必要」等と訴えられました。

三原さんは第16回目となる「浪江を語ろう!」と題するイベントを紹介されつつ、「『復興』が演出されるなか住民のなかでも色々な話がしにくくなっているが、歴史の話なら共有できる」等と話されました。
 また、自作の歌「復興と言われてしまえば本当の心を言葉にできない空気」も詠んで下さいました。

最後に吉田正勝さんから「許せないという気持ちを、ともしびのお客さんたちにこれからも伝えていきたい」とのまとめがあり、終了です。

会場には『百年後の子孫(こども)たちへ』も展示されていました。分厚く、手に取ってみると重たく、各ページに今野さん達の思いが込められていることが実感されます。
 三原さんの歌集『土地に呼ばれる』、西村さんの『「忠臣」創出-戦国武将標葉氏の近代』を求めさせて頂きました。

午後、14時46分には、オンラインきっかけ食堂を視聴しながら、ともに黙とう。
 そして夜に。この日も新宿は不夜城のごとく煌々と彩られていました。その先に福島があることを、どれだけの人が意識しているでしょうか。

[付記]第9回 食と農の未来フォーラムの開催について

来る3月29日(日)には、昨年に続いて2回目の「令和の百姓一揆」が東京等で行われます。その前夜に、「令和の百姓一揆」実行委員会代表である菅野芳秀さん(農業、山形・長井市)からお話を伺い、意見交換等を行います。
 会場(東京・赤坂)とオンラインでのハイブリッド開催です。
 多くの、特に都会の消費者の皆さんに聞いて頂きたいと願っています。ぜひ、以下からお申し込み下さい(先着順)。
https://peatix.com/event/4908199/

(参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
https://www.mag2.com/m/0001579997
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