================================================================
◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇
No.19 ; 2013. 5/10(金)[旧暦 卯月朔日]発行
================================================================
平年を下回って推移していた気温は、5月5日の立夏を境に上昇。一
方、北海道では降雪が観測されるなど不安定な天候が続きます。
時の流れを感じ取って頂く一助とするため、旧暦の毎月1日と15日に
配信している本メルマガ、今回は卯月(うづき)朔日の配信です。
「卯」の字は万物が地を冒して出る意で、田打ちを始める打ち月、
さまざまな苗を植える植え月ともいわれるなど、重要な農作業が重な
る月です。
「若葉して又新たなる心かな 漱石」
(高月美樹『和暦日々是好日』より) http://lunaworks.jp/
—————————————————————-
◆ F.M.豆知識
3 「食の激変」と食料自給率
(1)私たちの食生活の変化と食料自給率等
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎
回少しずつ取り上げていきます。
—————————————————————-
3月12日配信のNo.15では、私たちの食の「激変」(食の外部化・簡便
化の進行、米消費の半減と畜産物・油脂消費の急増等)が現在の私たち
の生活や社会に及ぼしている悪影響について、3段階で整理して考えるこ
とが有用であることを述べました。
そして前号まで、最も身近な「第1段階」の問題(栄養バランスの崩れ
と生活習慣病の増加、食への不安感の高まり等)について、順次、取り
上げてきました。
今号からは「第2の段階」である日本全体の食料供給の問題について、
食料自給率を中心に、何回かに分けて説明していきます。
なお、第2段階には、他に地域の農業や農村の問題(農業の担い手の高
齢化、耕作放棄地の増加)、コミュニティに関わる問題(過疎や限界集
落、あるいは都市を含む「無縁社会」の拡がり)があります。
さらに「第3段階」の問題として、私たちの食生活が地球規模の資源や
環環に負荷ないし悪影響を及ぼしているという問題もあります。
これらについては、追って取り上げていくこととします。
さて、食料自給率については、現在、様々な議論がなされています。
書店には、例えば「大嘘だらけの食料自給率」「食料自給率の罠」と
いった刺激的なタイトルの本が並んでいます。
日本の食料や農業について、幅広い議論が行われること自体は歓迎さ
れるべきことです。
しかしながら、これら向こう受けを狙ったようなタイトルは、必ずし
も実態を十分に反映しておらず、場合によっては誤解を与えかねない危
険性さえあるものと、私個人は考えています。
次号以降、食料自給率をめぐる論点について、順次、具体的に取り上
げ、皆さんとともに考えていきたいと思います。
—————————————————————-
◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組
んでおられる方達を紹介するコーナーです。
—————————————————————-
マエキタミヤコさんはコピーライター、クリエイティブディレクター。
2002年に「サステナ」を設立。「100万人のキャンドルナイト」「ほっ
とけない 世界のまずしさ」「エネシフジャパン」など、「エココロ」を
通して世の中をエコシフトさせるために奔走中です。
京都造形芸術大学・東北芸術工科大学客員教授、慶應義塾大学・東京
外国語大学・立教大学・上智大学非常勤講師も務められています。
私との接点は、2005年から「大地を守る会」が展開している「フード
マイレージ・キャンペーン」です。担当の方にデータを提供させて頂い
たのですが、その後完成した同キャンペーンのウェブサイトは素晴らし
いものでした。
アニメーションを多用するなど、デザインも内容も充実し、かつ、お
しゃれです。
何より、トン・キロメートルや二酸化炭素排出量○グラムといった耳
触りのよくない言葉が、親しみやすい「poco」(ポコ、二酸化炭素
100gに相当。)と言い換えられていたのには、驚かされたものです。
その企画・デザインを担当されたマエキタコヤコさんの名前は、ずっ
と心にあったのですが、実際にお会いできたのは2010年、金沢市での
NPO主催のシンポジウムの場でした。
この時、厚かましくも打ち上げにまで押しかけ、初対面の挨拶をさせ
て頂いたのでしたのですが、イメージしていた以上の親切で飾らないお
人柄に、強く魅きつけられました。
マエキタさんが2006年に出版された『エコシフト』(講談社現代新書)
の副題は「チャーミングに世界を変える」。
眉間にしわを寄せて理屈を並べても問題の解決にはつながりません。
まずは、いかに多くの普通の人たちに関心を持ってもらうかが大事であ
り、その面で、魅力的なデザインや広告(プロパガンダではなくアド)
が大きな力を持っていることを、マエキタさんから教わりました。
現在は、戦争を予防する「ピースアド」や、原発と環境問題を考える
「69(ロック)の会」の発起人等として、ますます幅広い分野で活躍さ
れているマエキタさん。
ぜひ、食の問題についても引き続き力を貸して頂きたいと思います。
(参考)
「サステナ」ウェブサイト http://www.sustena.org/
「69(ロック)の会」ウェブサイト http://69nokai.com/top.html
—————————————————————-
◆ 情報ひろば
食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各
種イベントの開催情報等をお知らせします。
—————————————————————-
▼ ブログ「伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○[4月25日付け]アースデイ東京2013
4月20日(土)〜21日(日)、代々木公園では「アースデイ東京20
13」が開催され、ブースの出展やトークイベント等で盛り上がりま
した。精米歩合を80%にとどめた無ろ過の自然酒を求めました。
http://food-mileage.jp/2013/04/25/
○[4月28日付け]種を守る人の思い−岩崎政利さんのお話−
4月27日(土)〜28日(日)、東京・吉祥寺で開催された「種市」
の一環として行われた長崎・雲仙で種採りをされている農家・岩崎
政利さんのトークショー。
野菜が最も美しいのは、種をつけて枯れた時の姿とのことです。
http://food-mileage.jp/2013/04/28/
○[4月30日付け]小川町での米作り体験会は「籾ふり」から。
好天に恵まれた埼玉・小川町で、US.Peaceファーム主催の体験会
が始まりました。
米作り体験は田植えから始めることが多いのですが、ここでは苗
土作りと籾振り作業からスタートです。
http://food-mileage.jp/2013/04/30/
○[5月4日付け]市民農園(5月4日現在)
今年は苗を買ってくるのではなく、種を播くことから始めた市民
農園。気温が低い日が続いてやきもきしましたが、いくつか芽が出
てきました。周囲には、多くの昆虫たちの姿も見られます。
http://food-mileage.jp/2013/05/04/
○[5月5日付け]GWに「ふくしま」を思う。
「福島農業復興ネットワーク」の会報誌と、「福島ひまわり里親
プロジェクト」から種と絵本が届きました。
5月1日に開設されたウェブサイト『読む ふくしま会議 ふくしま
の声』には、様々な「現地の声」が掲載されています。
http://food-mileage.jp/2013/05/05/
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
満席等となっている場合がありますので、参加を希望される方は、
必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。
○ 第26回共奏キッチン♪ <さなぶり編>
日時:5月11日(土)18:00〜22:00、12日(日)11:00〜16:00
場所:三田の家(港区芝5-23-2)
主催:共奏キッチン♪ 運営チーム
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/512233555499919/
https://www.facebook.com/events/409543639144949/
○ 坪山ハイキング&ジャガイモの土寄せ&地域をあるく
日時:5月18日(土)〜19日(日)
場所:山梨県上野原市西原(さいはら)地区
主催:しごと塾さいはら
(詳細、お問合せ等↓)
http://shigotojyuku-saihara.jimdo.com/2013/05/02/2013年5月18日-19日–坪山ハイキング–ジャガイモの土寄せ–地域をあるく/
○ 品川プチマルシェ“第5回 全快野菜ちゃん”
日時:5月18日(土)9:00〜16:00
場所:品川寺(ほんせんじ、品川区南品川3-5-17)
主催:グリーンスマイル
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.greensmile.asia/2013/04/26/0518yasaiya/
○ アドボカシーカフェ「国会事故調は何を問いかけているのか」
日時:5月21日(火)18:30〜21:00
場所:文京シビックセンター5階区民会議室(文京区春日1−16−21)
主催:ソーシャル・ジャスティス基金
(詳細、お問合せ等↓)
http://socialjustice.jp/p/wp-content/uploads/2013/05/51a0a1683d520815801e528bf0581597.pdf
○ 農業ビジネス研究会
「日本酒をいかにグローバルマーケットへ売り込むか?」
日時:5月23日(木)19:00〜21:00
場所:ちよだプラットフォームスクウェア501(東京・竹橋)
主催:農業情報総合研究所/農業ビジネス研究会
(詳細、お問合せ等↓)
http://m-motegi.at.webry.info/201304/article_12.html
○「野菜の学校」特別講座「伝統野菜はおもしろい!」
日時:6月1日(土)13:00〜16:30
場所:東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-53-67)
主催:NPO法人野菜と文化のフォーラム
(詳細、お問合せ等↓)
http://www.yasaitobunka.or.jp/katsudo.html
* 次号は5月24日(旧暦 卯月十五日)に配信予定です。
================================================================
F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
================================================================
◆ 発行者:中田哲也